こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
あなたは普段、どれくらい身体を動かす習慣がありますか?
運動は大事だと思いながらも、「忙しい、時間がない、続かない…」と諦めてはいませんか。
あるいは、「運動はスポーツジムでするから大丈夫」と安心していませんか。
情報技術や機械化の発展で便利になった現代社会において、健康を損なう大きな原因が「運動不足」。
肥満はもちろん、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、関節痛、睡眠障害といった、深刻な健康被害が運動不足と関連します。
さらに、過密なスケジュールや蓄積されるストレス、睡眠不足、食生活の乱れが追い打ちをかけます。
たとえジムに通ったり、ジョギングをしたりしていても、残りの時間で座っていることが多ければ、健康寿命を縮めることに。
では健康寿命を延ばすために、ふだんの生活にどう運動を取り入れればよいのか、『NASA式 最強の健康法(ジョーン・ヴァーニカス/堀川志野舞、ポプラ社)』を通してご紹介します。
もとになっているのは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究から明らかになった、ある事実。
地球に戻った宇宙飛行士の身体に起きる変化
地上に帰還した宇宙飛行士が、まわりの人に支えらながら、やっと車イスで移動する映像を目にしたことがあるでしょう。
宇宙飛行士は、宇宙に出る前に地上できびしいトレーニングを積み、宇宙船に滞在中も一日数時間にもおよぶトレーニングを行っているにも関わらず。
宇宙から戻った彼らの身体はまるで、老化が一気に進んだような衰えをしているのです。
なぜそんなに急激に、体が変わってしまうのでしょうか?
宇宙と地上の一番の違いは、「重力」の有無です。
たった数日でも宇宙(無重力空間)にいることで筋力や骨、脳、平衡感覚、免疫、代謝能力などが急速に衰えていきます。
つまり骨や筋の萎縮によって身体を支える骨格系が不安定になり、バランスのとれた姿勢を維持できなくなります。
また代謝や免疫機能が低下することで、内臓や神経系もダウン。
これが地球に戻った飛行士の体力低下の原因です。
普段ぼくたちが何気なく生活しているときでも、つねに「重力」というストレスを受けています。
そして体は重力にあらがって、骨や筋肉を強くしたり、血流を盛んにしたりしているんですね。
“健康のカギは、重力にあり”です。
健康のカギは、重力にあり
『NASA式 最強の健康法』を読むと、脳や肉体の健康をたもつうえで、いかに重力の果たしている役割が大きいかがわかります。
例えば、重力があるおかげでこんな機能を発達させてきました↓
- 脳は反射的に重力を感知し、神経系に刻み込まれたプログラムに変換する。それによって全身のバランスのとれた動きが可能になる
- 重力にあらがって動くことで、骨梁や筋肉が発達する
生きものは常に重力に適応するよう身体を調整し、発達してきたんですね!
脳や身体が健康であるためには、日常生活のなかでどれだけ「重力を利用する習慣」をつくるかが肝心。
「座りっぱなしの生活」も宇宙にいるの同じように衰えていく
実は、「座りっぱなし」や「寝たきり」の生活を続けていることでも、宇宙にいたのと同じ変化が起こります↓
- 有酸素容量の低下
- 血漿量の低下
- 骨密度の低下
- 筋肉量の低下
- 筋力の低下
- 姿勢の悪化
- バランス能力の低下
- 倦怠感、疲れやすさ
- インスリン抵抗性
- 成長ホルモンの減少
- 関節痛
- コラーゲン不足
- 腸の蠕動運動悪化
- 免疫機能の悪化
- 尿失禁 など
なぜなら、ひとの身体は立った姿勢をベースに筋肉や内臓が正しいポジションにあるから。
座りっぱなしや寝たきりでは、本来持っている筋肉や内臓の働きが鈍ってしまうのです。
とくに日本人は、世界的にみても座っている時間が突出して長いといわれるので、要注意。
健康なひとの身体でも、20歳をピークにして、1年に1%ずつ骨の萎縮が進みます。
それが無重力空間ではひと月に1%以上の骨萎縮が進むというから、その急激さに驚きです。
宇宙飛行士は、地上に戻ってもとの生活をするようになると徐々にその機能を取り戻します。
つまり、日常の重力がいかに重要であるか。
重力に対して姿勢を保つ、「抗重力筋」とは?
重力をうまく活用することが、健康づくりに役立ちます。
“重力を活用する”とは、「抗重力筋(こう じゅうりょく きん)」を働かせること。
「抗重力筋」は、重力に対してバランスよく姿勢を保つために働いている筋肉。
ー僧帽筋・脊柱起立筋・腹直筋・腸腰筋・大殿筋・大腿四頭筋・下腿三頭筋など
ふくらはぎ・太もも・腹部・胸部・首の各部前後に張りめぐらされ、微細な収縮によって重心をコントロールしています。
この抗重力筋をしっかり鍛えていくことで、年を重ねてもバランスよい姿勢をつくり、健康的な生活を保っていけるのです。
抗重力筋が自然に鍛えられる生活をすべし!
では、抗重力筋をしっかりと鍛えていくには、どんな方法があるのでしょうか?
