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現代の孤独を生き抜くために.<読書評>『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE 』

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今回ご紹介する『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE 』(佐渡島庸平著,幻冬舎)の著者は,『バカボンド』(井上雄彦)や『ドラゴン桜』(三田紀房),『宇宙兄弟』(小山宙哉)など数多くのヒット作を生み出した編集者.現在は,コミュニティの可能性を見出し,コルクラボというオンラインサロンを主宰されています.

本書では,たくさんの情報が溢れ,可視化されるようになった現代社会において,「コミュニティ」のあり方について,考え,語られているものです.コミュニティに対する筆者のこんな思いから始まります.

「not alone」そんな気持ちを持たせてくれるのは,コミュニティだけだ.今までの物理的な必然性で生まれたコミュニティではなく,インターネットの中で,「好き」を中心にしてできたコミュニティに可能性があるというのが,僕の仮説だ.インターネットの力は,自由と安心,両方をもたらしうるのではないか.(16ページより) 

キーワードは,「安心と自由」です.

元来,人間は「安心と自由」の両方を欲しがってきました.しかし,その時代や社会のあり方によって,どちらかを取れば,どちらかを失うという状況でした.

それが今,インターネットを介したコミュニティのあり方によって,「安心と自由」の両方を得られるのではないかと筆者は考えているのです.それは,「僕自身が幸せになるために,安心と自由の両方が確保されたコミュニティが必要」ということに端を発します.

今回は,本書の中でも「第3章 安全・安心とは何か」をピックアップします.

その人なりの安全・安心を確保してから,挑戦している

それは筆者の「安全・安心」に対するとらえ方の変化から始まっています.

僕は講談社という安全・安心な場を捨てて,起業したように多くの人は思っている.しかし,僕の中では違った.結婚して家族ができたことで,社会の中での居場所を生み出すことができた.妻との関係は,僕に非常に大きな自己肯定感をくれた.それによって,僕の心理的安心と安全が確保されたから,僕は挑戦してみようという気持ちになった.(155ページより) 

つまり,「ここにいてよい」という自分の居場所,安心できる環境になったことで,安心して次の一歩を踏み出せるようになったというのです.これは人の挑戦を支えるとても大事な秘訣だと思います.子どもの発達の過程にも似ています.親が見ていてくれるからこそ,子どもは知らないものを触ったり,向こうに行ってみようと行動できます.心理学では,“安全基地(セーフティ・ベース)”といわれます.

ここで,安全と安心を定義します.といっても画一的な安全・安心があるわけではありません.

すべての人に共通する安全と安心があるわけではない.立場と状況によって変わる.人によって,何が安全・安心かが変わるのだ.(158ページより)

それは例えばこんな状況です.

甲子園を目指そうとしている野球部にとって,野球を遊びでやりたいから練習時間を減らそうと強く主張する人が入ってくると,安全・安心が脅かされる.一方,野球は遊びでいいと思っている野球部に,甲子園を目指さずに野球をやる意味はないと強く主張する人が入ってくると,その場合も同じく,安全・安心が脅かされる.

勉強ができる子が,周りの生徒に合わせて,簡単な勉強をしないといけないことは,勉強のできる子の安全・安心が危険な状態といえる.かといって,飛び級が正解というわけでもない.勉強面では飛び級でもいいかもしれないが,精神的に成長していなければ,違う精神状態の人たちに交ざることは,安全・安心が危険だともいえるからだ. (158ページより)

安全は,場所やモノに紐付いて,客観的に身の回りに危険がなく,危険があったときの準備ができている状態.安心は,人の心理状態が反映されて,置かれた状況のイメージがわくことといいます.例えば,「東京は安全な街だ」といえば,生活のためのインフラや危機管理設備が整っていることなどが挙げられます.一方,「東京は安心な街だ」といえば,発信者の主観によって心地よさを感じている状態といえそうです.

コミュニティにおいても,まずは安全にもとづく安心が確保され,「コミュニティでやることが明確になる」と,「こんなことやってみよう」と夢中(「熱狂」)になり,組織が自走しはじめるというのです.

ものごとを成し遂げるには,強烈なモチベーションと行動力が不可欠なのは言うまでもないでしょう.ただ,その順番が大事だといいます.「安全・安心の確保→熱狂→拡大→安全・安心の確保」を繰り返すのが重要ということです.

