いつでも自分にとって心地よいペースで、落ち着いて仕事や人付き合いをできたらいいですよね。
ただ現実には、自分のペースでできることばかりではありません。
仕事上、急いで対応しないといけないことや、どうしてもと人から頼まれることもあります。
もちろん本当に自分がやりたいことを優先するために「ノー」という技術を身につけるのも必要ですが、いつもいつも断ってばかりでは社会生活に支障があるでしょう。
そもそも本記事を読んでくださっているあなたはふだんから、「人の気持ちを気にして、相手に合わせてばかりいる」「まわりの環境に飲まれて、疲れやすい」。その結果、心身ともにグッタリして、自分のやりたいことを楽しめない…という場合が少なくないのではないでしょうか。
そんな気がつきやすい、感受性の高いあなたが元気をとり戻し、自分らしく生活や仕事と向き合える方法があります。
今回は、HSP専門カウンセラー・武田友紀さんの著書『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
』を参考に、繊細・敏感で気がつきやすい方(繊細さん、HSP)がまわりの刺激から自分を守る、そして自分を癒やし、エネルギーを回復する方法をまとめました。
【HSP・繊細さん】刺激から自分を守る術を身につける(予防法)
HSP(繊細さん)とは「環境感受性が非常に高い」ことにより、良い環境(刺激)からも悪い環境からも影響を受けやすい人。
HSP(繊細さん)はたくさんの情報を深く処理しているために、他の人にとっては何でもない刺激も、すぐにキャパオーバーとなってしまいます。
そこでHSP(繊細さん)が自分らしく元気に過ごすには、まわりから入ってくる刺激を適度にセーブするのが大事です。
武田さんは刺激から自分を守るときに、注意したいポイントを2つ挙げています。
ポイント①心を閉ざすのではなく、物理的に刺激を防ぐ
「つらい思いをしたくない」「傷つきたくない」という思いから、「何も見ない、何も感じない」というように心を閉ざしていませんか?
あたかもパソコンをシャットダウンするかのように。
でもそんなふうに感覚を麻痺させていると、生きていくうえでの喜びやときめきも感じづらくなってしまいます。
「感受性が高い」ということは、ネガティブな情報を受けて疲れる、しんどい思いをするということばかりではありません。
日常のちょっとしたポジティブな情報を受けて、喜びや幸せを感じやすいということでもあります。
ぜひ心を閉ざすのではなく、刺激を適切に抑える術を身につけたうえで、日常の幸せを味わえるようにしていただきたいと思います。
ポイント②五感のうち、自分の鋭いものから取り組む
ひとくくりに「HSP(繊細さん)」といっても、感覚情報の受け取り方は人それぞれです。
人は五感から環境情報を受け取っていますが、中でも「視覚(Visual)・聴覚(Auditory)・身体感覚(Kinesthetic)」に依るところが大きいです。
情報を取り入れる視覚・聴覚・身体感覚のうち、どれを優位に使いやすいか(得意か)は人によって異なります。
NLP心理学で「V・A・Kタイプ」と呼ばれ、それぞれ情報のインプットやアウトプットの仕方に特徴が現れます。
例えば、それぞれのタイプには以下のような特徴があります。
「V(視覚)タイプ」の特徴は、
- 図や絵、映像で理解し、記憶している
- 話している人をよく見ている
- 話すときにも頭に描いているイメージを表現しようとして、話の展開が早い
- 「話が見えない」「イメージとしては」「今後のビジョンは」「まだぼんやりしている」「未来は明るい」「視点を変える」など視覚に関する言葉をよく使う
- ものごとを決めるのに、デザインや外見で判断することも多い など
「A(聴覚)タイプ」の特徴は、
- 音や言葉で理解し、人の声をよく覚えている
- 話を聞くときには、相手の顔をあまり見ず、耳を傾けている
- 話し方は論理的で、理論や定義、格言や知識などの引用、擬音語、感嘆詞もよく使う
- 「何を言っているかわからない」「いい響きだ」「リズムが悪い」「うるさい」「聞き捨てならない」など、聴覚や言葉に関する言葉をよく使う
- 雑音があると集中できない など
「K(身体感覚)タイプ」の特徴は、
- 触感やにおい、味などの体感覚で理解する
- 話を聞くときは何かに触りながら。話の情報量が多いとついていけないこともある
- 話す速度や動作は比較的ゆっくりで、感情や気持ちを身振り手振りで表現しようとする
- 「話が掴めない」「いい感じ」「手応えがある」「気持ちいい」「気持ち悪い」「腑に落ちる」など、感覚的な言葉や形容詞・形容動詞をよく使う
- 人の近くにいるのが好きで、居心地の良さを大事にする など
あなたに当てはまるものがありましたか?
