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プロのトレイルランナーが教える,年齢に負けない強さの秘密<読書評>『日常をポジティブに変える 究極の持久力 疲れない身体とアタマの作り方』

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『日常をポジティブに変える 究極の持久力 疲れない身体とアタマの作り方』(鏑木 毅著,ディスカバー21)の著者は,49歳になる現在も世界レベルのトレイルランニングレースで常に上位入賞を果たす,プロのトレイルランナーです.

トレイルランニング(コトバンクより)

本書は,著者が自身の競技経験から持久力アップの方法,そして日常生活を疲れ知らずで過ごす身体作りを解説したものです.著者は,学生時代には箱根駅伝を狙うほどのランナーだったそうですが,坐骨神経痛に悩まされて競技生活を断念. 社会人となって,28歳のときにトレイルランと出会い,40歳でプロ選手となりました.

競技開始年齢が遅かったため,歳を重ねるごとに競技パフォーマンスの低下を痛感していました.そんなとき,59歳のイタリア人ランナーが過酷な大会で優勝するのを目の当たりにします.その肉体は,決して強そうなものではなく,むしろ頼りなさげに見えたそうです.しかし,彼の強さは,そのエネルギー代謝能力にあったのです.つまり,体脂肪を効率よくエネルギーに変える能力が際立っていたといいます.

筆者のいう「持久力」とは

単に心肺機能を指す言葉ではなく,できるだけ疲れず,できるだけ長く動き続けることができる能力のこと.それはつまり,体脂肪を効率的にエネルギーに変えられる,燃焼効率を意味しています.(中略)要は,いま身体の中に蓄えられているエネルギーを,いかに効果的に活用できるかが勝負を分けるのです.(26ページより)

こうした持久力を高めることは,アスリートのみならず,あなたの日常生活にもプラスになります.

体脂肪が優先的に燃える体質に整えることができれば,長時間の労働でも疲れにくく,心身や脳が高いレベルでのパフォーマンスを維持できるはずなのです.(27ページより)

今回は,著者が薦める疲れない身体とアタマ作りのなかでも,とくに食事を中心とした身体の代謝機能向上をピックアップしてご紹介します.

著者のすすめる持久力アップのカギは3つです.

  • 抗酸化
  • 低糖
  • 食事改善

アンチエイジングに大切なのは「抗酸化」

私たちが生きていくのに,酸素は欠かせません.呼吸によって酸素を取り込み,ミトコンドリアでエネルギーを産生し,二酸化炭素を排出しています.しかし,取り込んだ酸素の一部は有害な「活性酸素」と呼ばれる酸化力の強い成分として体内に留まります.

(活性酸素は)いわば燃料を燃やした後の“燃えカス”のようなもので,これがたまりすぎると細胞や血管の正常な動きを阻害するほか,動脈硬化や生活習慣病を招くことにつながります.(32ページより) 

つねに体内で一定の割合で作られている活性酸素は,随時,除去する必要があります.活性酸素を除去する仕組みが「抗酸化作用」です.抗酸化作用を持つ成分をできるだけ体内に充たしておく必要があります.

抗酸化作用を持つ物質が充分に蓄えられていれば,呼吸によって活性酸素が発生した際,その都度そのはたらきを撃退することができます.

抗酸化は,あらゆる生き物にとって避けられない現象である老化に対抗する,重要にして唯一の力となります(34,35ページより)

著者は抗酸化作用の研究を続けた結果,「アスタキサンチン」という成分に出会ったといいます.アスタキサンチンはβカロテンやリコピンなどと同じカロテノイドの一種で,“エビやカニなどの甲殻類,サケやタイといった魚など,主に海洋系の食材”に多く含まれている成分です.“加熱した際に赤くなる海の食材”が,特徴です.

