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アレルギーによる不調を治すには,まず「腸疲労」を解消する<読書評>『消えない不調は「腸疲労」が原因(藤田紘一郎著,だいわ文庫)』

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『消えない不調は「腸疲労」が原因(藤田紘一郎著,だいわ文庫)の著者は,現代の日本人がアレルギー疾患にかかりやすくなっていることを危惧して,“アレルギーは現代病”だと述べています.実際に厚生労働省の発表した資料によると,全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しており,その数は急速に増加しているというのです.

アレルギー疾患の現状など(厚生労働省,平成28年)

近年のわが国でアレルギー疾患にかかる人が増えている背景には,アレルゲンが増えているという説もありますが,著者は内的要因が強く関与していると考えられています.アレルギー発症の内的要因こそが,本書のタイトルにもある「腸疲労」なのです.

本書のテーマは,“アレルギーによるつらい症状を治すために,まず「腸疲労」を解消する”ことです.しかもアレルギーにとどまらず,身体の免疫力を高めることで現代のさまざまな不調から抜け出すことができるといいます.

今回は,第1章 「腸疲労」が現代人のカラダを狂わせる に着目し,私たちのふだんの生活習慣がいかに腸に負担をかけているのか,そして腸疲労を解消するにはどうすればいいのかをみていきます.

現代の不調の原因,「腸疲労」とは? アレルギーと免疫,腸の密接な関係

冒頭にも書きましたが,現代は「腸疲労」によってアレルギーを発症する人が増えている,という著者の見解がありました.では,なぜ腸が弱まるとアレルギーを起こしやすくなるのでしょうか.

アレルギーとは,免疫反応の一種です.病原菌などの異物を排除するために働く免疫システムが,本来,人体には無害な物質(アレルゲン)を敵と認識し,これを排除しようと体内の粘膜で炎症を起こしているのがアレルギーです.このような誤作動が起こるのは,人体最大の免疫器官である腸の力が弱まっているからだと私は考えます.
腸の働きが低下すれば,免疫力も総じて低下します.すると,免疫システムは統制を失い,誤作動を起こしやすくなります.この免疫の誤作動が,本来は無害な異物に対しも,攻撃を執拗に繰り返すという事態を招いてしまうのです.(37ページ)

腸には,200種類,100兆個もの細菌(腸内細菌)がすみついているといわれます.さらに免疫細胞の7割が腸に集中し,腸内細菌の働きによって活性化されます.腸内細菌は免疫機能を担って身体を守るだけではなく,心の平穏にも大事な働きをしています.

免疫システムの働きは,「風邪を治す,病気を防ぐ」だけではなく,「疲労回復」や「新陳代謝の活性化」「細胞組織の老化の阻止」など,身体のあらゆる生理システムが健やかに営まれるよう機能しているのです.次の箇所をみると腸内細菌が,私たちの心と身体の健康にいかに大きく貢献してくれているのかがわかります.

腸内細菌たちは,腸の中で免疫システムの強化と調整に働き,腸粘膜の再生を手助けし,腸の消化吸収を手伝い,ビタミンを合成し,大便をつくり,腸内の不要物をまとめて外に押し出すという働きをしてくれています.
またセロトニンやドーパミンなど「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質の前駆体をつくり,脳に送り出しているのも,腸内細菌の働きです.(5ページ)

私たちの心と身体の健康に大きく貢献する細菌がすむ腸内環境が,近年,非常にすみにくい状況になっていると,著者は指摘しています.腸内環境の悪化から腸内細菌の数が減り,腸の機能が低下していきます.このような「腸疲労」が現代のさまざまな不調の原因となっているというのです.

片頭痛や肌荒れもアレルギーの可能性がある

大人になって突然,花粉症や食物アレルギーを発症したという経験はありませんか?アレルギーは,根本的な改善を図らない限り,年齢とともに連鎖していく(“アレルギーマーチ”)といいます.

アレルギーはその人の弱い場所を狙って,姿を変えながら表面化してくる特徴があります.このアレルギーマーチは,子どもに限ったことではありません.大人でも頻繁に見られる現象です.アレルギーマーチを起こしやすいのは,アレルギー体質を根本的に改善していないからです.(47ページ)

例えば,次のようなアレルギーの連鎖がみられるといいます・・・乳児期に食物アレルギーを発症した子が,幼稚園に上がるころから急に気管支喘息を併発する.喘息は大人になるまでに寛解したけれども,その後花粉症などのアレルギー性鼻炎になる.ラテックスアレルギー(医療用手袋などに使われている天然ゴムの成分によってアレルギー反応を起こす病態)や金属アレルギーを起こす人も増えてくる.

