あなたは今、何か「目標」を立てて、取り組んでいることはありますか?
“新年の抱負”や“今年度の業績目標”といったように、「目標」を立てるのは大事だと認識していますよね。
小さいころからまわりの大人たちに聞かれたり、学校に入ってからも目標を立てる機会がたくさんありました。
ただ目標を立てて、威勢よく始めたものの三日坊主になったり、数字に追われて苦しくなったりした経験があなたもありませんか?
私もあります。
記憶にあるのは、小さいころに野球や勉強を始めたころから、「やるからには(“すごい”)結果を出す。そして結果を出すには、「高い目標を掲げて、自分に厳しく取り組む」のが必要だと思っていました。
また学校での成績や、働くようになってからも、「常に現状の自分に満足せず、より高い目標を目指す」ことを課してきたように思います。
ただ、長続きしなかったり、たとえ達成したとしても、満足できずに、より上の目標を立ててハードに取り組んだりして苦しんできました。
今回は雑誌『Number(ナンバー)1092号』特集「一流野球人に学ぶ目標設定の極意」から、世界で活躍する一流の野球人の「目標設定の極意」をピックアップします。
野球界最高峰のハードな環境で活躍し続けるために、彼らは「目標」をどうとらえ、どのように「目標設定」をしているのでしょうか?
備忘録的な内容になりますが、活躍するフィールドは違えど、臨む結果を得られる目標設定のご参考になればうれしいです。
世界で活躍する一流野球選手が行っている「目標設定の極意」
各選手の「目標設定」についてのインタビューから、カギになりそうな発言や要点を私なりに整理させていただきます。
【イチロー】選手
しんどいときこそ負けたくない。気持ちというより、本能。
見えない何かに試されていることに向かっていけない自分は許せないんです。
もうひと踏ん張りできたかどうかは、人にはわからないけど、自分にだけははっきりとわかる。
イチロー選手は、「目標は自分の限界を超えるために必要なもの」だとして、結果を出し続けるために毎年「シーズン200本安打」という数字を明確に意識をして達成してきたといいます。
置かれている立場や状況によっては、目標を変える必要があり、現役を退いてからは、まわりの人がイチローさんの動きをみて、“「こいつまだ現役でいけるんじゃないのか?」と思わせる状態を目指している”とのこと。
イチロー選手の目標との向き合い方は、パフォーマンスの指標となる数字や自分のあるべき姿を明確に設定して、そのプレーの精度を高めるために、日々、“これ以上は無理!”というところまで練習してきたことがうかがえます。
【ダルビッシュ有】選手
基本的には(目標設定は)しないですね。
1日、1日の自分の体調を見て、その体調がベストのときに比べてどこの筋肉がどうなのか、それに対してどうしていくのかを基本的に考えている。
シーズンで何勝したいとか、どれぐらい投げたいとか、というのは考えていない。
その日の体調や感覚と向き合い、優先して「やるべきこと」を決める。そして気になる箇所の課題を解決していくようです。
身体の動作や栄養学に加え、最新のデータ分析法などにも明るいダルビッシュ選手ですが、自身のベストなコンディションやプレーのためのルートを探求し続けているがゆえなのですね。
単純に、より上手くなりたい、ということだけです。
だから例えば、その日はブルペンで93マイル投げたいということがあっても93マイル投げたからもう終わり、ではなくて次は93.5を目指そう、94を目指そうとなる。
ベストな状態のときと比べて今の課題解決をくり返すにしても、最低限ここまでやらなくてはいけない、というハードルは置かない一方で、「もうこのくらいでいいや」という妥協点もありません。
【菊池雄星】選手
手が届きそうな目標ではなく、一見、手が届かなさそうなところに目標設定する
ことで現在の境地に辿りついた、と菊池選手はいいます。
例えば、ただプロになるだけではなくて、ドラフト1位でプロ入り、8球団競合、メジャーを目指すといったように、より高い目標を上書きしてきたとのこと。
さらに、菊池選手のインタビューで印象的だったのは、手が届きそうもなない目標を設定する一方で、そのために必要なことを大量の書籍やデータ分析などから導き出し、トレーニング計画を練る。
そして数十枚に及ぶプレゼン資料を作り、サポートスタッフと共有して取り組む、という現実主義的な姿勢です。
もちろん次のシーズンに何勝する、何マイルを投げるという具体的な目標も立てます。それがないとオフは頑張れませんから。
でも、数字を追いかけるとプレッシャーになるだけなので、シーズンインしたら忘れます。
オフシーズンには徹底して自分と向き合い、翌年に備えてトレーニングに励む一方で、いざシーズンとなれば、自分本来の「大好きな野球を楽しむ」という気持ちを大事にしているとのことです。
むすびに【感想とアクションプラン】
今回は『Number(ナンバー)1092号』より、世界で活躍する一流野球人の「目標設定の極意」について、その要点を整理してみました。
彼らの目標と向き合い方を垣間みて、私は正直なところ“スッと肩の力が抜けた”ような感覚でした。
私はこれまで、何かを成し遂げるには、明確な数字と期限のある高い目標を立てる。そこから逆算して、一切のムダを排除して、一直線に進む。そんなイメージを持っていました。
しかし、今回あげられていた野球人たちの言葉からは、“絶対に達成しなければならない”という強迫感や悲壮感、“他人より抜きん出たい”というプレッシャーのような感じは受けませんでした。
むしろ純粋に、自分がそれをやりたい(“やりたくてしょうがい”)から、もっと上手くなりたいから、必要な「やるべきこと」に全力で集中する。
どこまでも真摯に自分と向き合い、内側から湧いてくるまっすぐな動機付けがにじんできます。
今回の学びを経て、以下のようなアクションプランを考えています。
- 自分の得たい結果ーまわりから課せられたり、比べたりした数字や業績ではなく、自分にとって意味のある、それをやるのが自分らしいーありたい理想の状態を想定する。
- 現状の自分はどうなのか、身体感覚とデータをもとに「現在地」を把握する。
- 臨む結果に向けて、日々、必要な準備や課題解決に集中する。
最後に、個人的には、ホームラン全盛の米メジャーリーグにおいて稀有なヒットメーカーである、ルイス・アラエス選手(マイアミ・マーリンズ)の考え方が好きだなと感じました。
野球は難しいから、目標は簡単なところに置かないといけない。
僕の目標は「バットの芯で球をとらえる」ことだよ。芯でとらえられたら、それだけでとても嬉しい。
だから、とにかく芯でとらえる練習を毎日している。シーズン中、オフ、旅行しているときも持ち歩いて、とにかく毎日、ティー打撃をしているよ。
ヒットを打つという結果や出てくる数字・業績だけにとらわれるのではなく、シンプルに日々、自分が取り組んでいる行動そのものを味わって、喜んでいきたいなと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
目標設定についてご興味もっていただけたら、ぜひ全文をチェックしてみてください。
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目標設定や行動改善に読んだ、こちらの本も面白かったのでオススメです。