ちなみに私は、「Kタイプ」だと思います。たしかに「腑に落ちる」とか、感覚的な言葉をよく使っていますね^^
まずは自分が「VAK」のどのタイプが得意かを知ることで、この後の対策をたてやすくなります。
自分の快/不快な感覚情報を知り、対処する
HSP(繊細さん)が刺激から身を守ろうとするとき、VAKタイプに合わせて対処するのが有効です。
日常であなたがとくに「不快に感じる刺激」には、どんなものがありますか?
また「快く感じる刺激」は、どんなものがありますか?
このとき1つの感覚に絞ってチェックするのがポイントです。
まずは視覚のみ、次に聴覚のみ、そして身体感覚のみへとフォーカスするように。
例えば「視覚」ならどんな場所の、どんなモノや色、人、背景なのかなど。
「ショッピングモールに買い物に行ったときに、色鮮やかお店の前で目がチクチクしたな」というように。
すると自分がとくに影響を受けやすい対象がわかってくるので、的確に対処しやすくなります。
【HSP・繊細さん】五感別に「モノ」で刺激から自分を防ぐ方法
では次に、刺激から自分を守る具体的な方法を「五感別」にご紹介します。
先ほどチェックしたあなたが優位に使いやすい感覚から、対処していくのをオススメします。
視覚
見えるものを最低限に抑える(必要以上のものが見えないようにブロックする)。
- メガネやコンタクトレンズの度を落とす
- サングラスや伊達メガネをかける
- 縁の太いメガネ
- 帽子をかぶる
- 部屋の照明を落とす
- アイマスク
- モノを減らす など
聴覚
聞こえるものを最低限に抑える(不快な音・声や、いまの作業に必要ないものが聞こえないようにする)。
- 耳栓
- ノイズキャンセリングイヤホン
- イヤホンで心地よい音楽を聞く
- 移動手段を選ぶ
- 電化製品の稼働音を静かなものを選ぶ
- 住む環境を選ぶ
身体感覚
肌で触れたり感じたりするものは、自分が心地よいもの選ぶ。
- 肌の露出を減らす
- 心地よい、肌触りのよい素材で肌をおおう
- 明るい色の服やお守りを身につける など
嗅覚
- マスクをする
- アロマやお香をたく
- 好きな香りのハンドクリームや香水、ヘアワックスをつける
- アロマペンダントをつける など
味覚
- 刺激の強い食べ物を避ける
- シンプルな(加工や添加物の少ない)食べものを選ぶ など
繊細なあなたはきっと、「自分にとってどんな刺激が心地よいか」も敏感に察知していることと思います。
他の人は意外と無頓着だったりするんですよね。
ぜひふだんから「不快な刺激はモノで守る」「心地よい刺激を優先的に選ぶ」ことをして、あなたの心身をよい状態に保っていきましょう。
こちらの書籍を読むと、私たちの心と身体がいかにまわりの環境から影響を受けているか。
どのように環境を整えることで、心と身体のパフォーマンスを引き出すことができるか、具体的な方法がよくわかります。
心身が休まり、自分らしく過ごせる環境を整えたい方にオススメです↓
【HSP・繊細さん】【ケア】休息をたっぷりとる、自分を癒やす
ここまで不快な刺激やたくさんの情報をモノで防ぐ方法をご紹介しました。
ただそれを実践していても、やはり社会生活を送っていればどうしても影響を受けて、疲れてしまうこともあるでしょう。
そんなときは自分のための時間をたっぷりとり、休息と回復をとるようにましょう。
体が感じる小さなストレスは、心をゆるめるサイン。
その体の声に耳を傾け、素直に応えていきましょう。
休みたいときは、休んでいいんです。
一人になってぼーっとする、好きなことでリラックスする、カラダをほぐすなど、あなたが鎧を脱いで、ホッとできるものなら何でも大丈夫です。
自分が「いい」と思えることをやって過ごしましょう。
その時間でエネルギーを充電し、また元気に動けるようになりますよ。
楽しいイベントの後も休むことが大切です。
気のおけない友人とのランチ、自分の趣味に没頭する作業など、楽しい時間を過ごしたはずなのに、その後でグッタリしているという経験がありませんか?
