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おさえておきたい!リハビリテーションを加速させる「生活習慣」のポイント

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わたしは外来で運動器疾患(骨や筋肉,靱帯などの損傷)の患者さんに対して理学療法に携わることが多いのですが,早い段階でその人の生活習慣をお尋ねするようにしています.

どのような生活習慣をしているかによって,外傷や手術後の回復スピード,慢性疼痛の管理に影響があるからです.

生活習慣は,その人その人で長年の積み重ねで定着しており,それに疑問を持っていない場合も少なくありません.しかし,これまでの生活習慣が今の症状を作りだした可能性もあり,リハビリテーションと今後のより良い生活のために意識を向けることが必要です.

患部の治癒過程や疼痛管理に影響を及ぼす生活習慣のチェック項目をご紹介します.

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リハビリテーションに重要な生活習慣をチェックする

例えば,「(手術や療養のために)入院しているうちに,それ以前よりも血圧が安定した,体重が減った」といった変化があります.これは医学管理だけでなく,生活習慣が整うことによって体本来の機能を取り戻すためでしょう.

たとえ運動器疾患であっても,リハビリ期間中には患部の機能障害の改善と合わせて,生活習慣の見直しを促します.そうすることで損傷組織の治癒促進,疼痛管理がスムースにいきます.

リハビリテーションで重要になる生活習慣とは,睡眠・食事・運動の3つを基本としつつ,仕事や嗜好品に関することもチェックしていきます.

「睡眠習慣」でチェックすること

  • 睡眠時間:トータルな睡眠時間と,時間帯(24〜6時に寝ているか)
  • 寝付きのよさ,中途覚醒や早朝覚醒の有無
  • 就寝までの過ごし方:就寝直前までスマホやパソコン,テレビを観ていないか.
  • 寝室環境:音や照明,湿度温度の他にラジオ,ペットと一緒?
  • 代表的な1日のスケジュール

十分な時間の質の良い睡眠は,1日の生体リズム(サーカディアンリズム)を整え,心身を健全に保つのにきわめて重要です.

早く寝てくださいと言っても,勤務態勢や家族の生活リズムなどによって,自分だけではコントロールできない部分もあるかと思います.例えば,夜勤と日勤のある仕事だったり,帰宅の遅くなる家族を待っていたり,お弁当作りのために早起きしたり…

その人その人の生活スタイルの中で,変えられるところ/変えられないところを考慮しつつ,自身の身体回復のためにできるところから実践していくことが重要です.

「とても忙しくて,私には無理」という方でも,本当に変えられるところはないのか.家族の協力を得て,一時でも時間の都合をつけることはできないのかを打診することもあります.

睡眠習慣

「食事習慣」でチェックすること

  • おもな食事の内容
  • 食事時間:時間帯と,規則性
  • 咀嚼回数:早食いになっていないか.
  • 好き嫌い:動物性のタンパク質・脂質に偏っていないか.
  • 間食の有無
  • 外食やお付き合いの頻度

食事習慣の乱れは,太りやすいだけでなく,消化器系にもストレスを与え,自律神経バランスも崩してしまいます.

下肢や腰の疾患で,体重管理が必要な方も少なくありません.「そんなに食べてないのに,体重減らないのよね」という方には,食べ方や食事内容,間食の有無を確認します.一口の噛む回数が少なく,早食いになると,食欲を抑えるホルモン「レプチン」が働かず,満腹感が得られないので肥満のもとです.

レプチンが満腹中枢に作用するには,20分かけて食事するのがコツです.睡眠不足もレプチンの分泌量を減らして,グレリンという空腹を感じるホルモンが増えてしまい,太りやすい体になります.体重管理の面からも十分な睡眠時間の確保が重要です.

「朝はパンとコーヒーだけ」という声もよく耳にします.しかし糖質だけの食事では血糖値が急上昇し,体脂肪として取り込まれやすくなります.甘い菓子パンだけで済ますのは言語道断です.

夜遅くなっての食事は,太りやすいうえに,交感神経を高めて寝付きを悪くしてしまいます.また就寝までの時間が短く,胃腸に食物が残ったまま寝ることになるので,消化不良や睡眠の質の低下を招きます.

食事習慣

「運動習慣」でチェックすること

  • 定期的な運動や身体活動の有無
  • 通勤手段
  • デスクワークが長いのか,こまめな立ち座りがあるか
  • 階段を意識して使うか

子どもから高齢者まで,ひとの心身の健康を維持・増進するうえで運動が欠かせないのは,周知の通りでしょう.

