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“老後破産”という現実を知る

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“老後破産”という現実を知る
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年金で暮らしていた高齢者が病気やケガ、配偶者の死去などが引き金となって、自分の収入だけでは暮らしていけなくなる。

このような高齢者の境遇を、NHKの板垣淑子プロデューサーは「老後破産」と呼び、NHKスペシャルとして取り上げました。

一人暮らしの高齢者が600万人に迫る現在200万人余りの高齢者は生活保護を受けずに年金収入だけでギリギリの生活を続けており、病気や要介護状態などで生活が破綻してしまう、老後破産の危機にあるといいます。

1 高齢者の家族と世帯|平成28年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府

そもそも憲法25条において「健康で文化的な最低限度の生活」が定められていますが、老後破産ではこの最低限度の生活まで破綻してしまいます。

「食費は一日100円」「病院に行く金も無い」「カラスだけが話し相手」…現在の日本で間違いなく起きている老後破産の過酷な現実を浮き彫りにしたのが、本書、

『老後破産 長寿という悪夢(NHKスペシャル取材班、新潮社)』 です。

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一人暮らしの高齢者に潜む危機

全国各地での単身高齢者の生活実態を調査した河合克義教授(明治学院大学)は

一人暮らしの高齢者は、年金収入だけが頼りになるため、経済的に困窮している割合が高い

と分析しています。

さらに一人暮らし高齢者で経済的に苦しい人に中には、配偶者を亡くした後に年金が一人分減ったことで追い詰められるパターンが多いようです。夫婦二人分の年金で維持してきた生活が、突然、一人分に減り、生活を維持出来なくなるのです。

例えば、本書で紹介されている事例は、次のような方です。

『老後破産 長寿という悪夢』で紹介される事例

この収支をみると、

年金収入だけで暮らしていけない高齢者は、病気やケガなどで出費が重なるなどすれば、いずれ「老後破産」に陥るリスクを抱えている

ことを実感します。

生活保護を巡るモヤモヤ感

年金額が少なく、他に預貯金や財産がなければ、生存権が保障されているように「生活保護制度(厚生労働省ホームページ)」があります。

いったん生活保護を受ければ、医療や介護は無償で受けられます。

しかし、実際に生活保護を受けている高齢者は10%程度にとどまります。ほとんどの人は年金収入だけで、預貯金を切り崩しながら、切り詰めた生活を送っています。

本書では、自宅を手放したくない一心で、生活保護を申請しない人も記されています。

原則として、資産として扱われる自宅を売却して生活費に充てた後でなければ、生活保護を受けられません。しかし、この原則は今、少しずつ緩和されているようです。家が古かったり、土地の価格が非常に安かったりする場合、「財産価値が少ない」と判断されれば、自宅を手放さずに生活保護を受けられます。

「医療扶助」や「介護扶助」という形で、医療や介護の費用に限って、生活保護を受けられるという制度の利用の仕方を認めている自治体もあります。

*詳しくはコチラ→「生活保護申請のたった二つの条件

受けたくても受けられない介護保険サービス

介護保険サービスを利用していない人が81.6%にのぼりました(河合教授の調査。2004,2011、東京港区でのアンケート調査)。

介護保険で利用できる1ヶ月の上限額(支給限度額)が要介護度によって決まっています。この限度額内であれば、介護保険サービスを原則として1割、一定の所得がある方は、所得に応じて2割(平成30年8月からは3割)で利用できます。

しかし、いずれにしても自己負担が生じており、この自己負担額を支払うことさえも難しくなり、生活を維持できなくなる場合もありえます。要介護度が重くなり、利用するサービスを増やしたくても、自己負担額の増額には堪えられないため、泣く泣くサービス利用を控えている場合もあるようです。

区分支給限度額と利用状況

心の居場所を失う(つながりの貧困)

人付き合いや親族関係にもお金は入り用です。身内の冠婚葬祭があれば、ご祝儀、ご香典などの出費が伴います。低所得高齢者では、これら出費も生活費の痛手となるため、自然と人付き合いから疎遠になりがちです。

気づけば、頼れる身内もなく、友人関係も疎遠になり、公園のカラスだけが話相手…なんて生活は寂しいものです。人間関係のつながりの喪失から生き甲斐を失い、心の居場所が無くなることで、生きる気力まで失ってしまう。

生活困窮と生き甲斐喪失の負の連鎖を防ぐためにも、現実を知って、適切な対策と支援がなされる社会作りが急務です。

コミュニティ

本書を読んで考えたこと

  • “金の切れ目が縁の切れ目”と言わんばかりに、経済的困窮をきっかけに人間関係が希薄になったり、心の居場所まで無くしたりしてしまうのは本当に寂しいもの。“長く生きてきて良かった”と思える社会であってほしいと切に願います。
  • 痒いところに手が届く(本当に必要な人に必要な支援、サービスが届く)システムや制度を作っていくことが求められている。そしてそれは、時代や社会の変化に応じて、随時更新されていくものでなければならない。
  • 「予防事業」や「(老後破産を未然に防ぐ)事前の策」は、必要なサービスとしての意義が大きいと思われる。例えば、前者でいえば介護予防や疾病予防、腰痛予防など。後者には、独居高齢者の様子を察知して、破産に陥るリスクに応じて先手の支援をさしのべることができるなど。見守りシステムでいえば、地域包括支援センターや社会福祉協議会、民生委員などが連携してことに当たられている。今後はさらに、機械化やIT技術がそれを後押しするのではないだろうか。実際に、平成30年度診療報酬改定によって、疾患等に限定はあるものの、「遠隔診療」にも加算が該当するようになっている。
  • 当事者にとっても、支援やサービスを受けることに対して恥じらいや世間体を気にするのではなくて、「自分の人生や社会が円滑に営まれるために必要なもの」であるという認識が浸透されることが必要。
  • 医療や介護のサービスも“生産性(効率化)”を求められる。限られてた時間とお金の中で、どれだけの成果を出せるか。たとえ入院して病気が治癒したとしても、治療費がきっかけで生活が破綻しては元も子もない。
  • 企業による「ベーシック・インカム」の実現も一案として期待。ベーシック・インカムとは、「衣食住など生活に最低限必要なものを保証する仕組み」のこと。

ロボットやAIなど、テクノロジーの進歩によって社会が効率化され、あらゆるものが無料に近づいていった先には、企業によるベーシック・インカムが待ち受けているかもしれません。(『未来予測の技法』佐藤航陽)

 

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