主人公の2人、ホテルのスタッフ山岸と警視庁捜査一課の刑事新田が織りなす物語が秀逸で、ページをめくる手が止まりません!東野圭吾著「マスカレード」シリーズを通し読みしました(発表順は、1。マスカレード・ホテル→2。マスカレード・イブ→3。マスカレード・ナイト です。)。
ホテルを訪れる人間は、誰しも「お客様」という仮面をかぶっている。ホテルスタッフは、その仮面に気づきながらも、仮面を脱がすことなく、むしろ仮面をかぶった人格を尊重しなければならない.
タイトルにある通り本文中には、「仮面」をかぶった人間が次々に登場します。果たしてこの人物の素顔、本性はどこにあるのかに思いを巡らせるとともに、日常生活において「仮面」をかぶらずに生活している人間などいるのだろうか、と思わず我が身を鑑みてしまいます。
「仮面」をかぶった人間と対峙しているのは、警察も同じ。
世間にふつうに暮らす人がときに犯罪者になったりする。普段の人格、非日常(ホテルに宿泊時、犯罪を犯すとき)の人格、どちらが本物なのか。
「ホテルのスタッフたる者、お客様に対してできないと言ってはならない」という矜持のもとに、お客からの難題な要求に対してとるホテルマン山岸の絶妙な対応には、思わず感嘆の声を上げてしまいます。事件の捜査が行き詰まったとき、山岸はじめ周囲の人間との何気ない会話をヒントに、新田がひらめく場面も輝きを放ちます。
物語のクライマックスでは、これまで伏線にちりばめられていたピースがすべて結びつきます。バラバラに散らばっていた事件のカギが一つの真実に向けて収束していく光のように。これぞ東野ワールド!と唸らされます。改めてシリーズ3冊を通して読んでみると、作者の深い人間観察の様子や物語を貫く大きな潮流が感じられて、何度も何度も驚かされます!
もやもやした思いが一斉に吹き飛ぶ、スッキリとした読後感です。
この度、東野圭吾最新作「マスカレード・ナイト」を読むにあたり、これまでのシリーズ「マスカレード・ホテル」、「マスカレード・イブ」も合わせて3部通し読みしました。(「マスカレード」シリーズ特設サイトまであるんですね!) シリーズのまとめ読みは、何とも贅沢な気分にさせてくれます。ご厚意により、3冊まとめて拝読する機会をいただきました。心より感謝いたします。お礼と、感動をお伝えしたくて勢いで書いてしまいました。
最後までお読みいただきありがとうございます。