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『現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一著)』<読書評>

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『現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一著)』<読書評>
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“道徳にもとづいた経営”を説いた歴史的名著『現代語訳 論語と算盤(渋沢栄一著、守屋 淳訳。ちくま新書)をご紹介します。

 

あなたに読んでほしい

本書はすべてのビジネス人に必読の書と薦められていますが、とくに次のような方に読んでいただくと、きっと学ぶべき事柄が豊富にあります。

  • やりたい仕事と得られる利益の間でどちらを取るのか、悩んだ経験がある。
  • 社会人としての振る舞い、心構えを学びたい。
  • 組織のチームワークや人材育成に苦労したことがある。
  • 経営に携わり、組織を力強く引っ張っていきたい。

『論語と算盤』の成り立ち

『論語と算盤』は、渋沢栄一の講演の口述をまとめたものです。

1886年、渋沢栄一を慕う人々によって「龍門社」という組織が結成されました。龍門社は現在の渋沢栄一記念財団の前身となります。龍門社が発刊した機関誌「龍門雑誌」の中で、渋沢栄一の講演を掲載していきました。その中から、編集者である梶山 彬が90項目を選んで、テーマ別に編集されたのが『論語と算盤』(1916年、東亜堂書房発行)になります。

本書『現代語訳 論語と算盤』は、守屋 淳が『論語と算盤』から重要部分を選び、現代語に訳したものです。

渋沢栄一について

渋沢栄一は、後生「日本資本主義の父」「実業界の父」と称されるように、約470社の設立や500以上の慈善事業の設立に関わり、日本の資本主義や実業界の制度を設計した人物です。

日本が豊かで繁栄していくには軍部や政官だけではなく、実業界が発展していく必要があると考えました。ただし、ともすれば利益を求めて暴走しうる(バブル景気や金融危機など)資本主義に歯止めをかける枠組みも必要です。その枠組み、道徳を『論語』の教えに見出したのです。

『論語』は、中国の春秋時代末期に活躍した孔子の言行録を、その弟子達が記したもので、「人はどう生きるべきか」「どのように振る舞うのが人としてふさわしいか」という道徳や処世訓が語られています。論語は、多くの経営者や教育者で座右の書とされている方もおり、経営や処世術、人格形成の学びに役立てられています。

先日のブログでは、プロ野球 北海道日本ハムファイターズの栗山英樹監督が『論語と算盤』の教えをもとに強いチーム作りや人材育成に書かれた本をご紹介しました。

リーダーとして悩んだら読みたい!『育てる力 栗山英樹「論語と算盤」の教え』<読書評>

こんな本

渋沢は、実業として組織の利益を求めつつ、その利益は正しい道徳に則って得てこそ永続することができると説いています。論語の教えをもとに、道徳と利益を完全に一致させようと希求したのです。

実業とは、多くの人に、モノが行きわたるようにするなりわいなのだ。これが完全でないと国の富は形にならない。国の富をなす根源は何かといえば、社会の基本的な道徳を基盤とした正しい素性の富なのだ。そうでなければ、その富は完全に永続することができない 

このことを「士魂商才」という言葉でも表現しています。
士魂商才とは、「武士の精神と商人の才覚を合わせ持つ」ことで、

人の世の中で自立して生きていくためには、武士のような精神が必要であることは言うまでもない。しかし武士の精神ばかりに偏って「商才」がなければ、経済の上からも自滅を招くようになる。だから「士魂」とともに「商才」がなければならない 

と述べています。では「士魂」「商才」は、どのように養えばよいのか。渋沢は、いずれも『論語』から養うことを提唱しています。というのも、真の「商才」は、もともと道徳が根底にあり、世の中をどう渡っていくのがよいか、『論語』を読んで大きなヒントが得られるからです。

士魂商才

道徳が大事と聞けば、人と争うことをせず、粛々と自らを修めていく修行のような印象があります。しかし渋沢は、その争いが道義に沿った自らの志を貫くためのものであるならば、決して人と争うことを否定してはいません。むしろ次のように、成長や発展に不可欠のものと述べています。

国家が健全な発達を遂げていくためには、商工業においても、学術や芸術、工芸においても、また外交においても、常に外国と争って必ずこれに勝ってみせるという意気込みがなければならない。国家ばかりではない、一個人においても、常に周囲に敵があってこれに苦しめられ、その敵と争って必ず勝ってみせる気概がなくては、決して成長も進歩もない 

『論語と算盤』は、世の中をどのような心構えで渡っていくのかを説いてもくれます。

例えば、逆境に立たされたとき。夢や目標の達成へ向けて励んでいるとき、誰しも思い通りにいかない局面が来るでしょう。渋沢は、それが「人の作った逆境」なのか、それとも「人にはどうしようもない逆境」なのかを区別すべきだといいます。

「人の作った逆境」に対しては、ほとんどが自分で蒔いた種なので、とにかく自分を反省して悪い点は改善し、本気で取り組んでいくこと。そして「人にはどうしようもない逆境」に対しては、天命に身をゆだね、腰をすえて来たるべき時を待ちながらコツコツと挫けずに勉強していく。

そして何より大事なのは、そのどちらにおいても心を平静に保ち、これが「自己の本分(自分に与えられた社会の中での役割)だと覚悟を決める」のが解決策だといいます。

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結びに

渋沢栄一による経営や労働、立志に関する教えである『論語と算盤』をご紹介しました。

本書を読んで、きっとあなたの仕事観が変わります。利益を求めて強欲に陥るでもない、私欲を嫌って清貧に甘んじるでもない身の程をわきまえ(=足るを知る)ながらも、生涯にわたり自分を磨きながら新しいチャレンジをやめない。そのバランス感覚が大事で、道徳と利益を完全に一致させるような働き方を求めていきたいものです!

道徳にもとづいた利益とは、つまり「人(顧客)に喜んでもらう、社会に貢献する」「働く自分も、協力者や関係者もやりがいや幸せを感じられる」、お互いハッピーな関係作りになってくるのではないでしょうか。その方法は、制度の抜け道や人の足元を見るようなやり方ではなくて、やはり王道をいくのがベストでしょう。

その他にも本書では10章にわたり、処世や学問、人格形成、実業、教育、運命など、人間力を磨くのに最適な教えが多数あります。きっと何度も読み返すことで、そのときの自分の置かれた状況や心境に応じて、成長のヒントとなるものがあるでしょう。例えば以下のような教えが豊富にあります。

  • 社会で生きていくうえで必要な「常識」は、「知・情・意(知恵・情愛・意志)」がバランスをとって成長していくことで身につく
  • 志を立てるときには、冷静に自分の長所と短所を分析し、もっとも得意とするところに向かって志を定めるのがよい。
  • 人が活躍する範疇は自由であり、適材が適所で成績を挙げることが社会に貢献する本当の道である。
  • 自分を磨くときには、学問と現実とを完全に調和させながら行うことが大事。

訳者の意図として、現代語訳にあたり簡潔な言葉で書かれているので、とても読みやすく、すっと頭に入ってきます。 

働くあなたに、ぜひオススメの一冊です。

 

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