安全・安心の重要性

「信頼関係」を作る

インターネットやITの発展,人の出会いや行動も果てしなく広がっていきます.さまざまなマスメディアやSNSによって毎日,膨大な情報に晒されています.ともすれば情報がありすぎて,どれを選んでよいのか,誰を信じてよいのか混乱してしまい,結局身動き取れず…となってしまいそうです.

そのような社会で情報の取捨選択に基準となるのに,「信頼できる人からの情報(紹介,推薦)」があります.例えば,インターネットショップでのレビューや,口コミなどです.誰しも好んで失敗したり,時間やお金を無駄にしたりしたくはないものです.だから「あの(信頼できる)人が言っている,薦めているものだから,きっと間違いない」と確信を得たいのです.

筆者はコミュニティの運営において,安全・安心を確保した後に,次は「信頼」を軸にした関係作りを目指すといっています.

「信頼」と似た言葉で「信用」があります.信用と信頼の違いについてこのように語られています.

信用は,過去の実績や成果物を,価値があると評価することだ.過去のことだから虚偽でない限り崩れないし,片方が一方的に評価するので,関係にならない.

一方,信頼は,未来のことをさす.過去の実績を「信用」して,不確実性のある未来のことも信じて,評価する状態が,信頼だ.片方が一方的に信頼することはできない.信頼は常に双方向だ.だから,「信頼関係」になる.(178ページより)

信頼関係

コミュニティにおいても,メンバーがお互いの未来を信じあえる,信頼関係を築くのが重要といいます.信頼関係だからこそ,より良い未来のために,協働していけるのでしょう.昨今のニュースで耳にするような,絶対的存在による「恐怖政治」や信仰であれば,それはお互いで作り上げていくという風潮にはならず,暴走したものを止めることもできないでしょう.

では,信頼関係はどう築いていけばよいのでしょうか.本書では一つ,「自分の物語を何度も語れ」と提案しています.

自分の物語を何度も語る

安心とは,イメージがわくことだといいました.そして人は,イメージがわかないもの,とらえどころのないものに漠然とした不安を抱きます.つまり,お互いを知ることで安心が生まれ,信頼関係につながっていきます

お互いを知るために,自分の物語を何度も語るのです!

筆者の運営するコルクラボでは,何度も何度も自己紹介をし合うといいます.自分を理解してもらうためなので,そこに謙遜はいりません.

自己紹介とは,ある意味,自分の物語を相手に聞かせることだ.自分のことなど,相手が興味を持たないはずというのは,一見謙虚なようで,実はコミュニティにおいては自分勝手な行動だ.自分がどんな人間かを紹介するのは,自己アピールではなく,その場にいるメンバーの安心のためだからだ.(198ページより) 

相手を知り,自分自身を知ってもらうためには,お互いに「何が好きなのか,何をしたいのか」を,さらけ出すことが重要です.腹の内を知りあえている関係だからこそ,信頼が生まれるのです.

自分の物語を語るのは,何も相手のためだけではありません.自分自身の立ち位置を確認することにも役立つといいます.

他人が自分を理解できるように,自分の物語を繰り返し語る.それは,安全・安心を生み出すきっかけを作り,コミュニティに貢献する行為だ.それだけでなく,自分で自分を深く知ることは,自分をモチベートする唯一の手段でもある.

自分について語ることは,自分の居場所を自分で知る行為だ.ほとんどの人が,その行為をおろそかにして,他人の目的地を自分の目的地にしてしまう.そんなやり方だと,モチベーションを高めることができない.(200ページより) 

何度も自分の物語を語ることで,今,自分がどこにいて(何が好きなのか?),どこに向かっているのか(何をやりたいのか?)を鮮明にしていく.自分の立ち位置が分かれば,目的地が決まり,そこに到達するための手段を考えられる.手段がわかれば,モチベーションが上がる.

信頼関係を作って安全・安心を確保し,熱狂・拡大へとつなげていく.その流れは,コミュニティを運営していく,目標達成するために,とても重要なことなので,ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います.

結びに

『WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE 』(佐渡島庸平著,幻冬舎)から,コミュニティにおける「安全・安心」の重要性をピックアップしました.情報が爆発し,世界中の人とつながるようになった現代だからこそ,「ひとつ隣」の人とのつながりや,信頼関係にもとづく安全・安心を作り上げていくことが重要と筆者は主張します.

ときに慌ただしい毎日や膨大な情報に流されたり,人間関係に疲れたりしがちな現代でも,心の平静を保ち,自分の持ち味を発揮していく.そのヒントとなるのではないでしょうか.

 

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