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「医者の本音」がわかる!<読書評>

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「なぜ病院は3時間待って,5分しか診察しないのか」「なぜ医者の態度は冷たいのか」「手術のとき医者は何を考えているのか」など,病院にかかったことのある方は,少なからず感じたことがあるかもしれません.

本書『医者の本音(中山祐次郎 著,SB新書)では,そんな表だっては聞きづらい医療や医者への疑問について,現役バリバリの医者が答え,その真意を解説しています.著者は外科医として第一戦で働く傍ら,存続の危機に陥った病院に臨時院長で赴いたり,Yahoo!ニュースで医療記事を書いたり,医局に属さず技術を磨いてきたなど,かなり異色の経歴をもちます.

そんな著者が,医療のややこしい内容を一般の方にもわかりやすく伝えようと書かかれたものです.

ショッキングなタイトルにも思えますが,決しておもしろおかしい暴露本ではありません

正直なところ,本書を書くかどうか,かなり悩みました.業界内部にいる私が,業界のことを本音として書くことには意味があるのか.ただの暴露にしかならないのではないか.そして,私は本書を書いた後,医者を続けられるのか.(「はじめに」より)

このように本書の執筆に悩んだ著者が,それでも書こうと決意したのは,“多少のブレはあっても,現時点で有用なものを出すことが誠意だ”と考えて,より良い医療や社会をつくりたいと思ってのことでした.

本書を読むと,医者が患者にかける言葉の真意や,薬・手術の本当のところ,医者のお金と恋愛の話までがわかります.

あなたが病院にかかる際には,医者とうまくコミュニケーションをとったり,自分の病気と付き合ったりするのにきっと役立ちます.

今回は,第1章 医者の本音−その一言にこめられた真意 から,患者に対して医者の語る言葉にはどんな背景があるのかをご紹介いたします.

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医者が語る言葉の真意「医者の本音」とは

風邪を軽んじているわけではない

「はいはい,風邪ですね.」

こんな口調に表れるように,医者が風邪の患者さんに若干雑な態度を取ってしまうということ.これには理由があるといいます.それは,

「風邪は薬じゃ治らない」という,医者にとっての常識があるからなのです.(21ページ)

そもそも風邪は「急性上気道感染」といわれる,のどと鼻にウイルスが感染して,炎症が起きている状態です.風邪の原因となるウイルスの種類は非常にたくさんあり,そのため特効薬は作れないのが現状です.しかもきちんと休養と栄養をとれば,重症化することなく10日前後で治癒していきます.

そのため風邪の患者さんに処方される薬は基本的に,「対症療法(つらい症状を抑える)の薬」が主となり,場合によっては「抗生物質」が追加されることもあります.

抗生物質は「抗生剤」や「抗菌薬」とも呼ばれ,「細菌」に対抗する薬のことをいいます.ウイルスが原因の風邪には効果がありません.

実は,ウイルスには効かない抗生物質を処方するのは,“その患者さんが,細菌に感染している可能性を否定できないから”, “ウイルス感染の二次感染に対する,あるいは予防する”, “患者さんの満足度をえる”ためだといいます.

患者数がとても多く,重症化することの少ない風邪であれば,つらい症状を抑えて,その間に自然治癒へつなげる.二次的なリスクにもそなえつつ,患者が安心感を得られるように取りはからっているのですね.

患者に冷たくしようとしている医者はいない

病院にかかったことのあるあなたは少なからず,医者の態度を冷たいとお感じになったことがあるのでしょうか.

著者は医者として勤務するようになってから,大きな病院から離島の診療所,海外の病院の視察などを通して実に多くの医者に出会ってきたそう.そこで出会ってきた医者のほぼ全員が,“どうすれば患者さんのためになるのか”,“どうすればこの国(世界)の医療はよくなるか”を真剣に考えていたといいます.

それなのになぜ,患者さんは「医者は冷たい」と感じてしまうのでしょうか.重要なのは,

医者は,患者さんとコミュニケーションをとる時間が制限されている(34ページ)

ということです.

そんなにも患者とコミュニケーションをとる時間が制限されてしまう理由には,医者のとてもタイトなタイム・スケジュールや,外来診療での業務過多などがあるといいます.

