あなたは普段の生活や人生で、もっとも大切な(大事にしたい)ものこと、心からやりたいことで成果を挙げられていますか。
日常の用事や雑多なこと、いろいろな頼まれ事をこなしているうちに、あっという間に一日が過ぎていってしまう。
自分が何をやっているのか、なぜこれをやっているのか、何をやりたかったのか、目的や大事なことを見失ってしまう。
そんな経験に身に覚えがありませんか。
エッセンシャル思考は、本当に重要な事柄で成果を出すための考え方です。
本当に重要なことは1%のみだと考えます。
これは、「今ここ」に意識を集中するマインドフルネスとも通ずる考え方です。
あれもこれもやろうとして忙殺される状態に対して、本質的な少数のことを抽出し、集中して成果を出すのが「エッセンシャル思考」です。
人はなぜ方向性を見失うのか。
自分の本当に重要なことを見失ってしまう背景には、次の様な状況があります。
- 選択肢が多すぎる(重要なこと、そうでないことの見極めが出来ない)
- 他人の意見にさらされすぎる(インターネット、SNSなど他人の意見が押し寄せる)
- 欲張りの時代(あらゆるものを手に入れ、何でもできる人が求められる風潮)
「全部手に入れよう、全部やろう」として、何が本当に大事なことか判断できなくなっている状態を、心理学用語で「決断疲労」といいます。商品の品揃えにおいても、同一の商品でも色や品質のバリエーションが多くなると逆に売れないといいます。選択肢が多すぎると、買うという決断を出来なくなってしまうのです。
これに対して、エッセンシャル思考では、次の3つの考え方が基礎となります。
- 選択:自分の時間とエネルギーの使い道を選ぶ。「(これを)やると決める」
- ノイズ:「あれもこれも大事(手を抜けない)」ではなくて、「大事なものはめったにない」と考える。
- トレードオフ:何かを選ぶためには、何かを捨てること。すべてを手に入れることはできない。「全部終わらせよう」ではなくて、「どの問題がいちばん重要か」を考える。
大事なものことは、そんなに多くない⁉︎
少数の大事なもの抽出していく過程は、実は他にも世の中でみられる考え方です。例えば、ミニマリストとも通ずるところがあります。ミニマリストは、大量生産・大量消費の現代生活において新しく生まれたライフスタイルで、必要最小限の用品で豊かに生活することです。
製造現場から始まり職場環境改善のためのスローガンとして普及している“5S”。5Sは[整理・整頓・清掃・清潔・躾]も頭文字をとったものです。5Sの始めの「整理」とは、必要なものと不必要なものを分けることです。つまり不必要なものを捨てることから環境改善は始まります。
どうすれば本当に重要なことを見極められるのか。
著者は次の5つの条件を満たすことだと述べています。
- じっくりと考える余裕
- 情報を集める時間
- 遊び心
- 充分な睡眠
- 何を選ぶかという厳密な基準
何でもこなそうとしてきたあなたは、始めは「やめる」ことに躊躇するかもしれません。
重要なことは1%のみと考えるのは、正直勇気がいります。
しかし、本当に自分がこなす必要があるのか、重要性が高いのかを改めて見直す機会にもなります。
すべてを優先するのは、どれも優先しないのと同じ。
強烈な言葉です。それでも本当に大事なことを選出し、そこに自分の時間とエネルギーを最大に注ぐことで成果も出せます。
それは結果的に周囲にも貢献し、自分にも満足感の得らるものとなるのではないでしょうか。
本書を読めば、あれもこれもと忙殺される状態から抜け出す勇気を奮い立たせてくれます。そして真に重要な事柄を抽出し、そこに資源(時間、エネルギー、お金)を集中することで成果を出していきます。
仕事、家庭、健康、交友、金銭などなど、いくつもの利害に板挟みになったとき、自分に問いかけてみては。
“何に全力を注ごうか?”
“自分はどの問題を引き受けようか?”