「健康日本21(厚生労働省)」によると,身体活動量が多い者や,運動をよく行っている者は,総死亡,虚血性心疾患,高血圧,糖尿病,肥満,骨粗鬆症,結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと,また,身体活動や運動が,メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められていいます.さらに高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が,寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されていいます.

「定期的な運動」の目安として,“週2回以上,1回30分以上の息が少しはずむ程度の運動”をすることが勧められています.

*健康日本21(身体活動・運動)

「忙しくて意識的に運動する機会を確保するのが難しい」という方には,「ニート」を心がける手もあります.これは非運動性熱産生(nonexercise activity thermogenesis:NEAT)のことで,意識的に行う運動ではなく,家事や通勤・通学など日常生活における動作で無意識のうちに消費される熱量です.できるだけ階段を使う,通勤の一駅分歩く,こまめに立ち上がるなど,ニートの量を増やす心がけが生活習慣病の予防にもなります.

運動習慣

意識して階段を使うことも,立派な運動です!

「仕事」に関すること

  • 家事・就労内容:デスクワーク/肉体作業,車での移動や出張は多いのか
  • 勤務態勢:夜勤の有無,規則的な休憩はとれるか,終業から次の始業までの間隔

家事や就労内容によって,患部を休ませることが可能かどうか,悪化させることがないかを判断します.

脚を引きずりながらも「人が少なくて,迷惑をかけるから休むに休めない」と訴える方もいます.しかし我慢できない身体の不調や痛みをこらえながらの作業では,効率も悪くなるのではないでしょうか.そこはお互い様で,仕事内容を変更してもらう,人と変わってもらうなどの工夫ができないかを打診します.

座位作業や車移動の長い方では,腰部・頸部の筋緊張亢進や下肢の循環障害が生じやすい状況だと考えられます.

また常に過剰な緊張感やプレッシャーを感じている方は,交感神経の過活動が続いている状況だと考えられます.「いつもバタバタしている,気づけば肩が上がっている,息の詰まった感じがする」といった感じを訴えられる方もいます.交感神経の過活動は,ノルアドレナリンの分泌を増やして血管を収縮させるので,患部が虚血状態となって組織治癒を妨げます.

その他

  • 水分補給の仕方
  • コーヒーやアルコール,喫煙など,嗜好品の摂取頻度と量
  • 入浴習慣:お湯にゆっくりと浸かっているか
  • 休日の過ごし方

こまめに水分補給をしていない,という方は意外に多いようです.ひとの身体の60〜70%は水です.水分不足では,血流がドロドロになり,損傷した組織の治癒も阻害されたり,筋肉の緊張感が亢進しやすくなります.午前と午後でそれぞれ500mℓペットボトル1本ずつを飲むような習慣づけ(見える化)が必要です.

「水分はほとんどコーヒーと,食事のときのお茶でとっている」という方も安心できません.カフェインによる利尿作用によって,体細胞は脱水状態に. それが日常化すれば,血液ドロドロ,筋肉ガチガチの慢性疼痛体質へまっしぐらです.こまめな飲水の習慣(のどが渇いたと感じる前に飲む)によって,循環を促し,副交感神経を活性化するきっかけにも利用できます.

入浴もリハビリとセットだと考えられます(極論ですが,それくらい重要!).

結びに

リハビリテーションの進行具合に影響する生活習慣のチェック事項を挙げました.わたしも理学療法を担当する患者さんに,早い段階で尋ねるようにしています.

先にあげた習慣はいずれも,自律神経機能の変化を通して血流に影響を与えます.スムースな血流の確保は損傷組織の治癒過程や骨格筋緊張の緩和に欠かせません.

自律神経が乱れ血液ドロドロ状態のままでは,疼痛管理や機能改善も思うように進みません.

そもそも生体には,恒常性(ホメオスタシス)を保とうとする機能が備わっています.ホメオスタシスは主に,自律神経系・免疫系・内分泌系によって調節されています.これらは生活習慣によって日々変動しながら,身体の内部環境を一定に保とうと努めてくれています.

生活習慣を整えることでこれら3者の機能を発揮させることが,機能改善と動作能力,活動性向上を実現する早道です.

患者さんのリハビリテーションに携わるうえで,ご参考になれば幸いです.

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