『NASA式 最強の健康法』の著者は、次のように提唱しています。
わたしはもっと運動しろと言っているのではない。
違う種類の努力が必要だと伝えようとしているのだ。
わたしが言いたいのは、生活のなかで一日を通してできる強度の低い小さい動作、重力を使うことに関係する動作を増やそうということだ。
そう、カギはふだんの生活のなかで、小さくても重力のかかった動きを増やすこと!
これは「筋肉の性質」からみても理想的。
ひとの筋肉は、その性質によって二種類(速筋・遅筋)に分けられます。
速筋(白筋)
重いものを持ち上げたり、全力で走ったりといった大きな力を発揮するときに活動。
瞬時に、大きなチカラを発揮できるが、疲れやすく長続きはしない。
ダンベルを上げ下げするようなエクササイズは、主に速筋が鍛えられ、見た目にも大きくなりやすい(筋肥大)。
加齢とともに動作がゆっくりになったり、筋力が弱くなったりするのは、速筋が減少するため。
遅筋(赤筋)
バランスのよい姿勢を保ったり、長く歩いたりといった持続した運動に関わります。
大きな力は発揮できませんが、疲れにくく長続きします。
なぜなら遅筋には、細胞内に「ミトコンドリア」が豊富に存在し、酸素からエネルギーを生み出す(有酸素性代謝)能力に優れているから。
運動不足や座りっぱなし、寝たきりの生活によって、主に遅筋の萎縮が進みます。
つまり日常的に身体を動かす機会が減ると、姿勢や生活動作に必要な筋力が衰えます。
その結果、年齢のわりに姿勢がわるかったり(猫背、そり腰)、布団から起き上がるのがつらかったり、階段で息が上がりやすくなったりします。
*参考:健康長寿ネット
抗重力筋を鍛えるには?
あなたの生活を健康的なライフスタイルに変えていくために、まず現状の生活習慣をふり返ってみましょう。
週に何時間、家事や庭仕事に費やしていますか?
上の階に行くのに、エレベーターやエスカレーターではなくて階段を使っていますか?
スーパーの買い物で車を停めるとき、店内入り口からすこし離れた駐車スペースを選んでいますか?
ご近所までの用事であれば、車ではなくて歩いて行っていますか?
オフィスでは、人を遣うばかりではなく、自ら動いて業務をこなしていますか?
あなたの習慣を変えるチャンス
いまふり返っていただいた習慣を、抗重力筋を鍛えるチャンスに変えましょう♪
例えば、次のようなに行動を変えるとよいでしょう。
- 仕事の休憩時間には、おやつを食べる代わりに、オフィスの周りを散歩する。
- 空港では、歩く歩道に乗らない。
- スーパーでは、買い物量が少なければ、カートを押す代わりに、買い物カゴを使う。
- デスクでは15分ごとに立ち上がる、背伸びをする。
とくに姿勢を支える1番の土台「骨盤」まわりの筋肉は、注意して鍛えておきたいところ。
自分では意識しづらいので、クッションなどを活用するとよいでしょう。
広島大学共同開!骨盤底筋振動エクササイズ【骨盤底筋エクササイズクッション キュットブル】
変えた行動を定着させるには、重力をどれくらい使っているか、どれくらい進歩したかを、記録して見返すことが大事です。
やるべき行動を決めたら、その記録をつけて、自分で自分を認めてあげましょう。
すぐに始められるアクションプラン
“さあ、運動するぞ!”と力まずとも、まずはふだんの生活でできるアクションプランをご紹介します。
本書では、「重力を活用した習慣(G-habit)」として次のような項目が挙げられています↓
ストレッチ(自宅で、デスクで) |
立ち上がる/座る |
背伸びをする |
背すじを伸ばして歩く |
エレベータよりも階段を選ぶ |
立ったまま靴下やズボンの脱ぎ履きをする |
調理をする |
インターネット経由ではなく、店で買い物をする |
新しいことを体験し、脳を刺激する |
このとき、“これもよい運動になっているんだ!”と意識をもっておこなうのがポイント。
運動するときに使われている筋肉に意識を向けることで、何も意識せずにやるよりも、その効果がアップしますー「マッスル・マインド・コネクション(筋肉と意識との連結)」ー。
これらの動きは、「できるだけゆっくり」行うようにしましょう。
ゆっくりとした動作によって筋肉へかかる強度が増し、効果アップ。
多くの遅筋線維を含む抗重力筋は、ゆっくりとした動きでより活発に働きます。
時間のないときは、「その場足ぶみ」や「段差ステップ」も有効ですね。
結びに
いかがでしょうか。
健康な体でいるために、“こまめに身体を動かして、抗重力筋を働かせる”ことの大切さをご理解いただけたでしょうか。
こまめに立ち上がったり、背伸びをしたり、姿勢を変えたりなど、小さな負荷で断続的な動作を習慣にするのが理想です。
長時間座っているような生活は、寿命にも影響します。
遺伝子の末端にあり、細胞分裂にかかわる「テロメア」は、運動不足や極端に激しい運動によって短くなっていくというのです。
特別なトレーニングではなくても、ふだんの生活でこまめに立って動くことで、抗重力筋を優位に働かせ、姿勢や内臓機能を元気に保っていきましょう。
運動不足解消のカギは、スポーツジムだけではなくて、家庭やオフィスにありますよ!
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