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【ハーバードが教える】自分らしく働き、楽に生きられる「個性」に関する3つの原理┃目標達成・教育・人材採用に┃

「平均」や「標準」、「理想」がもたらす弊害

“30代の平均年収◯万円”、“標準体型は〜”、“理想の住まいは〜”、“成功するには〜すべて”というフレーズを耳にする度に、ドキッとしていませんか?

「自分らしく生きたい」と思っていても、人と違っていることを聞くと心中穏やかでなくなります。人と比べて自分を卑下したり、標準から外れているのを落ち込んだり、焦ったりしてしまいますよね。

私も以前から まわりの人のことが気になったり、比べて、自分を変えようとしたり、もっと努力しなければと焦って無茶をしたり、「結局、自分って何なのだろう」と行き詰まったりしてきました。

 

今回、ハーバード教育大学院で心/脳/教育プログラムを主宰する心理学者で、「個性学」の第一人者であるトッド・ローズ著『平均思考は捨てなさい─出る杭を伸ばす個の科学』を読んで、個性を重視することが現代を生きる私たちに必須のスキルだと学んだので、その内容や気づきをシェアします。

こんな方へオススメです。

  • 自分の能力を伸ばして目標を実現したい
  • 才能豊かな人材を見出したい
  • 優秀な人を育てたい

 

さまざまな事例や研究データから導かれた本書の主旨は、平均点や標準値といった、ある特定の「尺度」によって人や能力を評価すると、“その人”の可能性を見失い、活躍の機会を奪ってしまう。組織やチームとしても貴重な人材を逃してしまう損失になる、ということです。

例えば、こんな事例が紹介されています。

  • かつてアメリカ空軍では4,000人以上のパイロットの体型の平均値からコックピットを設計したが、航空事故が相次いだ。
  • ある大規模なコンテストで“理想の体型”の女性を求めたが、平均の範囲に収まる応募者は誰一人としていなかった。
  • NBAで、得点力の高い選手ばかりを集めたチームの成績がまったく振るわなかった。

 

大勢の人から得られる「平均」や「標準」といった値にもとづいた判断や行動が必ずしも正しいとは限らないとわかります。

個性を活かす3つの原理

平均や標準に近づくのを目指すのではなく、“その人(個)”にあったやり方や進路を選ぼう。そうすることで人生を優位に生きられ、組織としても人材が活躍し、成果を出せると本書は提案しています。

そのように個性を活かすには、次の「3つの原理」をおさえておきましょう。

個性の原理①【才能には「バラツキ」がある】

才能や知性、体格、性格や人格に至るまで、人の資質に関するあらゆる要素には「バラツキ」があります。バラツキとは、測定値の大きさが不規則に分布し、“ふぞろい”である状態です

 

例えば、身体のサイズをとっても、身長、体重、肩幅、脚の長さ、ウエスト、ヒップそれぞれに個人差が大きく(ある人は肩幅が広く、ある人は脚が長い)、“平均的な”人は存在しません。

他には、知能検査としてよく知られるIQにも、その中身は語彙、論理思考、算数、記号探しなど複数の要素が含まれ、IQが同じ人同士でも、その性質にはバラツキがあります。

 

私も理学療法士としてリハビリテーションの現場で働いていて、それを実感します。柔軟性や運動能力についてのある身体機能テストで、基準をクリアしないからといって、ではその人が「異常」かといえば、そんなことはありません。ある一つの基準を外れていても、これまでなんの支障もなく生活してこられている人がたくさんいます。

 

ですので、その人の才能や能力を、一つの尺度(指標)で言い表すことはできない。ましてや、平均値と比べて「良い悪い」と判断するのもナンセンスなのですね。

個性の原理②【特性は「コンテクスト」による】

「内向型か外向型か」「誠実かどうか」「独創性が高いか」といった性格特性やタイプ分けの診断テストって、ついやってみたくなっちゃいませんか?。

そして診断の結果、自分の特性やタイプを知って妙に納得したり、まわりの人を「だからあの人は〜」とレッテルを貼ったりしがちです。

 

しかし本書によれば、人の特性がどう現れるかは、その人の置かれた「コンテクスト」に左右されるといいます。コンテクストとは、ものごとの起こる背景や状況、場面、文脈などをさします。

例えば、一人で過ごすのが好きな内向型の人であっても、自分の趣味の話になると熱く語って、止まらなくなる。会社では部下に厳しいビジネスパーソンが、家庭では子煩悩だったり。

私もこの話を聞いて、納得しました。基本は一人の時間で、本を読んだり、考えをめぐらせたりしているのが好きなのですが、大勢の人の前でプレゼンする学会発表やセミナー講師として話すときには熱がこもったりしていました。賑やかで、ざっくばらんに話す場は苦手ですが、自分の考えや知識を整理して表現したり、伝えたりするのは得意だったりします。

 

一概に、「私は(あの人は)、こんな性格だ…だから(いつでも)、こうなんだ」とは定まらない。あくまでも、そのコンテクストにおいてある特性が現れている、と考えるわけです。

個性の原理③【成功への道は一つでなく、「迂回路」が存在する】

SNSやマスメディアでは、毎日のように“多くの人が稼いだ方法”、“こうして成功した”、“◯◯ダイエットで痩せた”といった情報にあふれています。あたかも、成功するための一本道やハシゴが準備されているかのように。

そんな話を聞けば、“自分も早くそうしなければ!”と気負ったり、焦ったりしてしまいませんか?

