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腸は脳より賢い⁉︎(1)群雄割拠の“腸内細菌叢”

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私たちの行動が脳内での神経伝達物質の働きに大きな影響を受けていると書いてきました。

人間の脳は、進化した神経細胞の集合体であり、神経細胞同士の膨大なネットワークによって働いています。

しかし生物の進化の過程では、脳よりも先に「腸」に神経系ができあがったのです。

実際、大腸には脳と匹敵するほどの数の神経細胞が存在しています

腸を例えて「第2の脳」と呼ぶこともあります。しかし脳内で働く神経伝達物質は腸内で作られており「腸は脳よりも賢い」と述べる研究者もいます。

腸を可愛がれば、脳がよくなる(藤田紘一郎・感染免疫学研究の第一人者)

今回は、こころとからだの健康に関わるの働きについてまとめていきます。

 

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体内で最大の細菌の生息地、腸内細菌叢

私たちの身体には、500〜1,000種類にも及ぶ、数100兆個、重さにして1,000〜2,000㌘もの「細菌」が常在しています。

細菌は、皮膚や消化管(胃腸)、呼吸器系(気管、肺)、口腔(口の中)、膣など、あらゆる「体表面」に存在し、その場所で固有の生態系を構成しています。

*胃腸や気管などは口からつながる管であり、外の空気と接しているので、身体にとっては「表面」といえる。

その中でも、常在細菌が最も豊富に存在するのが「消化管」であり、ヒトに定着する細菌の90%が消化管に生息しています

消化管内に生息する細菌の集団を「腸内細菌叢」、または「腸内フローラ」と呼びます。フローラ(flora)は、“その地域における全植物のまとまり(植物相)”を意味します。さまざまな種類の常在細菌がまとまって生息している腸内環境を例えるのに、言い得て妙です。

腸内細菌叢の構成

腸内細菌叢は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の集合体です。それぞれの菌群は次のような働きをします。

  • 善玉菌:ビタミンの合成や消化吸収の補助、感染防御、免疫機能の調整などに作用する。
  • 悪玉菌:腸内腐敗を招いて、細菌毒素や発ガン物質、有害ガスなどを産生する。
  • 日和見菌:健康なときは大人しくして中立を保ちますが、ストレス状態が続いたり免疫機能が低下したりしたときには、体に悪い作用をする

*普段は感染症を起こさない微生物が原因菌となり発症する感染症のことを「日和見感染」といい、病院や高齢者施設での集団感染の原因となったりします。

腸内細菌叢では、これらの菌群が常々勢力争いをしながら、全体の調子を変化させています。

腸内細菌叢

腸内細菌の働き

腸内細菌は次のような働きをしています。

  1. 病原菌を排除する
  2. 消化を助ける
  3. ビタミンを合成する
  4. ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の前駆体を脳に送る
  5. 免疫機能を整える

*前駆体:化学反応などで、ある物質が生成される前の段階にある物質。

腸内細菌は免疫機能、消化、代謝、精神状態に至るまで、こころとからだの健康に大いに貢献していることが分かります。私たちはもっと、腸内細菌を労ってあげるべきではないでしょうか。

腸内細菌の分類、年齢による細菌叢の変化

母親の胎内では子どもの腸内は無菌ですが、産道の通過や授乳を通して母親から常在細菌を受け継ぎます。生まれて数時間後には、腸内に細菌が定着を始めます。

乳児期の腸内で優性を占めるのは、ビフィズス菌です。ビフィズス菌は「善玉菌」の代表です。

やがて離乳食を食べ始めると大人の菌叢に変化してきます。

成人の菌叢には、ビフィズス菌の割合は10〜20%になります。

さらに加齢によってビフィズス菌が減少し、ウェルシュ菌や大腸菌などの「悪玉菌」が増殖してきます。

これら悪玉菌の増殖を抑えて、ビフィズス菌などの善玉菌が優勢な腸内細菌叢を保つのが、健康を維持・増進するのにとても重要です

腸内細菌叢の勢力図に影響するもの

腸内細菌叢の勢力図は、食事やストレス、加齢による蠕動運動低下などによって変化します。

ストレスによる交感神経活動の亢進は、副腎髄質からのカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)の分泌を促します。カテコールアミンの働きで悪玉菌が増殖し、病原性が高まります。

動物性食品精製加工食品は、消化に時間がかかり、腸内腐敗を招いて腸内環境を悪化させやすくなります。最近では、腸内細菌の餌となる食物線維の摂取量が減少することで、若くても腸内環境の良くない人が増えているといいます。

加齢によって、胃腸管の蠕動運動(食物塊を送り出す運動)が鈍くなると、腸内に食物塊が残ってしまい、腐敗して腸内環境を悪化させます。

一方、腸内細菌の餌である食物線維を豊富に食べたり、生きた細菌類を取り込もうとするプロバイオティクスなどの食事により、腸内細菌叢のバランスが整えられます。

*腸内環境を整える食事法について詳しくは、コチラ「免疫機能を整えるには、まず“食事”から!もご参考ください。

まとめ

  • 腸は脳にも匹敵するほどの神経細胞が集まっており、脳の働きと密接なつながりがある。
  • 腸は体内で最大の「細菌(腸内細菌)」の生息地であり、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が集まって「腸内細菌叢(腸内フローラ)」を構成している。
  • ストレスや食事、加齢によって悪玉菌が増殖し、健康を損ねる引き金ともなる。
  • 善玉菌が優勢となるような腸内環境を維持することが健康の維持・増進に重要であり、生活習慣が大きく関係している。

あなたも、こころとからだの相互関係(心身相関)における腸の働きを知って、健康の維持・増進にお役立ていただければ幸いです。次回は、腸と脳の関係について、より踏み込んで書いていきます。

 

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