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肥満より怖い!「サルコペニア肥満」にご用心

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「サルコペニア」は加齢とともに筋肉の量が減少し,筋力や歩行速度が低下した状態であり,進行すると転倒や要介護状態となるリスクが高まります.

近年では,サルコペニアに肥満が重なった(つまり筋肉が少なく,脂肪の多い)病態として「サルコペニア肥満」が問題視されています.

「サルコペニアなんてまだまだ先の話」と油断はできません!サルコペニア肥満は年齢が上がるほど増えますが,早い人では40歳代で発症し,70歳代では通常の肥満より増える傾向があります.

サルコペニア肥満は,単独のサルコペニアや肥満よりも,動脈硬化による心血管疾患の発症や身体機能低下,転倒,死亡率などのリスクが高まるとされます.

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通常の肥満よりも怖い,サルコペニア肥満

骨格筋量は,とくに運動習慣のない人であれば,20〜30歳代をピークとして,40歳ころから減少し始めるといわれます.さらに筋力は,骨格筋量の減少よりも先行して,低下していきます.

さらに肥満は,筋量減少・筋力低下の進行を助長し,病気の発症や日常生活能力の低下を招くリスクが高まるのです.

サルコペニアと肥満が関わる病態には,脂肪組織が分泌する炎症性タンパク質やサイトカインによる慢性炎症状態や,レプチン抵抗性,インスリン抵抗性,酸化ストレスなどが考えられています*.

慢性炎症状態にあると,筋タンパク質の異化作用(分解)が進み,筋萎縮やサルコペニアの進行につながります.またインスリン抵抗性によって,筋タンパクの同化障害(合成を妨げられる)やミトコンドリア機能障害をきたします.筋量が減少することでインスリン抵抗性やエネルギー消費減少が進行し,さらに肥満を招くといった悪循環を生じます.

肥満単独よりもサルコペニア肥満のほうが,インスリン抵抗性やメタボリックシンドローム(メタボ)のリスクが高くなります.さらに糖尿病や腎機能障害をもつ患者では,サルコペニア肥満の進行が加速されます.

サルコペニア肥満

「糖尿病ネットワーク」より

外見で太っていない人やBMIは標準という方も安心はできません!筋量が少ないために,太って見えなかったり,相対的に脂肪量が多かったりするためです.

姿勢を保ち,からだを動かしているのは紛れもなく筋肉の働きです.少ない筋肉に対して脂肪が過剰に多ければ,筋肉や関節への負担が増して,痛みや歩行速度低下につながります.

良質なタンパク質摂取と運動で筋肉をつくる

サルコペニア肥満の改善には,食事運動療法が大切です.

筋肉の合成に必要な適量のタンパク質を摂取し,身体活動やスポーツによる運動量を増やしていきます.さらに運動は,筋タンパク質の合成を促すとともに,体脂肪を減らし,肥満解消へとつながります.

1日にタンパク質を摂取する目安は,体重1㎏あたり1.0〜1.2㎏が奨められます.肉,魚,卵,大豆製品,海藻類など,バランスよく食べるのがポイントです.バランスよく食べることで,9種類ある必須アミノ酸をまんべんなく摂取でき,筋の合成が効率よく行われるためです.また運動直後にタンパク質を摂取すると,より筋の合成が促されます.

なおアルコール摂取は筋タンパクの分解を進めるため,過剰な飲酒は避けるのが賢明です.

タンパク質

運動ではとくに,姿勢保持や移動能力にかかわる体幹・下半身の筋肉を積極的に動かしていくのが大切です.ウォーキングやジョギングといった有酸素性運動に加えて,筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動(筋力トレーニング)が有効です.

日本整形外科学会がロコモティブシンドロームの対策として推奨している「ロコトレ」では,スクワットと片脚立ちが紹介されています.足腰に痛みがある方やご高齢の方が行う場合には,手すりにつかまったり,イスからの立ち座り動作から始めるのをオススメします.

ロコトレ

立ち上がり

日常生活での運動量を増やしていく工夫もできます.テレビを見ながら足踏み,歯を磨きながらスクワット,食器を洗いながらつま先立ちなど,「〜ながら運動」も大切です.

さらに「ニート」という考え方もあります.これは非運動性熱産生(nonexercise activity thermogenesis:NEAT)」のことで,意識的に行う運動ではなく,家事や通勤・通学など日常生活における動作で無意識のうちに消費される熱量(カロリー)です.できるだけ階段を使う,通勤の一駅分歩く,こまめに立ち上がるなど,ニートの量を増やす心がけが生活習慣病の予防にもなります.

結びに

管理人は病院の外来リハビリで,筋肉や関節の痛みを抱える方,歩行や立ち座りに苦労するようになったという方に対峙してます.体成分(体組成)分析を行うと,見た目はそれほど太っていない方でも,筋量が少なく,脂肪量が多いという方は少なくありません.とくに運動経験や習慣のない女性に多い印象があります.

そのような方の生活習慣をお伺いすると,糖質過多やタンパク質不足の食事,運動不足の事情がとても気になります.「朝ごはんはパンとコーヒー,お昼はサラダ,間食にスイーツ.移動はほとんど車を使い,歩くのはスーパー内の買い物くらい…」のような生活では,サルコペニア肥満へまっしぐらです.

世界の全死亡者の約10%は,「身体不活動」が原因だとして,WHOも危険因子に挙げています.運動不足は,死亡率を高めるリスクなのです!

自分の好きなこと・やりたいことをやるためにも,“からだが資本”です.将来まで活動的な生活を続けるためにも,今から心がけいただければ幸いです.

最後までお読みいただきありがとうございます.

*小原克彦:サルコペニア肥満.日本老年医学会雑誌51:99-108,2014.

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