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『社員の力で最高のチームをつくる〈新版〉1分間エンパワーメント』書評

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今回は,組織運営においてスタッフのもっている能力を引き出し,目覚ましい結果を導く手法を 『社員の力で最高のチームをつくる(ダイヤモンド社)の書評としてご紹介します.

社員や部下に自律的な働き方をずるよう望む経営者・リーダーはもちろん,上司や経営者が自分にどんな働き方を望んでいるのかを知りたい職員の方にも役立ちます.

3名の原著者はいずれも世界的に活躍する経営コンサルタントであり,顧客サービスやリーダーシップへの造詣が深い方々です.そして「星野リゾート」で有名な星野佳路氏が監訳を務められています.

エンパワーメント

まず,本書のなかで「エンパワーメント」とは,次のようにとらえられています.

自律した社員が自らの力で仕事を進めていける環境をつくろうとする取り組みです.社員のなかで眠っている能力を引き出し,最大限に活用することを目指しています.

エンパワーされた社員は,組織と自分自身の両方に利益をもたらします.仕事にも生活にも強い目的意識をもって取り組み,会社の仕組みや業務の進め方を改善し続ける原動力となります.(3ページより)

 

「社員のなかで眠っている能力を引き出し〜」というのがミソで,“人間は経験と知識とモチベーションというかたちで驚くべき力を持っています”といいます.ここでのモチベーションとは,「お客様に喜んでほしい」という純粋な願望です.

変化が激しく,かつ複雑な現代社会で組織が生き残っていくためには,「上司が管理し,部下は管理される」という従来のビジネスモデルから脱却し,エンパワーメント重視の組織つくりを避けては通られないと述べられています.

社員がエンパワーメントされることで組織には,優れた顧客ニーズの対応・イノベーション・財務の健全化が実現するというのです.

本書ではエンパワーメントによる組織づくりのハウツーが,経営に悩むある経営者マイケルを主人公とした物語形式で綴られています.今回は,エンパワーメントに必要な3つの鍵をご紹介します.

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社員をエンパワーメントするのに必要な3つの鍵とは

エンパワーメントには「3つの鍵」があるといいます.

  • 第1の鍵:正確な情報をすべての社員と共有する
  • 第2の鍵:境界線を明確にして自律的な働き方を促す
  • 第3の鍵:セルフマネジメント・チームを育てる

では一つずつ,みていきます.

第1の鍵:正確な情報をすべての社員と共有する

第1の鍵は,社員と会社の置かれた状況に関する正確な情報をすべて共有することです.ここでの情報とは,「正しい意思決定をタイムリーに行うのに必要な正確な情報」であり,例えば利益,コスト管理,予算の進捗,マーケットシェア,生産性,不具合や問題発生などです.

情報共有

一般的に会社では「部外秘情報」といったかたちで,内部情報にアクセスできるのは一部の上層部の人間に限られているのではないでしょうか.

しかし,情報を制限された側の人間は「自分は会社から取り残されている」「信頼されていない」「情報を渡したら悪用されると思っている」といった,さまざまなネガティブな感情を抱きやすくなります.信用されていないと感じた社員が能動的に意識決定し,行動するのを望むのは難しいでしょう.

一方で重要な情報を共有することは,相手を信頼しているという明確なメッセージとなり,強固な信頼関係が築かれます.情報をもった社員は,信頼関係にもとづいた責任ある仕事をせずにはいられなくなるというのです.

さらに情報共有によって社員自らが,経営者の目線でものごとを考えるようになる「オーナーシップ」が醸成されるようになります.

第2の鍵:境界線を明確にして自律的な働き方を促す

経営者がエンパワーメントの組織つくりを目指したとき,社員の立場でみると,唐突に「あなたの経験と知識をもとに自由に決めて仕事していいよ!そのかわり説明責任・結果責任をもってね!」と言われても,混乱してしまうでしょう.

ある程度の行動のよすがとなる「枠組み・ルール」が必要です. ただ,枠組みの意味が,従来とは異なるものなのです.

  • 従来…「これ以上やってはいけない」という禁止を示す境界線
  • エンパワーメントのための枠組み…「そのなかでは自分たちで決めることができ,決めたことに従って行動してかまわない」という,自律を促す境界線

そう! 「〜したらダメ」という制約ではなくて,「〜の領域で自分で決めて実践していいよ!」という背中を押すようなメッセージが込められているようように感じられます.

そして「自律した働き方を促進するための境界線」として,次の6つがあげられています.

  1. 目的:我々の事業は何か?
  2. 価値観:事業を進めるにあたっての指針
  3. イメージ:思い描く将来
  4. 目標:何を,いつ,どう達成するのか?
  5. 役割:誰が何をするのか?
  6. 組織の構造とシステム:仕事の位置づけ

これらの境界線を機能させるには,会社のビジョンという「全体図(ビッグ・ピクチャー)」を実現するために,社員各人がどんな役割「部分図(スモール・ピクチャー)」を受け持つのかを,すべての部署やスタッフでゴールに落とし込んでいくことが重要だといいます.

第3の鍵:セルフマネジメント・チームを育てる

エンパワーメントされた組織をつくるには,「上司やトップが意思決定を下し,社員はそれに従う」という階層構造を改める必要があるといいます.つまり,全員が意思決定し,責任を担うという「セルフマネジメント・チーム」へと転換していくのです.

セルフマネジメント・チームの働きは次のようなものです.

業務プロセス全体あるは製品やサービス全体について責任をもつ社員によって構成され,仕事の最初から最後までを,このチームが計画し,実施し,管理します.(103ページ)

ただ最初から,セルフマネジメント・チームとしての仕事のやり方を知っている人というは,ほぼ皆無でしょう.そこで最初は,「上司に頼らないで仕事ができるようになる方法を教える」,そして「全員がチームスキルを学ぶ」ことから始める必要があるといいます.

ビジョン

こうしてトレーニングされたセルフマネジメント・チームは,顧客と直に接するビジネスの最前線で,正確な意思決定とタイムリーなサービスを実行できるようになるといいます.これは顧客からの要望に対して上層部の判断や決裁を仰いで…という階層的な仕事のやり方から一線を画したものになります.

組織の目指す方針やあり方と各人の果たす役割が明確になっているので,とるべき行動に迷うことがなくなるからです.

結びに

社員のエンパワーメントされた組織づくりについて書いていると,すごく理想的なハウツーに思えます.

しかし本書を読むと,その過程は決して生やさしいものではないと実感します.それでも,「3つの鍵」を徹底的に取り組むことが実現のために大切だと説かれています.

エンパワーメントは魔法(マジック)ではない.
それを実現させるのは,いくつかのシンプルなステップと,やり抜くための強い意志である.(183ページ)

ハウツーは示されましたが,エンパワーメントができあがるまでには,実現への信念と粘り強い取り組み,社員との繰り返すディスカッションが不可欠なのでしょう.

 

最後までお読みいただきありがとうございました.

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