私も独立して仕事をするようになった当初は、早く稼がないといけないと思って、サクセスストーリーやノウハウに流されがちでした。でも、他の人がそれでうまくいったからといって、自分も同じやり方があっているとは限らないのですね。どうにも合わなくて、続かなかったり、ストレスがたまるばかりでした。

 

しかし個性学の研究で明らかにされたのは、人生のあらゆる側面において、進歩や成功は順序通りには進まない。つねに「迂回路」が存在する。

ある一つのゴールを目指すにしても、そこに至るルートは“網の目構造”になっていて、日々の数々の選択によって、進む道やその後の展開は変わっていく。けれども、そのどれもが妥当な方法だという事実。

そして最適な経路は個性によって決まるというのです。

誰もが個性を活かして活躍し、自分らしく生きられる3ステップ

「自分の夢を叶えるには、この道しかない」と思っているとしたら、もし思い通りに進まなかったときに、「このルートを外れた自分はもうダメだ」と投げ出し、途中で挫折しやすくなります。

でも、私たちが成長していく過程には多種多様なプロセスがある。それでも最終的にはゴールにたどり着くのだと認識していれば、その道半ばを楽しむ心のゆとりも生まれるのではないでしょうか。

 

“私たちは誰もが特殊なケースなのだ”と、著者はいいます。

唯一無二の個性を活かして、自分らしく働く、生きるには、次の3ステップが大事になるのかなと考えました。

  1. 能力には「バラツキ」があるのを前提として、自分の強みと弱みを理解する
  2. その才能や強みはどんな「コンテクスト」で発揮され、弱みはどんな状況で支障があるのかを把握する
  3. 夢や目標達成までのルートは複数あると認識し、いろいろ試行錯誤してみる。たとえうまくいかなくとも「迂回路」があると信じ、プロセスも楽しむ。

そうすることで自ずと、自分にとって最適なルートを進むことになります。

最後に、私たちが個性を重視し、自分に最適なルートを歩む背中を押してくれる箇所を引用させていただきます。

前例のない、「道なき道」を行きましょう!

特定のゴールまでは1本の太い道が続いているものだと、私たちはどうしても想像したくなる。

文字を覚えるにしても、トップアスリートになるにしても、会社を経営するにしても、森の中でハイカーが切り開いた道に出会うように、道が準備されていると思いたくなる。人生で成功するための最善の方法は、きれいに切り開かれた道をたどっていくことだと仮定する。

 

しかし、迂回路の原理は別の可能性を教えてくれる。私たちは新しい経路を常に切り開いている。私たちが下すあらゆる決断、経験するあらゆる出来事が、将来の可能性をどんどん変えていくのだから、そうしないわけにはいかない。

ハイハイの仕方を覚えるにせよ、マーケティングキャンペーンの企画の仕方を学ぶにせよ、これはあらゆるケースに当てはまる。

 

この事実について考えると不安に駆られるかもしれない。なじみ深い道しるべが実際には、役に立つどころか障害になる可能性があるのだ。それになじみ深い道しるべを当てにできないなら、将来の行動を決めるときに何を頼ればいいのか。

お答えしよう。個性にはバラツキがあること、そして条件と帰結のシグネチャーを理解しておくのだ。

そうすれば、迂回路の原理は最高の形で機能する。自分のさまざまな個性のそれぞれにどの経路がふさわしいのか正しく判断できてこそ、正しい道を歩むことができる。

*『平均思考は捨てなさい─出る杭を伸ばす個の科学』より

むすびに

本書を読んで、人やものごとの見方が変わり、「個」とちゃんと向き合うのが大事だと腑に落ちました。

とくに目からウロコだったのは、赤ちゃんの発達過程に関するエピソード。

私たちヒトは生まれてから、「寝がえり→おすわり→ハイハイ→つかまり立ち→ひとり歩き」といったように順々に発達していくと認識していますよね。

ところが実は、一人ひとりの赤ちゃんをみると、誰一人として同じパターンはない。ほとんどハイハイをせずに10ヶ月くらいで歩きだす子もいれば、ゆっくり2歳ごろになって歩く子もいる。

「正常な発達過程」は決まっていない。でもほとんどの子がその後、問題なく歩いて、走るようになります!

 

目的地のある旅行であっても、道中の景色や思わぬ出会い、発見があるのが面白いですよね。

本書は自分も含め、人の可能性や活かし方に希望がもてる一冊でした。

自己変革や目標達成を引き寄せたい方、人材の採用や教育に携わる方で、ご興味あれば、ぜひご一読の価値ありです。

参考書籍

ユニークな「個の科学」に基づき、平均を排して成功した企業などの実例を紹介、個性を十分に発揮しながら人生で優位に立つヒントにもなる3原理を説く、生き方のガイドブック。

あなたならではのユニークな生き方をしたいと思ったら、こちらの書籍もオススメです!

 

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