何を食べているかを言ってみたまえ,君がどんな人かを言ってみせよう.
Tell me what you eat, and I will tell you what you are.
(ブリア・サヴァラン.食通で有名なフランスの政治家)
食育の世界でよく使われるこの名言は,「You are what you eat.(人は食べたものでできている)」の元となっています.
名言になるほど,普段どんなものを食べているかは,私たちの健康と寿命,仕事のパフォーマンスに大きく影響します.
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「血糖値」のコントロールは健康・若さ・ダイエット・仕事能率UPにつながる
筆者の主張は,以下のように明快です.
「血糖値」が健康管理の最大のカギである
日々のイライラから老化・病気まで生み出すもの (30ページより)
「血糖値」とは「空腹時血糖値」や「ヘモグロビンA1c値」で測られる値で,その値が高ければ糖尿病を疑う指標です.糖尿病は,生活習慣病のひとつであり,メタボリックシンドロームといわれるさまざまな病気の連鎖を引き起こす恐ろしい病気です.
*こちら↓の「フリースタイル リブレ」を使うことで,自分でも1日の血糖値の変動を簡単にモニタリングすることができます.
フリースタイル リブレを使った健康法については,<自律神経をサポートするセラピストのブログ>より,「一歩先行く健康管理!気軽に血糖測定できるFreeStyleリブレ」がとても参考になります.
血糖値の乱れは万病のもと
血糖値をコントロールできないことが,肥満や老化,パフォーマンス低下を招いており,現代人の多くがすでに血糖値の乱れによる不健康状態にあると著者は危惧しています.
血糖値が高いことで免疫力が落ち,さらには「AGE」という悪玉物質が体の中でつくられ老化が進みます.血糖値が高ければ,血管も内臓も,皮膚などの外見もぼろぼろになってしまうのです.(31ページ)
血糖値を上げるのは唯一,「糖質」だけです.タンパク質や脂質は血糖値に影響しません.
糖質は,三大栄養素のひとつである「炭水化物」から「食物繊維」を除いた栄養素であり,体の主要なエネルギー源となります.消化・吸収されて血液といっしょに全身をめぐり,体の中で1gあたり4kcalのエネルギーになります.
特に脳は,血液中の糖質(ブドウ糖)が主なエネルギー源なので,体内の器官でもっとも糖を消費します.
糖質は主にごはんやパン,麺類,果物,根菜類,ケーキやおせんべい,清涼飲料水といったものに多く含まれています.これらは,ふだん私たちが何気なく口にしているものですよね.

甘い缶コーヒーやスポーツドリンクに含まれる糖質は,体内への吸収が早く,血糖値を急上昇させます
糖質をとっているのに「低血糖状態」に陥っている!?
糖質を含む食べものをとったとき,通常は膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが分泌されて,血糖値が下がります.
インスリンの働きによって臓器は血糖をとり込んでエネルギーとして利用したり、筋や肝臓に蓄えたり、さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりします.
健康な人でも,食後に血糖値は緩やかに上昇します.しかし問題なのは,血糖値が急上昇する場合です!
清涼飲料水や甘い缶コーヒーといった液体に含まれる糖質は,体内での消化吸収が早く,血糖値が急上昇します.また砂糖たっぷりのスイーツや大盛りごはん,うどんとおいなりさんのダブル炭水化物などのように,一度に大量の糖質をとった場合も,血糖値の急上昇を招きます.「血糖値スパイク」です.

急上昇・急降下する血糖値は,まるでジェットコースターのようです.からだへの負担も大きくなります!
血糖値が急上昇すると,からだは驚いて大量のインスリンを分泌します.すると今度は,大量のインスリンの働きで,血糖値が急降下するのです.「反応性低血糖」です.
この一連の「糖質過剰→血糖値急上昇→大量のインスリン分泌→血糖値急降下」が,からだに大きなダメージを及ぼします.
血糖値が急上昇・急降下することで,ハイな気分から一転,イライラしたり,吐き気や眠気,疲労感に襲われたりします.
インスリンの働きで取り込まれ切れなかった糖はグリコーゲンとして筋肉や肝臓に蓄えられますが,その容量は限られています.蓄えきれずに余った糖は,脂肪として体内に溜まっていき肥満を招きます.これが糖質過剰による太る原因といわれます.
*糖質過多によって太る機序や,痩せるための糖質制限について,こちら「糖質制限をすると痩せる理由(どら吉@さん)」の記事がとても参考になります!
私たちのDNAにふさわしい食生活を「縄文時代」に学ぶ
糖質摂取による血糖値上昇が肥満やさまざまな病気を招く危険性について書いてきましたが,ご安心ください.本書で書かれる食生活にふだんから気をつけることで,血糖値を一定にレベルにコントロールすることは十分可能です!
現代の日本人のルーツはより縄文時代のDNAを受け継いでいるという,神澤秀明教授(国立科学博物館)の研究が紹介され,そのDNAに沿った食事法がふさわしいと著者は述べています.
つまり,肉や魚,木の実(ナッツ類),野菜,豆類,海藻などをバランス良く,ふんだんに食べる(→これらは血糖値を急上昇させない)ことで,健康を維持し,肌をキレイに保ったり,集中力を維持したりするのに最適なのです.

「大豆製品」は豊富な植物性タンパク質を含み,最高の食品だといわれています
本書で紹介される「食事の正解」は以下のとおりで,いずれも血糖値をコントロールすること,現代以前の人類の食生活に沿っていることなどが推奨されています.
- 糖質が太る唯一の原因
- カロリーと肥満は関係ない
- 脂肪は食べても太らない
- コレステロール値は食事では変わらない
- プロテインやアミノ酸は腎臓を壊す
- ちょこちょこ食べるほうが太らない
- 果物は太る
- 疲れたときに甘いものをとるのは逆効果
- 発がん性を疑われているものは食べない
- 運動は食後すぐに行うのがいい
著者が薦める食品として,例えばこんなものが紹介されています↓↓(ハイカカオ・チョコレート,エクストラバージン・オリーブオイル,ナッツ類,マヌカハニー,ナチュラルチーズ,ワインなど)
むすびに
『医者が教える食事術 最強の教科書(牧田善二著,ダイヤモンド社)』の書評として,血糖値をコントロールすることの大切さをご紹介しました.
血糖値のレベルを一定に保つことで,美容と健康,アンチエイジング,仕事パフォーマンスUPなどの効果が得られます.
糖尿病をはじめとした生活習慣病は「現代病」ともいわれ,人類の歴史からすればごく最近に定着してきた食生活が大きく影響しています.しかし,そもそもヒトのからだには,長い年月かけてDNAに刷り込まれてきた習慣が残っているといわれます.
今一度,私たちのこころとからだのにふさわしい食生活(=健康であり,持っている能力を存分に発揮するための食事)とは何かを,振り返ってみることも必要ではないでしょうか.
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