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“座りっぱなし”の仕事がよくない理由 − 長時間の座位姿勢が健康悪化と生産性低下を招く

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仕事に熱中するあまり何時間も座ったままになることはありませんか。あるいは、お休みの日がな一日、テレビを見て過ごしていたりしませんか。

そんな座位姿勢を長時間続ける、“座りっぱなしが健康に悪影響を及ぼすと報告されています。

運動不足や長時間座位による「身体不活動(physical inactivity)」は、全世界の死亡リスクの6%を占め、高血圧(13%)、喫煙(9%)、高血糖(6%)に次い で全世界の死亡者数に対する 4 番目の危険因として認識され始めています。また、身体不活動が招く過体重や肥満は、全世界死者数の 5%を占めるとされます。

健康のための身体活動に関する国際勧告(WHO)日本語版

日本はとくに、世界と比べても座位時間が突出して長くなっています。

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座りっぱなしの健康への影響

血流悪化による弊害

座った姿勢でいるとき、重力の影響で下半身には全身の70%の血液が集まります。本来下半身の筋肉は、収縮と弛緩によってポンプのように血液を送り出し、末端から心臓へ血流を返す働きを助けています。

しかし座りっぱなしで過ごすと、下半身の筋肉が積極的に活動しないため、血液を心臓へ送り返す力が弱まります。すると下半身に血流が溜まりやすく、浮腫みや冷え性につながります。それでも心臓は、血液をより強く送りだそうとして、心筋や血管壁に負担がかかります。その結果、心臓病血圧上昇を招きます。血流を送り返す働きが弱まると、少し動いただけで息切れや動悸、立ちくらみを生じやすくなります。

心筋梗塞

血流が悪化すると、血の塊(血栓)ができやすくなります。血栓が心臓や脳へ運ばれ、その血管を詰まらせることで、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。また血栓が肺の動脈を詰まらせて起こる肺塞栓症は、航空機の座席の狭いエコノミークラスで長時間、座ったままといった状況で起こることがあり、「エコノミークラス症候群」とも呼ばれています。

肺塞栓症 – 国立循環器病研究センター

食後に座りっぱなしでいると、血糖値が上昇したまま推移し、糖尿病にもつながります。

ただでさえ誰しも歳を重ねるほど、血管のダメージや自律神経バランスの乱れによって、血流が滞りやすくなります。座りっぱなしが、さらに血流悪化に追い打ちをかけることになります。心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病など、日常生活に支障をきたし、命を危険にさらすことにもなりかねません。身体不活動が死亡リスク上位にくる訳も納得できますよね。

肩こりや腰痛、動作時痛の原因になる

人は同じ姿勢を20分続けると身体が硬くなってきます。

座位姿勢になると、腰部骨盤と大腿骨をつなぐ腸腰筋が短縮位(長さの縮んだ状態)になります。筋肉は短縮位が続くと、伸張性を失っていきます。腸腰筋の働きには、腰部の弯曲を保つ、股関節を引き上げる(骨盤と大腿骨を近づける)などがあります。腸腰筋の短縮により腰椎の弯曲が変化し、腰痛をきたしやすくなります。

座位姿勢は、立位と比べて、腰の椎間板への圧縮力(椎間板内圧)も増大します。立位時の椎間板内圧と比べて、座位では1.5倍、座位で前傾姿勢をとると1.8倍まで増加します(Nachemson、1976)。椎間板内圧の高い状態が持続し、周囲の靱帯を突出したのが腰椎椎間板ヘルニアです。

腰痛

座位姿勢では、立位と比べて腰部椎間板への圧縮力が1.5〜1.8倍にも高まります。

また重たい頭(約5kg)を支えるために、首や肩周りの筋肉が緊張してきます。さらにうつむき姿勢になると、首の筋肉の負担は2〜3倍になります。スマホや本を下向きで見続けるのは、肩や首周りの筋肉を硬直させ、肩こりや首の痛みにつながります。首や肩周りの筋肉が硬直すると、頭に巡る血流が悪化し、頭痛の原因にもなります。

リハビリの現場でも、「長く座っていて、そこから動きだすときに膝や腰が痛い」という訴えがよく聞かれます。座りっぱなしで全身の血流が悪化し、筋肉の硬直すれば、関節の動きがぎこちなくなり、やはり動き始めの痛みにつながります。日中座って過ごすのが習慣化すると下半身の筋肉を使わなくなり、足腰の筋力低下もきたします。

座りっぱなしの弊害を防ぐ対策

座りっぱなしが良くないと言っても、デスクワークをまったくしない、というわけにはいかないと思います。そこで、自分自身で健康を守っていくために、次のような対策が有効です。

  • 少なくとも1時間に1回、できれば20〜30分に1回は席を立つ(タイマーのバイブレーションで知らせるのも有効)。
  • 血流悪化を防ぐために、こまめに水分補給や足首の運動をする。
  • 筋肉の硬直を防ぐために、背スジの曲げ伸ばしや体幹のツイスト運動をする。
  • 席を立って歩くような仕組みを仕事に組み込む。
  • デスク周りの環境を整える(イスやデスクの高さ、ディスプレイの配置など)

結びに

座りっぱなしが健康を悪化させる危険性をご理解いただけたでしょうか。

座りっぱなしによって、血流悪化による心臓への負担、浮腫みや冷え性、筋肉の硬直による肩こりや腰痛(椎間板障害)などの弊害を生みます。

さらに、血流悪化は頭部にも影響するため、頭痛をきたしたり、‘頭が働かなくて’労働生産性も低下してしまいます。

あなたがデスクワークに従事される場合は、少なくとも1時間に1回、できれば20〜30分に1回は席を立つことをオススメします。席を立ってお手洗いにいく、離れた席にいる同僚に資料を届ける、給湯室でお茶を飲む、など自分の中でちょっとした理由を作ると座りっぱなしを避けやすくなります。座っているときにも血流悪化を防ぐために、こまめに水分補給したり、足首を動かしたりするのも有効です。姿勢を整えるための背スジの運動は、座ったままできて効果的です。

身体活動が仕事における生産性向上にもつながるとして、社員が座りっぱなしにならないように工夫する企業も出てきています。グーグルでは、立ってパソコンを操作できたり、時間を作ってランニングやバレーボールをする習慣もあるようです。健康的で、生産性も上がる働き方を見直してみてはいかがでしょうか。

*健康経営オフィスレポート(経済産業省。平成27年度健康寿命延伸産業創出推進事業 健康経営に貢献するオフィス環境の調査事業)

こまめに立ち上がり、ちょこちょこ身体を動かすのを習慣化していきたいですね。

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