腰が痛くて病院に行ったら、腹筋・背筋を鍛えなさいと言われた経験はありませんか。
またテレビで見聞きしたトレーニング法をやってみたけど、挫折した覚えはありませんか。
私は理学療法士として整形外科で働いていて、多くの腰痛患者さんが誤った認識やトレーニング法を行っているなと感じてきました。
腰痛の解消に腹筋・背筋が大事なのは確かですが、そのトレーニング法には気をつけるべきポイントがあります。そのポイントを誤ってしまうと、逆効果になりかねません。
実は、その腰痛解消に重要なポイントこそ、「呼吸法」。
今回は、「体幹トレーニングの基本として身につけたい呼吸法」についてお伝えします。
腰痛患者の多くが呼吸に問題あり
ではなぜ、呼吸法に問題があると腰痛につながるのでしょうか。
呼吸に問題のある方の多くが、「浅く・速い呼吸をしている」という特徴があります。
浅く・速い呼吸をしていると十分な酸素が体に取り込まれず、細胞や内臓、筋肉の代謝が悪くなります。
また呼吸は自律神経とも深く関わっています。息を吸うときには、自律神経のうち交感神経の働きが高まり、逆に息をはくときには副交感神経の働きが活性化。
浅く速い呼吸では、頻繁に息を吸っているので、交感神経の高ぶった状態が続くことに。交感神経の高ぶった状態が続くと、血管収縮→血流悪化→組織の代謝障害・筋肉の緊張亢進→痛み・不調→交感神経の異常…といった悪循環に陥ります。
さらに体のメカニズムとして、呼吸に伴って胸郭(あばら骨)や背骨も連動して動き、腹筋や背筋など体幹の筋肉がストレッチされます。
しかし浅く速い呼吸では胸郭や背骨の動きが小さいため、体幹の筋肉が十分にストレッチされません。その結果、体幹の柔軟性が失われ、腰痛を招きます。
あなたの呼吸のタイプは?
正しい呼吸をするために、まず、今の自分の呼吸状態を知ることから始めます。自分の呼吸状態が「胸式呼吸」なのか、「腹式呼吸」なのかをセルフチェックしてみましょう。
呼吸状態のセルフチェックの手順は以下のとおり⏬
- 膝を立てた仰向けで寝ます
- 胸とお腹にそれぞれ手のひらを置きます
- いつものように呼吸します
- 手のひらで胸とお腹の動きを感じます(どちらが大きく動いているか)
胸に置いた手が大きく動くようであれば「胸式呼吸」、お腹に置いた手が大きく動くようなら「腹式呼吸」をメインに行っています。
理想的には、どちらも同じように大きく動かすことができているとよいですね。
胸とお腹に手を置いてしばらく呼吸を感じてみましょう。これだけでも呼吸状態が改善され、徐々に動きが大きくなっていくのを実感できます。
腰痛解消にオススメの呼吸法
腰痛解消に役立つ呼吸法として、「1:2(ワンツー)呼吸法」をオススメします。
「1:2呼吸法」は自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生(順天堂大学医学部)が提唱した呼吸法。「吸った息の時間の、2倍の時間をかけてはき出す」というシンプルなものです。
例えば、3秒で吸って6秒ではき出す、4秒で吸って8秒ではき出す。
はき出す時間を長くすることで、副交感神経の働きを高め、自律神経のバランスを整える効果があります。
副交感神経の働きが高まることで、リラックスしたり筋肉の緊張を和らげたりする効果があります。
やり方もシンプルなので、日常生活で無理なく続けやすいのもポイント。1日10分を目安に行ってみてください。
深くゆっくりとした呼吸法を行うことで、体幹深部の筋(コア、インナーマッスル)も活性化。腰痛の予防・解消につながります。
さらに腹圧が安定することで、姿勢がよくなったり、その後の体幹トレーニングも行いやすくなります。
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本ブログでは、腰痛解消のために日常生活で気をつけるべき習慣について解説しています。こちら⏬も合わせてお読みいただくと、軽やかに動ける活力あるカラダを手に入れられます。