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環境と遺伝子から未来の健康へつなげる

未来へ目を向けて環境を作る、健康への“0次予防”

病気や障がいの発生を前もって防ぐ。発症してしまった後には重症化を防ぎ、すみやかに元の生活に戻れるよう努める。こころと身体がともに健康であり、充実した生活を送るために、「予防」はとても大事な医学であり、生活習慣のひとつだといえます。

従来より予防医学は、一次予防(健康なときからの生活習慣の心がけ)、二次予防(早期発見と早期治療)、三次予防(発症後の悪化防止、再発予防)が基本と考えられてきました。

それに加えて近年では、0(ゼロ)次予防や四次予防、五次予防という概念も唱えられるようになっています。

生活する環境に目を向ける“0次予防”

0次予防とは、個人の健康増進の努力に先だって、その個人が生活している環境面や社会経済的な要因を改善していこうという考え方です。

科学技術の発展や情報技術(IT)の生活への浸透、グローバル化によって、社会構造は変化し、私たちの心身にも影響が及んでいます。それは、これまでになかった健康被害の出現にみられます。例えば公害やシックハウス症候群の問題、食品添加物や栄養の偏り、平均気温上昇による熱中症の増加などがあげられます。過剰労働やSNSによる人間関係のこじれが心を病ませる事例も少なくありません。

つまり、広く環境から健康リスクを考え、そのリスクを減らしていくことが求められている時代になっているといえます。心身にとって健康な環境を作っていくことは、未来世代へと受け継がれていく財産です。森 千里教授(千葉大学大学院、千葉大学予防医学センター長)は、次のように述べています。

 予防医学の対象が、現世代の人たちの健康から、生まれる前の胎児、あるいはもっと先の世代の人たちの健康になってきています。
 持続可能な社会をつくっていくには、技術や産業だけではなく、次の世代もその次の世代も人が健康でいられる社会をつくらなければなりません。予防医学が目指すもの。Animus 87:3-8、2016

次世代までつながる健康的な環境をつくる

未来世代まで持続可能な健康にやさしい環境を作っていくことを目指し、森教授は“環境改善型予防医学”を提唱しています。病気や障がいを予防するには、そこに住んでいる人の生活パターンや土地の特徴を含めたバックグラウンドによって、方法を変えていく必要があります。同じ国内でも都市と農村部では、主な予防の対象となる病気も異なれば、その改善策も異なるでしょう。

健康に働きかける環境作りとして、イオンモール宮崎には「『健康への気づき』を促す空間デザイン・プログラム」が実現されました(株式会社竹中工務店とイオンモール株式会社、千葉大学予防医学センターの協働)。歩幅をチェックするための床面デザインや、階段室内のメッセージ、歩行年齢測定システムなど、自身の身体への気づきを促す工夫にあふれています。

日常生活のなかで自然と健康的な生活・運動習慣へ導くことが目的となっています。こんな工夫があれば、楽しみながら、お買い物しながら、健康作りも進められそうです。

イギリスでは、政府が主導した減塩政策が功を奏しました。食品メーカーに対して商品ごとに減塩する数値を決めて、その達成を求めたのです。国を挙げた減塩政策によって心臓病などの患者が減り、医療費の抑制につながったといいます。(「道は険しい?“減塩社会”への挑戦」クローズアップ現代より)

行政や企業もまきこんで、知らぬ間に健康になる、病気のリスクを減らす。こんな取り組みが実現する社会であれば嬉しいですね。

予防医学はよりオーダーメイドへ

ひとの健康状態は、発育途中での生活習慣に加え、生まれ持ったDNA(遺伝情報の本体)による影響も受けています。近年ではゲノム(DNA のすべての遺伝情報)解析にもとづき、そのひとの体質にあった生活習慣の改善を目指す取り組み“0次予防”)もなされています。

滋賀県長浜市では、市民の健康作り・医学の発展への貢献を目指して京都大学医学研究科と連携し、「ながはま0次予防コホート事業」が進められています。参加者(市民)は、「0次健診」を受診し試料など(血液、尿、DNA、健診結果など)を定期的長期的に提供します。提供された試料をもとに個別研究が行われ、将来的に医学や医療の発展、市民の健康作りに役立てようという事業です。

遺伝子

“どの地域に住み、どんな遺伝情報をもっていて、どんな生活パターンをしているひとに対して、どんな予防策をすれば効果的なのか”。

予防医学は、よりオーダーメイドでグローバルなものに発展しようとしています。私たちの健康は、個人のものだけではなく、社会の発展や将来への持続にも関わる貴重なものだと実感します。

結びに

生活パターンの変化や科学技術の進歩は、私たちの心身の健康にも影響を及ぼします。画期的な医療技術による治療法の進歩やウェアラブル機器による健康モニタリングなど、健康を守る仕組みにも役立つでしょう。

その一方で、都市環境や働き方による弊害、経済的格差、運動不足、コンビニやファストフードの浸透による栄養の偏り、SNSにからむ心の問題など、これまでになかった健康被害も無視することはできません。

私たち自身と、次世代、未来世代まで持続可能な社会であり、心身の健康が保たれる社会であってほしいと願います。まずは足元から、いまの自分の健康への気づきと行動を実践していきたいものです。

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