本書では、これから起業家をめざす人や新米起業家が成功するための動機づけ、重要なフレームワーク(B-Iトライアングル)、感情のコントロールなどが、10個のレッスンとして書かれています。
前回の記事では、「起業家と従業員の考え方の違い(失敗との向き合い方)」について書きました。
続いて今回は、本書の中心的テーマである、「B-I トライアングル」についてご紹介します。
ビジネスはB-I トライアングルでつくる
一つのビジネスはいくつもの異なる仕事から成り立っています。1つの会社がいくつもの部署や役割に分けられるように。どんなに素晴しい商品をもっていても、その売り方を知らなければ市場に出回ることはありません。
「すごい新製品のアイディアがあるんだ!」などと言う人はよくいる。でもB-Iトライアングルを見ればわかるように、製品は「氷山の一角」にすぎない。(110ページより)
本書で紹介される「B-Iトライアングル」は、ビジネスがうまくいくために必要ないくつかの仕事を簡略化して示したものです。
その製品を市場に出すまでに必要な仕事には、上から順に次の5つがあるといいます。
- 製品
- 法律
- システム
- コミュニケーション
- キャッシュフロー
そして、この5つの仕事の周りを使命・チーム・リーダーシップが固めています。
自分のビジネスを始めるときには、これら5つすべての仕事がカバーされているか?をチェックすることが必要です。そのうち一つ、あるいは複数の仕事がなされていなければ、そのビジネスは失敗に終わることが多いというのです。
またトライアングルの底辺を「使命」が支えていることに注目します。
ビジネスの根幹には、「このビジネスで、社会にどう貢献できるのか」「自分が大切にしたい価値は何か」といった使命が大切だと示しています。うまくいくビジネスでは具体的には、次の2つのいずれかを担っているといいます。
- 解決策を提示する
- 要求を満たす
B-I トライアングルをもとに、チームを組む
B-Iトライアングルをつかって、自分の仕事が必要十分かをチェックしていきますが、いずれかの項目で自分にまったくスキルがなかったとしたらどうでしょう。
著者は次のようにアドバイスしています。
自分に足りないスキルを持った人をチームに引き入れれば良い。その人はあなたとビジネスを共有あうるパートナーでもいいし、従業員でも、あるいは顧問という形でもいい。
すべてに関して専門知識を持っている人などいない。ビジネスを計画する時は、しっかりしたB-Iトライアングルを築くために、その中の五つの仕事すべてをカバーするような「チーム」を作ればいい。(123ページより)
それぞれの異なるスキルをもった人間でチームをつくり、全体としてB-Iトライアングルが満たされるようにするのですね。
ここでも、それぞれの人間を束ねるコミュニケーションやリーダーシップが不可欠です。人と関わる能力の大切さが何度も説かれているのが納得できます。
チームをつくる一方で、起業家自身もB-Iトライアングルのうちの一つのレベルで専門家になる必要があるといいます。
最高の人材を集めたチームを作りたかったら、きみ自身も何かの分野で最高の人材でなければいけない。
もしきみがコミュニケーションの分野で月並みの能力しかなかったら、実際のところ、君には最高の弁護士も、エンジニアも、デザイナーも、会計士も必要ない。自分が月並みなら、必要なのは月並みな人材だけだ。(153ぺージより)
ただ自分ですべてに精通することはありません。自ら一つのレベルを極め、次にほかのレベルをカバーするために、優れた専門家でチームを固めることができればよいのです。
結びに
全体としてB-Iトライアングルを満たすようなチームをうまく機能させるには、自分自身の強み弱みは何なのか、補うべき仕事は何かを知ることから始まりそうですね。次に補うべき仕事の適任者を探し、その人とよいコミュニケーションをとっていきます。
本書を読んで、製品やサービスが世に出るまでに必要なビジネスの全体像と、そのチーム作りについて知ることができました。そしてこの仕組みを、ビジネスを始める前までに構築している必要がある、と。
なぜなら“ビジネスは、ビジネスが始まる前までに決まっている”と、著者は繰り返し述べています。
B-Iトライアングルで示される仕事はいずれも、人と関わる内容ですーー世の中の人たちのニーズや欲求を満たす。チームを機能させるべくリーダーシップやコミュニケーションの術を学んでいる。失敗を糧に新しい自分を作っていく。ーー
これから起業家をめざす人、起業したばかりの人に、ビジネスの本質を学べるオススメの一冊です。
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