リハビリ現場で患者さんと話していて、こちらのほしい情報を引き出すのに苦労することってありますよね。
質問の意味がうまく理解されなかったり、世間話が長くなったり…
そんなリハビリ現場での情報収集に関する悩みを解決する方法があります。
私ももともと話すのは得意ではありませんが、この方法を心がけることで、スムースな会話と情報収集につなげられるようになりました。
今回は、リハビリ現場でほしい情報や患者の本音を引き出す質問法をご紹介します。
質問法を使い分ける
患者さんに対する質問でまず心がけたいのは、「オープン・クエスチョン」と「クローズド・クエスチョン」を使い分けるということです。
では、それぞれの質問法の特徴と使い方をご説明します。
「クローズド・クエスチョン」で会話を切り出す
まずクローズド・クエスチョンは、
相手が「はい、いいえ」または「AかBか」の択一で答えられるような、回答範囲を限定した質問の仕方(コトバンク)
のこと。
クローズド・クエスチョンは、“相手の考えや事実を明確にしたい場面”で有効とされます。
リハビリ現場でいえば、初顔合わせや来室時のあいさつなど、会話を切り出すときに用いると効果的です。時間のないときに、必要最低限の情報をおさえるときにも用いられます。
「クローズド・クエスチョン」は回答の選択肢が限られるので、初対面の患者さんでも答えやすく、会話のテンポを作りやすくなります。
例えば、次のような会話です。
- 夕べはよく寝られましたか?
- 外は暑かったでしょう?
- 昨日はどこかお出かけされましたか?
- エアコンは、ちょうどよいですか? など
ただし、プライベートな内容に踏み込んだり、答えづらい質問は控えましょう。
天気やニュースの話題、患者さんの体調などで、気軽に話せる内容がよいですね。
「オープン・クエスチョン」で内容を広げ、深掘りする
一方、オープン・クエスチョンとは、
「どう思うか?」などのように、制約を設けず相手に自由に答えさせるような質問の仕方(コトバンク)
のこと。
オープン・クエスチョンが有効なのは、“相手からより多くの情報を引き出したい場面”です。
リハビリ現場でいえば、患者さんの抱えている問題や悩みを深掘りしたり、ホープを聞き出したりするときに用いると効果的です。
答え方が自由なので、患者さん自らよく考えて話したり、本音を話したりしてくれます。
例えば、次のような質問です。
- いま一番困っているのは、どんなことですか?
- どこが、どんなふうに痛みますか?
- ご自分では、どんなことが原因だったとお考えですか?
- もっと良くなったら、どんなことをやりたいですか?
患者さんとの話を広げたり、より深く思考するときに用いるとよいですね。
何より大事なのは、「傾聴する」姿勢
そしてもっとも肝心なのは、クローズド・クエスチョン、オープン・クエスチョンのいずれにしても、「相手の話を傾聴する」という療法士の心がけと態度です。
患者さんが質問に答えているときには、作業を止めて、よく耳を傾けましょう。
また話を途中で遮ったり、療法士の見解を挟んだりせずに、最後まで聞きます。話の内容の他に、話しているときの表情や声のトーンにも注意。
そうした療法士の態度は、必ず患者さんやご家族への信頼感へとつながり、本音を伝えてくれます。
むすびに
いかがだったでしょうか?
リハビリ現場で患者さんからほしい情報を引き出すための質問の使い分けについてご紹介しました。
ぜひあなたの臨床現場にお役立ていただければ嬉しいです。
*「ほめる」ことも、リハビリ現場で患者とコミュニケーションを深めるうえで有効です!詳しくはこちら→【たったこれだけ】意欲を高め、リハビリ成果を上げる!患者を“ほめる”極意
こうしたリハビリ現場でのコミュニケーションを磨くには、次の本がお薦めです。現場に即した内容で事例もあるので、明日の臨床に役立ちます。