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働く大人の学びに必要な3つの原理原則<書評>『働く大人のための「学び」の教科書(中原 淳)』

あまり見通しのもてない社会保障に対して薄々、人々が覚悟を決めているのが、「仕事人生の長期化」です。要するに「仕事人生を長くしてもらって、自分の生活はできるだけ自分自身で支えていかなければならないのではないか」と多くの人が気づいています(19ページより)

昨今のわが国では平均寿命が延びる(男性81.0歳、女性87.1歳。2016年)一方で、年金支給開始年齢の引き上げにみられるように、社会補償には限界がみえます。そのような社会では必然的に、“自らの健康寿命*にいたるまでは働くことを余儀なくされる可能性が高い”と、『働く大人のための「学び」の教科書(中原 淳、かんき出版)の著者はいいます。

*健康寿命:日常生活を営むうえで、なんらの支障・悪影響なもなく自立した生活が送れる時間のこと。わが国の健康寿命は、男性72.1歳、女性74.8歳(2016年)であり、伸び続けている。

仕事人生が長期化する社会においては、単一の仕事だけでキャリアを全うするのは難しいといわれます。現場の第一線から管理職への移行だけでなく、定年を過ぎても何らかの生産活動に従事することが求められます。テクノロジーの目覚ましい発展のように、取り巻く状況も激しく変化していきます。

めまぐるしく変化する社会情勢にあり、長期化する仕事人生を生きるために著者が奨めるのが、まさしく「大人の学び」です。本書のテーマである「大人の学び」とは、著者いわく

自ら行動するなかで経験を蓄積し、次の活躍の舞台に移行することを目指して変化すること(28ページより)

です。

これからの時代を生き抜いていくには、新たな環境変化に対して「好奇心」や「興味」を持ち続けて、自分を常にモニタリングし、自ら立て直していくことが必要なのです。

そこで今回は、本書よりCapter 2 「大人の学び」3つの原理原則をご紹介します。

「大人はどのようなときに学べるのか」3つの原理原則を理解する

仕事人生の次のステージに備えて、今から学びましょうといわれても、私たちは「大人の学び方」を教わった機会はほぼないでしょう。そこで本書では、「どのように学ぶのか」という方法論の以前に、大人の学びに関する原理原則から理解することを促されています。それは次の3つがあるので、ひとつずつみていきます。

  1. 背伸びの原理
  2. 振り返りの原理
  3. つながりの原理

背伸びの原理

人間の能力を伸ばすには、決まりきったルーティンや今の能力で簡単にこなせる作業ばかりを行っていては不十分でしょう。

「背伸びの原理」とは、「人間が能力を伸ばすときには、なんらかの背伸びを必要とする」という原理です。

「背伸び」とは、「現在の能力では少し難しさを感じることで、自らがんばったり、他人の助けを借りれば、実現は不可能ではないこと」を指します。(50ページより)

つまり、今の自分の能力では達成は難しいかもと思われる領域にチャレンジしろ!ということです。このような領域は、心理状態の概念で「ストレッチゾーン(成長空間)」と呼ばれます。

現在の能力で事足りるタスクをこなしている状態は「コンフォートゾーン(快適空間)」と呼ばれ、一方で実力に対してとんでもなく高い課題を抱えているのは「パニックゾーン(緊張空間)」です。

現状こなしているタスクや、これから立ち向かおうとしている課題は、自分にとってどの程度の難易度なのかを把握し、自らをストレッチゾーンに置いて努力することで成長につながります。

そしてストレッチゾーンに身を置いて「何から始めようか?」と思ったら、“楽しみを感じること”、“感謝されること”からチャレンジすることを著者は奨めています。知的好奇心が刺激されたり、誰かの役に立つことであれば、難しい課題であっても粘り強く取り組めるからです。

背伸びの原理

振り返りの原理

私たちは日々さまざまな経験をしていますが、その経験を学びに変えるうえで「振り返りの原理」が重要だと著者はいいます。

振り返りとは、「過去の自分の行動を見つめ直し、意味づけたうえで、未来に何をしなければならないのかを、自分の言葉で語れるようになること」です。(66ページより)

つまり、自分の行動を内省し、言葉で表現できるようにするということです。“人は言語化できたことしか、できるようにはなりません”ともいわれています。そして振り返りを深めるためには、次の3つの質問に答えるのが有効だといいます。

  1. What?(過去に何が起こったのか?)
  2. So What?(どのような意味があったのか?何が良くて何が悪かったのか?)
  3. Now what?(これからどうするのか?)

チャレンジした結果、たとえ上手くいかなかったとしても、その結果や行程を分析することで根本原因を突きとめる。そして次の機会には、その行程を改めることで改善につなげる。

行動と振り返り、再挑戦というサイクルを繰り返すことで、成長と発展へとつなげていくのです。振り返りの過程では、自分をもう一人の自分が客観的に眺めているような冷静な思考が重要です。これをメタ認知をいいます。

振り返りの原理

つながりの原理

学ぶのは個人の問題ですが、現状の自分から「成長の幅」を広げるためには第三者の関わりが必要だといいます。

信頼のおける他人に助言を得たり、コメントをもらったり、励まされたり…そうした他人からのサポートを糧にしていきながら、人は学びを実現していきます。(76ページより)

著者が「つながり」や「関わり」といった第三者の存在が重要だというのは、“人は、一人ではなかなか変わることのできない「脆弱な存在」だから”です。確かに、自分ひとりでは挫折したり、妥協したりしそうなことでも、誰かの応援や激励があることで続けられる、という経験がないでしょうか。

励ましや承認をしてくれる温かい人も、客観的に厳しい意見をくれる人も、いずれもあなたの成長の幅を広げてくれる貴重な存在と考えられます。そして最終的には、自分一人でやり遂げられるレベルへの到達を目指します。

つながりの原理

結びに

本書を読んで強く印象に残ったのは、“まず、やってみること”というメッセージです。自分のキャリアや将来に関することを流れに身を任せることなく、自分で決めて行動しようと、背中を押される気持ちになりました。

本書は、ホワイトカラーのビジネスパーソンで30歳代以上の方を主な対象として、“これから長期化する仕事人生を前に、何を考え、何をしておくべきか、それを「学び」「学び方」というキーワードからアドバイスする”という主旨で書かれています。

もしあなたが、「最近成長してしていないな」「同じレベルでくすぶっているな」「この先どうステップアップすればいいのかな」と悩んだら、上記3つの原理原則を自分に投げかけてみてください。

最近背伸びしている?

振り返りの時間、ちゃんと持てているかな?

信頼できる人との接点、持てているかな? (83ページより)

今回ご紹介した3つの原理原則をふまえて、さらに「7つの行動」として実践的な手法が紹介されています。“本を1トン読む”、“会社が伸びていく方向に貢献できる前例のないタフな仕事から学ぶ”など、大人の学びを加速させていくヒントが満載です。

時代や環境の変化に応じて自分を成長させていきたいと思ったときに、その意義や方法を知る最適な一冊です!

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