脂肪の燃焼効率の良い身体を作る

持久力アップのカギは,いかに体内に蓄えられた脂肪をエネルギーに変換するか,その燃焼効率を意識することでした.なぜなら脂肪は,1kg当たり9,000kcalという非常に高いエネルギー源となるからです.そこで,燃焼効率の良い身体作りを求めた結果,著者は「低糖」の食事にたどり着きました.

日頃から糖類を多く摂っていると,人は血糖値が上がりやすくなり,脂肪エネルギーよりも糖エネルギーを優先的に使う体質になる(59ページより)

ふだんから体内の血糖が多ければ,まず糖がエネルギー源として利用されます.しかし糖代謝によるエネルギーは長続きせず,血糖値の乱高下によってパフォーマンスが安定しなかったり,精神的にも不安定になりがちです.脂肪を効率的にエネルギーに変えるためには,「血糖値の上がりにくい体質を作り上げる」ことが重要といいます.

低糖を意識した食事は,トレイルランの本場,アメリカでも常識的なのだそうです.

トレイルランニング

炭水化物の取り方に注意する(「低糖」の実践)

燃焼効率のよい身体作りでは,毎日の食事を見直すことが近道だと著者はいいます.つまり,血糖値を上げる原因となる炭水化物の摂取を抑えることです.

私たちの食生活は,多くの炭水化物に囲まれています.白米やパスタ,うどんは言わずもがなですが,芋やれんこん,ニンジンなどの根菜類,パン粉にも多くの炭水化物が含まれています.

逆に,炭水化物の含有が少ないのは,肉類全般や魚介類,野菜やきのこ,豆腐,卵,チーズなど.

そうは言っても,いまの食生活をガラッと一変させることは簡単なことではないでしょう.しかし,自分が食べているものに,どのくらいの炭水化物が含まれているのかを知っておき,できる範囲から取り組んでいくことが重要です.

例えば,

白米を玄米に変える,パン食の人であれば全粒粉の商品を選ぶ

ことで糖質を抑えることができます.

食べる順番によっても,血糖値の上がり方を穏やかにすることができます.

空腹の状態でいきなり白米をかきこむと,血糖値は急上昇してしまいます.そうではなくて,最初に野菜,次におかずをたいらげた後,最後に白米を食べるように意識するだけで,血糖値の上昇が抑えられることが科学的にも判明しています.(63ページ)

ただ,炭水化物をまったく摂らないというのも,コンディションを悪くする恐れがあります.食事から炭水化物を減らす取り組みを始めて当初は,脱力感があったり,頭がボーッとしたりすることもあります.少しずつ炭水化物を減らしながら,自分のペースを見極めることが必要です.

エネルギー代謝的にも,まったくの無糖はよくありません.なぜなら糖は,脂肪を燃やす際の“着火剤”の役割を果たすものなので,これがなければ,そもそも脂肪代謝を促すことができなくなってしまうからです.

脂肪エネルギーを最大限に活用するためには,糖を摂りすぎていけないし,減らしすぎてもいけない.(中略)ただ少なくとも現代の日本の生活においては,糖を「減らす」より「摂取しない」という意識を三度の食事の際に持っていれば,結果的に適度な糖の摂取に留められるのではないか(67ページより)

そうした条件を簡単に満たすために,著者のおすすめは「鍋料理」とのことです.

結びに

まさしく「究極の持久力」を求められるプロのトレイルランナーが伝える,疲れない身体作りの方法です.ただ競技の結果が上がればよいという分けではありません.

もともとは年齢に逆らって記録を伸ばしたいという,アスリートとしての純粋な意欲に端を発したアンチエイジングへの取り組みですが,結果的にそれが,生活に張りを与え,健康な心身を維持する嬉しい副作用をもたらしました. (206ページより)

健康な心身を維持していくことは,歳を重ねてもやりたいことを続けられる,自分らしい人生を過ごしていくための基盤となります.本書を参考に疲れない身体作りを実践し,いつでもワクワクして,楽しくエイジングしていってほしいと思います.

 

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