こんにちは、理学療法士の大山史朗です。
あなたは「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
フレイルとは、年齢とともに心や体の元気が少しずつ減っていく状態のこと。放っておくと寝たきりや要介護につながることもありますが、早く気づいて対策すれば元気な状態に戻ることもできます。
この記事では、フレイルの意味や3つの状態、影響する要因、そして今日から始められる具体的な対策まで、わかりやすくお伝えします。
フレイルとは?
フレイルは、英語で「虚弱」「もろい」という意味。健康と介護が必要な状態のあいだにある、いわば“体からのサイン”です。
フレイルは次の3つの状態に分けられます。
1. 身体的フレイル
筋肉が減ったり、持久力が落ちたりして、疲れやすくなる状態です。体重減少や歩くスピードの低下もサインになります。
2. 心理・精神的フレイル
気持ちが落ち込みやすくなったり、やる気が出なかったりする状態。認知機能が少しずつ落ちてくることもあります。
3. 社会的フレイル
外に出る機会や人と話す機会が減り、孤独になってしまう状態。社会とのつながりが弱くなると、心身の健康にも悪影響を及ぼします。
フレイルが起こる原因と影響する要因
フレイルはただの「老化」ではありません。いくつかの生活習慣や体の変化が関係しています。特に重要なのが次の4つの要因です。
運動
筋肉は使わないとどんどん減っていきます。特に下半身の筋肉は年齢とともに減りやすく、転倒や骨折のリスクが高まります。
栄養
食事の量が減ったり、偏った食事になると筋肉や骨を作る材料が不足します。体重減少はフレイルの初期サインのひとつです。
口腔
かむ力や飲み込む力が弱くなると、やわらかい物しか食べられなくなり、栄養不足につながります。口の健康は全身の健康に直結します。
社会参加
人と話す機会が減ると、脳への刺激が減り、認知機能や気持ちの面にも影響します。孤独はフレイルの大きなリスク要因です。
フレイルを防ぐための4つの習慣
1. 運動習慣をつける
- 毎日10分の散歩やストレッチから始める
- スクワットやかかと上げで下半身の筋力を保つ
- 片足立ちでバランス力を鍛える
2. バランスのよい食事をとる
- 肉・魚・卵・大豆などたんぱく質を毎食とる
- ビタミンやミネラルが豊富な野菜をしっかり食べる
- 水分もこまめに補給する
3. 口腔ケアを行う
- 毎日の歯みがきと定期的な歯科健診
- しっかりかんで食べる習慣をつける
- 口の体操(あいうべ体操)で飲み込む力を維持
4. 人とのつながりを大切にする
- 週に1回は友人や家族と会話する
- 地域の体操教室やサロンに参加する
- 趣味やボランティアで役割を持つ
今日からできる!フレイル対策の具体例
「忙しいから…」「運動は苦手…」という方でも、すぐに始められる方法があります。
- 歯みがき中にかかと上げ10回
- 朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる
- 食後に10分散歩する
- 買い物は少し遠回りして歩く
- 1日1回は声を出して人と話す
小さな習慣の積み重ねが、未来の健康を大きく変えます。
まとめ
フレイルは、健康と要介護のあいだにあるサインです。
身体的・心理的・社会的フレイルに早く気づき、運動・栄養・口腔ケア・社会参加を意識することで予防できます。
今日からできる小さな行動を積み重ねて、10年先も元気に、自分らしく過ごしましょう!