HSP・繊細さんは無自覚のうちにたくさんの情報を深く処しているので、たとえ楽しいイベントであっても、エネルギーを消耗しているんですね。
その消耗したままふだんの社会生活に戻ってしまうと、パフォーマンスが落ちていつも以上に疲れやすくなります。
私も以前はよくやりがちでした。
「そんなに疲れるなんて、楽しくないの?」といわれ、なかなか理解されないのですが。
楽しいイベントの後も、冷静な自分を取り戻す「余白」をつくるのをお忘れなく。
「デジタルオフ」も結構、重要です。
ネットニュースやSNSを見ていて、グッタリと気力が落ちるのを感じたことがありませんか?
ネット上にはそれこそ膨大な情報が流れており、広告やタイムラインで次々と飛び込んできます。
それらを無防備に受け取っていては、自分の処理が追いつかず、すぐにアップアップになってしまいます。
インターネットのない時代には、休日まで働いたり、四六時中連絡がきたり、夜のオンラインミーティングもありませんでした。
仕事とそれ以外の時間にメリハリがないことで、自分の気持ちの切り替えも難しくなり、いつも身構えた状態が続きます。
そうすると休日でも休めず、疲れをひきずってしまいます。
1日単位、1週間単位で少しでもデジタルから離れる時間、着信を気にしなくてよい時間を設けることが、心の平穏につながります。
【HSP・繊細さんが自分を守る方法】実際にやってみた体験談
私の場合は「Kタイプ」ということもあってか、たくさんの情報が一度に入ってくる空気感や状況−雑多な部屋や買い物、人の集まりでたくさんの視覚情報が入ってくる、話し声やBGMが騒がしいお店など−を苦手に感じていました。
そこでやったことは、それぞれの感覚に少しずつ対策すること。
- 断捨離(部屋のモノを減らす)
- メガネ(裸眼でも視力に問題はありませんでしたが、光のコントラストやカラーを調節することで、ぐっと目の疲れが減りました
- 目をつむって、休む時間を設ける
- ノイズキャンセリングのイヤホンを使う。
こちらのノイズキャンセリングイヤホンをつけた途端、あたりがシンと静まりかえり、落ち着きを取り戻すのに最適でした!
- オンラインのミーティングやセミナーでは、話す人1人だけが画面に映るようにする。
人と会う機会には、大勢で集まるのではなく、少人数でじっくり話せるような場に好んで参加するようにしました。
5人以上とかになると気もそぞろで、話す内容が頭に入ってこないのです。
それよりも「この人と話したい、影響を受けたい」という人と、話を深めていきたいなと思っています。
むすびに
以上、HSP専門カウンセラー・武田友紀さんの著書『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
』を参考に、「自分にとって心地よいペースで、落ち着いて仕事や人付き合いをしたい」HSP・繊細さんが、まわりの刺激から自分を守る。そして自分を癒やし、元気に過ごす方法をまとめました。
ぜひ、あなたがふだんの生活や仕事を心地よく過ごすのにお役立ていただければうれしいです。
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参考書籍
本記事でご紹介した内容は、HSP・繊細さんのことを理解する一部です。
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