こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です!
健康で活き活きとした生活を送るうえで、定期的な運動・スポーツの実施や日常生活における身体活動量の増加が重要なカギとなります。
定期的な運動・スポーツや身体活動量を増やすために、本人の運動継続の意思をどう高めていくかが重要。
しかし多くの人は、意気込んで運動を始めても、忙しさや天気、疲れなどを言い訳にして、容易に妥協しがちです。
運動を継続する、習慣化するにはコツがあります。
本記事をお読みいただくことで、誰でも無理なく運動を継続していくことができます。
また指導者の方には、対象者の意思を見極め、適切なアドバイスをすることができるようになります。
ぜひ運動を継続、習慣化していただき、健康でアクティブな人生を手に入れてください!
運動・スポーツにおける行動変容の段階
まず、人が何かしら新しい行動を身につける(あるいは望ましくない行動をやめる)ことを「行動変容」といいます。
行動変容には次の4つの要素が含まれます。
- 変容ステージ
- セルフ・エフィカシー
- 意思決定のバランス
- 変容プロセス
なかでも変容ステージは中核概念であり、特定健康診査や保健指導の介入指標などにも利用されています。
今回は、運動・スポーツにおける行動変容のステージと、その段階を前に進むためのセルフ・エフィカシーについてご紹介します。
行動変容の段階は
- 現在、運動をしているのか?
- (現在やっていなければ)これから先、運動を始めようと思っているのか?
によって5段階(無関心期・関心期・準備期・実行期・維持期)に分けられます。
運動を継続、習慣化させるには、まず自分(あるいは対象者)がどのステージにいるのかを把握し、適切なアプローチを行っていくのがポイントです。
運動 ・スポーツにおけるセルフ・エフィカシー
順調に運動ステージを前に進んでいけるかどうかは、セルフ・エフィカシー[自己効力感](Bandura、1977)がカギとなります。
セルフ・エフィカシーとは、こちら⏬
目標とする行動をどの程度うまく達成することができるかについての見込み感
運動・スポーツに関するセルフ・エフィカシー(運動セルフ・エフィカシー)は、「運動・スポーツをどれくらいの頻度でやれるか、どのくらい続けられるか、楽しくやれるかなどについての自信」であり、岡(2002)は、以下のように定義しています。
個人が定期的に運動を行う場合、多様に異なる障害や状況におかれても、逆戻りすることなくその運動を継続して行うことができる見込み感
運動セルフ・エフィカシーは運動習慣の獲得や運動継続における重要な因子であり、運動ステージが進んだ人ほど運動セルフ・エフィカシーが高かいことがわかっています。
運動セルフ・エフィカシーを測定するには?
では、その人がどの程度の運動セルフ・エフィカシーをもっているかは、どう評価すればよいのでしょうか?
そのために、「運動セルフ・エフィカシー尺度」があります。
この尺度では、「本人が運動を実施する際に、それを妨げる状況においても中断することなく運動を継続する見込み(自信)の程度」が問われます。
「運動の継続を妨げる状況」とは次の4つ。
- 肉体的疲労
- 精神的ストレス
- 時間のなさ
- 悪天候
このような状況であっても、自分は運動を継続できるという自信をもっているほど、運動セルフ・エフィカシーが高いとみなされます。
あなたの自信のほどは、いかがでしょうか?
運動セルフ・エフィカシーに影響を与える4つの情報
運動セルフ・エフィカシーは自然発生的に生じるものではなく、次の4つの情報源から影響を受けて作り上げられます。
- 遂行行動の達成
- 代理的経験
- 言語的説得
- 生理的・情動的喚起
「遂行行動の達成」とは、目標行動について個人がもつ実際の成功・失敗の体験であり、例えば「小さい頃からよく運動するほうだった」「ふだんから運動するほうだ」など。
「代理的経験」とは、他者が目標行動を実践するのを観察することであり、「新聞やテレビで運動して元気になった人を見ると、自分も運動しようと思う」「知り合いが自分よりも運動しているのを見ると、自分ももっとやろうと思う」などがあります。
「言語的説得」とは、目標行動に関連する言語的情報を得ることであり、「よく運動するので、まわりの人が私を見習いたいといっている」「まわりの人から、運動の才能があるといわれる」などがあります。
「生理的・情動的喚起」とは、目標行動に伴う身体的・感情的な変化に気づくことであり、「運動することを考えると憂鬱になる」「体を動かしているとすぐに疲れるほうだ」などがあります。
結論として、
運動を継続、習慣化させるためには、これら4つの情報をうまく使いながら、セルフ・エフィカシーを高めていくのがポイント!
これを独りで行うのが難しいという方は、コーチをつけたり、レッスンに通ったりして第三者のサポートを受けるのも有効です。
結びに
セルフ・エフィカシーは主に学習心理学の分野で研究されてきましたが、現在では医療や教育分野、スポーツ、高齢者の運動などさまざまな場面で注目されています。
運動セルフ・エフィカシーの程度は、性差やニーズ、生活背景によっても異なります。
また、現在どの運動ステージにいるのかを知ることによって、どのような情報源を提供するのが適当かを考えるヒントともなります。
健康につながる定期的な運動・スポーツや身体活動を増やすために、これらの情報源をうまく活用していただければと思います。
参考文献
- 岡 浩一朗:行動変容のトランスセオレティカル・モデルに基づく運動アドヒレンス研究の動向。体育学研究45:543-561、2000.
- 岡 浩一朗:中年者における運動行動の変容段階と運動セルフ・エフィカシーの関係。日本公衛誌50:208-214、2003。
- 長ヶ原 誠:中高齢者の身体活動参加の研究動向。体育学研究48:245-268。
- 常行泰子 他:高齢者の運動ステージと運動セルフ・エフィカシーに影響を及ぼす健康要因と社会心理的要因に関する研究。体育学研究56:325-341、2011。
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