著者によれば,日常的に感じるめまいや倦怠感,吐き気,目の乾き,口内炎,ニキビ,うつ症状,情緒不安定なども,食物アレルギーとして起こりうるとのこと.とくに「遅延型アレルギー」は,アレルゲンをとってから6〜24時間たってから症状が現れ,心身の不調が多岐にわたるため,アレルギーだとは本人も気づきにくいといいます.

遅延型は,好物や頻繁に食べているものが原因物質になりやすいため,不調の前に何を食べたり吸い込んだりしたか,一度チェックしてみるよう薦めています.

腸を鍛え,体質を変える食事

では子どもにも,大人にも起こりうるアレルギーの連鎖“アレルギーマーチ”から逃れるために,私たちはどう対処すればよいのでしょうか.腸を鍛え,免疫機能を高める食事として著者が推奨する一部をご紹介します.

アレルギーマーチやアレルギー疾患の併発を防ぐには,免疫力を高めるほかありません.それには,多種多様な細菌を腸に取り込んで,腸内細菌を豊かに育むことです.(47ページ)

「アレルギーの改善には,乳酸菌をとればよい」というのも偏った情報です.腸内環境を整え,免疫機能を高めるには,多種多様な菌の相互作用が必要だといいます.善玉菌だけでなく,身のまわりにいるちょっと悪い菌を取り込むことも大事なのです.ですから,抗菌・殺菌剤や塩素消毒などを過剰にやりすぎたり,あまりに清潔にこだわりすぎてもいけないと指摘しています.

食事は,楽しく笑いながらのんびりした気持ちで摂ること

免疫機能を低下させる最たるものは「ストレス」です.食事の時間にグチを言ったり,小言を聞いたりしていては気持ちが落ち着かず,どんな食事も身体に届きません.緊張感のあるランチミーティングやスマホを見ながらの食事も,免疫機能の観点からは避けたほうがよさそうです.

「笑い」が,免疫細胞を活性化させることがわかっています.慌ただしい毎日だからこそ,せめて食事の時間は楽しんでのんびり過ごせたら,腸も喜ぶというものです.

楽しい食事

免疫の大敵はストレス.大好きなひとと過ごす楽しい食事は,何よりの免疫活性化!

活性酸素の発生を抑えるために糖質を制限する,主食を全粒穀物にする

高血糖状態が続くと,ヘモグロビンとブドウ糖が結合する「糖化反応」が促進されます.このとき同時に発生する「活性酸素」が免疫機能を低下させ,動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞,がん,アルツハイマーなど多くの病気の元凶になります.

本書では活性酸素の発生を減らすには,高血糖や血糖値の乱高下を避けるよう,糖質を制限するのがよいと推奨しています.とくに白米や小麦粉,砂糖など白く精製された炭水化物は,食物繊維がそぎ落とされ,糖質過多に陥りやすくなります.主食を摂るならば全粒穀物(玄米や五穀米,全粒粉のパン,十割そばなど)にすることで,食物繊維が豊富に含まれ,腸の機能も高められます.

食前キャベツの習慣

食事の最初に白ご飯から食べ始めていませんか.とくに空腹のときは,かきこみたくなる気持ちもわかります.しかし免疫機能を高めるには,「食事をとる前に小皿一杯分のキャベツを生のまま食べる」のがオススメです.

食前に生のキャベツを食す,その利点は次の3つです・・・「キャベツはニンニクの次に免疫機能を高める効果がある」「食物繊維を豊富に含み,腸内細菌の活性化に役立つ」「よく噛む必要があり,食前に食べることで食べ過ぎを防ぐ」.

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結びに

『消えない不調は「腸疲労」が原因(藤田紘一郎著,だいわ文庫)』から,第1章 「腸疲労」が現代人のカラダを狂わせる に着目して書きました.

腸疲労とは,腸内細菌が働きづらい腸内環境になっている状態をさします.現代では,ストレスや食習慣,過剰な清潔志向などから,腸内環境が悪化し,アレルギーを起こしやすい体質になっていると著者はいいます.子どもだけでなく,大人になるつれて次々にアレルギーが現れる“アレルギーマーチ”にも注意が必要です.

腸は,体内で最大の免疫器官です.アレルギーマーチを避け,目眩や倦怠感,口内炎,ニキビなど現代の不調を解消するのに,腸内環境を整え,免疫機能を高めることが大事だというのです.

ぜひ本書を参考に,腸を鍛え,免疫機能の高い身体作りを実践していただければ幸いです.

*腸内細菌叢についての詳細や,「幸せ」と腸の関係について,ぜひコチラもご参考ください

腸は脳よりも賢い⁉︎(2)「脳−腸 連関」の仕組み, 腸は脳より賢い⁉︎(1)群雄割拠の“腸内細菌叢”

 

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