そのような多忙な医者とうまく会話するコツとして著者が勧めるのは,

あらかじめ医師に聞きたいことを,箇条書きでメモしておく

ことです.

「医師に聞きたいことさえわからない」という場合は,次のような内容を書いたシートを用意しておくのが役立ちます.

  • どんな症状が
  • いつから
  • だんだん良くなってきた/悪くなってきた/変わらない
  • 一番辛かったのはいつ?−いま/( )日前/時間前
  • どんなときにその症状は悪くなる?
  • いま一番困っていることは
  • お医者さんに聞きたいこと

あらかじめ聞きたいことを整理しておくことで,いざ診察の場面にスムースに要点を得た会話ができるというのです.

医者のいう「大丈夫!!」に信憑性はあるのか

患者さんや家族から「先生,大丈夫なんですか?」と聞かれて,「大丈夫ですよ!!」と言い切る.こんな会話のやり取りはしょっちゅうあり,医者の多くは医者のいう「大丈夫!」という言葉の威力を知っているといいます.

“そもそも,医学の領域で「大丈夫=ほぼ間違いなく完治する」と断言できるシーンなどほとんどない”, “医者として「大丈夫!」と言い切るには,いつもためらいと後ろめたさがつきまといます”としながらも,あくまで著者の本音と断ったうえで,医者が「大丈夫」というときの本音を述べています.

例えば,かなり進行したがんの患者さんや家族から「先生,大丈夫なんですか?」と聞かれたとき.瞬時に頭を振る回転させ,

医学的事実をそのまま述べるべきか,それともこの場は表現に配慮して安心していただき,後で段階的にお話をしていくべきか.(29ページ)

を考えるといいます.

つまり患者さんにとって,「何が幸せか(盲目的にすべての情報をお伝えすることが,本当にその方にとって幸せなのか)」「どんな情報が必要なのか(どのように,いつお伝えするのか)」に思い巡らしてかける言葉を選んでいるのですね.

医者が「大丈夫ですよ!」という背景には,このような逡巡や患者の幸せを想った心配りがあるのですね.

「様子をみましょう」の真意とは

患者「先生,結局,どこが悪いんでしょうか?」

医者「ひとまず様子をみましょう」

患者「…(病名がつかないと不安だな)」

「病名」をはっきり聞きたい患者と,「○○病です」とは断言しづらい医者との間で大きな認識のズレがあるのではないか.こう考えて著者は,病名を断言できない理由を2つ挙げています.

  • 診断が確定しづらい;がんでも風邪でも,患者に診断名をつけるのは簡単ではない.
  • はっきりと病名を伝えて,後から違うとわかったら信頼を失う;時間経過とともに全体像がみえ,情報量が多くなることではじめてわかることもある.

いまの症状から考えられる病気の選択肢はとても多く,また時間経過とともにわかってくる情報もあるため,はじめから「○○病です」と断言するのは困難なのですね.

では不安げな患者と対峙する医者はどのように考えているのでしょうか.

医者は,病名を宛てることではなく,患者さんのつらい状態が少しでもよくなることを目的に診療をします.

医者のいう「経過をみましょう」「様子をみましょう」は,何もせず放っておきましょう,と決してイコールではありません.時間が経ったらわかってくることがあるので,その時々で手を打っていきましょう,今ははっきりと原因がわからないので症状の変化を見ながら,考えていきましょう,という意味なのです.(44ページ)

「時間」が診断をしてくれることが,医療には往々にしてある.そのなかでも救急の場合には察して対処してくれる.それを知っておくだけでも,患者としてすこしでも安心できるのではないでしょうか.

結びに

本書を読むと,患者さんに対して医者が使っている言葉の真意や,現在の医療界や病院の抱える事情,医局の役割などがわかります.すると,あなたが患者として医者とうまくコミュニケーションをとったり,受診する病院(“よい医者”)を判断する助けとなります.

最終章には,医者のもつ死生観にも言及されています.どうやっても「死をコントロールすることはできない」からこそ,いまをより良く生きたり,病気とうまく付き合っていくことを考えるのは無駄ではありません.

医療者にも,そうでない一般の方にも一読の価値ある一冊です.

 

 

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