前回の記事では、これから理学療法士になる臨床実習生の指導法について、「学生のやる気を引き出す」観点から書きました。
臨床実習指導者の3つの心意気
- 指導者は火つけ役に徹する
- 学生のタイプを見極める
- 「待つ」のが大事
今回は、臨床実習指導において指導者が大事にしたい心構えの二つ目、
「学生のタイプを見極める」について書きたいと思います。
学生のタイプを、「4つのパーソナル」で見極める
今回ご紹介したいのは、「コーチングにおけるタイプ分け」という考え方です。
紋切り型の決まった方法でコーチングするのではなく、相手のタイプに応じてコーチングの仕方を変えようということです。
「よくやった!」と一言、言われて喜ぶひともいれば、
「忙しいなか手伝ってくれてありがとう、おかげで助かったよ」と労われて喜ぶひともいます。
相手が求めている(いちばん聞きたいと思っている)言葉をかけることで、信頼関係も築かれ、コーチングがうまく進むのです。
そのためには、相手のタイプを知ることが先決です!
コーチングやコミュニケーションにおけるタイプ分けとして、「コミュニケーション・スタイル・インベントリー(CSI)」があります。
CSIは、市毛智雄氏を中心とした心理学の専門家チームによって開発されました。
この考え方によると、「ひとをもっとも特徴づけるのは、コミュニケーションのとり方である」という前提にたって、コミュニケーションのスタイルによって4つに分類しています。
コミュニケーション・スタイルの指標は、「自己主張の強さ」と「感情表出の高さ」の2つです。
この2つのマトリックスによって、次の4つのタイプに分けられます。
- 「コントローラー」…自己主張強い、感情表出低い
- 「プロモーター」…自己主張強い、感情表出高い
- 「サポーター」…自己主張弱い、感情表出高い
- 「アナライザー」…自己主張弱い、感情表出低い
それぞれのタイプの特徴を挙げると、次のようになります(『図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』より)。
それぞれのタイプに、強み・弱みがあります。
人をも場をも支配しようとする「コントローラー」
- 人から指図されるのを何より嫌うトップダウン型リーダー
- 行動的で野心的な起業家タイプ
- 弱みを見せたり、甘えたりするのは苦手
人に影響を与えたい「プロモーター」
- 注目こそがやる気の源 エネルギッシュなアイデアマン
- 新しいことに挑戦するのは得意だが、持続は苦手
- 社交的で人気者だが、人の話はあまり聞かない
人間関係が何より大事「サポーター」
- ビジネスよりも「人」優先 「和」を重んじる気配り上手
- 協調性があり、温かく穏やかだが、リスクを冒すのは苦手
- 人の期待に応えようとする一方、人からの承認を求める
冷静沈着慎重派「アナライザー」
- 客観的な視点で問題解決を行う完全主義者
- 行動より計画・分析の理論派 変化や混乱に弱い
- 感情表現が苦手で大人数も苦手 孤立しても気にならない
いかがでしょうか。
お読みいただいているあなたも、「あ そういえば自分はこんな傾向にあるな」と思い当たるところが、少なからずあるのではないでしょうか。
あなたにタイプがあるように、実習生にもタイプがあるのです。
そのことをまずご理解いただき、相手のタイプに応じてコーチングの仕方を変えていくと、コミュニケーションがうまくいくのではないでしょうか。
臨床実習において指導者と実習生のコミュニケーションがうまくいけば、お互いにストレス少なく、有意義な経験となるでしょう!
なお、タイプ分けのためのテストは、こちらから受けることができます。
Test.jpーリーダーのための自己診断テストサイトー
iPhone向けアプリ「タイプ分け™」
Android向けアプリ「タイプ分け™」
または以下の書籍にもタイプ分けの質問票がのっていますので、ご参考ください。
タイプ分けで大事なのは、「あいつは、ああいうタイプだ」と決めつけるのではなくて、
「ああいうタイプだから、〜なふうに課題を任せよう」
「〜なふうに、褒めたり、注意を伝えたりしよう」
というように、コミュニケーションの配慮に役立てることです!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ぜひあなたの臨床実習指導にお役立ていただければ嬉しいです。
次回は、「『待つ』のが大事」について書きたいと思います。