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読書評『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』

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人を思いやる愛情に溢れています。

言わずと知れたラグビー界のスーパースター平尾誠二さん、そしてiPS細胞の第一人者でノーベル賞も受賞した山中伸弥さん。はじめて本書を目にして、なぜこの二人が友情?と思っていましたが、いざ読んでみると本当に二人の間で交わされた熱い友情、命の交流、魂の共鳴が感じられます。本書は、一昨年に胆管癌で亡くなった平尾氏の闘病生活最後の1年について、山中さんと平尾さんの妻恵子さんが語ったものです。そして二人が出会うきっかけとなった週刊誌の対談が、未公開部分を含めて載せられています。

まず読んで、平尾さん、山中さんのお二人とも格好いい。男が憧れるナイスガイといった感じです。お二人ともその分野で輝かしい実績を残していますが、そこに留まらず幅広く勉強を続けている。1つの考えややり方に固執せず、偏らない、非常にバランスのとれた考えをお持ちなんですね。

何より感銘を受けたのは、人を気遣う繊細さや愛情に溢れているところです。

山中さんは、多忙で世界を飛び回る合間を縫って、入院中の平尾さんを見舞います。また平尾さんの病状に合わせて治療法を調べ回り、家族と一緒になって考え、励まし続けます。

そんな山中さんに対して平尾さんは、闘病中も「なんか先生(山中さん)、元気なかったなあ、大丈夫かなあ」とむしろ相手を気遣います。山中さんがベストと思って提案した治療法について、「じゃあそれでいこう、先生」と全面的に信頼します。その他の人から治療の話が来ても、「先生に失礼だから」と言って取り合わなかったそうです。

こんなにも人は優しくなれるのか、相手を思って行動できるのかと、胸が熱くなりました。

お二人の対談から

次に、お二人の対談部分を読んで感銘した、今を生きる私たちも学べる考え方をご紹介します。

1。技術の革新に併せて持つべき倫理観

再生医療に臓器提供、原子力、仮想通貨、スポーツ栄養学にコーチング、トレーニング理論、競技道具などなど。医療、経済、スポーツ、あらゆる分野で人間の知識や知恵の向上とともに、技術革新が進みます。その一方で、無闇な新技術の暴走は、人類の危機をも招きまねません。遺伝子操作、放射能、ドーピングなど技術革新したからこそ出てきた問題で、未だ解決されていない難しいものは多々あります。

諸刃の刃となり得る技術革新に対して、それを使う私たちには、技術をコントロールする高い倫理観が求められます。

(倫理観とは)人間のなかに本質的にある「こういうことは許されるけど、これは許されない」みたいな感覚、観念ね(平尾)

より良いものを作る、成長するという向上心を燃やしつつ、一方で、どう使えばいいのか、どんなリスクがあるのかを冷静に養ってかねばならないでしょう。

向上心が、今までになかったものを作り上げるいちばん根源的なものですよね。僕は、それが人間のすごい能力だと思うんです。でも本質的なものを見誤ると、とんでもない方向にいってしまうという問題がありますよね(平尾)

2。人を叱るときの4つの心得

日本代表や社会人チームで指揮をとってきた平尾さんは、人を叱るときに次の4つを心得としたそうです。

  • プレーは叱っても人格は責めない
  • 叱った後で必ずフォローする
  • 他人と比較しない
  • 長時間にわたって叱らない

これは叱る目的が、あくまでチーム(組織)の目標達成へ向けて、それぞれの役割を果たすことを促すためにあるからだと思います。感情にまかせた“怒り”では、メンバーが指示の真意を理解せず、感情的な反発に終止するでしょう。4つの心得からは、個人のパーソナルな部分ではなくて、パフォーマンスに焦点をあてて自覚させる意義が感じられます。 

各個人がそれぞれの役割をきちんと果たすことを求める厳しさは、チームワークを語った次の言葉にも表れています。

(チームワークは、「助け合い」のように美しく語られるものではなくて、)もっと凄まじいものやと思うんです。いちばん素晴らしいチームワークは、個人が責任を果たすこと。それに尽きるんですよ(平尾)

結果にコミットし、メンバーそれぞれが同じ意識(方向性)で責任を果たしていく。押しつけではなく、内部から「やろう!」と声の上がる集団を築いていく。まさしくプロフェッショナルな集団だなと感じ入りました。

3。実践でスキルを磨く、海外に出る。次世代に向けて

「安定志向」「打たれ弱い」と表される若者へのメッセージが、二人から語られています。

実践で使うスキルは、「動作と判断力」からなります。このうち「動作」については、決まったやり方を練習することで身につき、(今の人たちも)この練習はきっちりやっている。しかし判断力について、試合でどう応用するのか、困難に直面したときにどう突破口を見出すか、などはゲームの経験と訓練によって磨いていくことが大切だ、というお二人の見解でした。

研究者の世界でも、“「ダメもと」でとにかくやっちゃえというところが、ブレイクスルーになることが多い(山中)というのは、意外でした。まずはやってみて、上手くいかなくても、その失敗から改善策を見出していく、次のチャレンジに備えることが何事か成し遂げる秘訣なのでしょう。

現場に飛び込んで、そこで直面する課題をどうにか乗り越えていく。思い通りにいかないことを、いかに面白がれるか、そのような発想も力になります。

4。世界とどう闘うか。

力勝負で押してくる強豪国の真似をしても勝てない。日本独自の勤勉さ、器用さ、高い技術力など優位性を出していく。

勝負というは、自分たちの持っている優位性で勝負していかなければ勝てない(平尾)

 

この戦略なら勝てるという見込みが百分の一でもあれば勝負するのが勇気(山中)

では具体的に私たちがどうしていくのかを、一所懸命考える必要があると二人はいいます。そして日本人が世界と戦うカギは、“こだわり、匠”あります。その人にしかできない技術や手法であり、“切り札”とも言うべきものでしょう。

世界を相手に戦うこのような考え方は、『孫子』の兵法につながるところかと思います。

善く戦うものは、勝ち易きに勝つ者なり(戦いに巧みと言われた人は、ふつうの人では見分けのつかないような、勝ちやすい機会をとらえて、そこで勝ったものである)

 

我は集まりて一と為り、敵は分かれて十と為らば、是れ十を以てその一を攻むるなり(こちらは集中して一団になり、敵は分散して十隊になるというのであれば、その結果は十人で一人の敵を攻めることになる)

お二人の心の交流や、対談の詳細をまだまだ書ききらないので、詳しくはお手にとってお楽しみください♪ とくにお二人の出会うきっかけや、ざっくばらんな対話なども楽しんで読めます。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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