あなたは仕事をするうえで、自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っていますか?
この質問にどれほどはっきり、「イエス」と答えられるでしょうか。
毎日強みに取り組む機会がある人は、ない人よりも6倍も意欲的かつ生産的に仕事に打ち込む傾向がある。さらに、「生活の質がとても高い」と感じている傾向が3倍以上にのぼると、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングスファインダー2.0(トム・ラス著、古谷博子訳)』の著者はいいます。
長所を伸ばすことにエネルギーを注ぐ
学業やビジネス、スポーツにしろ、社会の多くの人は短所や苦手に目が行きがちです。そして、短所を訓練によって乗り越えようとする「苦手克服」を小さい頃から聞かされてきませんでしたか。
しかし長年の研究結果は、“短所ではなく、長所を伸ばすことにエネルギーを注いだほうが、人は何倍もの成長を手にすることができる”と、明らかにしています。
では、自分の強みとは何か?
明確に答えられる人は少ないでしょう。むしろ、自分で意識していないけれど、周囲から見れば強みを発揮しているというケースもあります。
1998年、「強みの心理学の父」と称される故ドナルド・O・クリフトン博士とギャラップ社の研究によって開発されたのが、「クリフトン・ストレングス・ファインダー」。
現在ではストレングス・ファインダーを受けた人は、全世界で1,500万人を超えたといいます(2017年初時点)。
私も5年前に、前作『さあ、才能に目覚めよう(2001)』を読んでストレングス・ファインダーを受け、すごく感銘をうけた経験があります。
しかし、月日が経つことで自分の才能に変化はあったのか。才能を強みとして磨いてこれたのかを改めて知りたくなりました。
そこで本書「新版」を手に取り、5年ぶりにストレングス・ファインダーを受けてみたのです。
本記事ではその結果と、「強みを活かす生き方」について考察します。
<ストレングス・ファインダー2.0>でわかること
正確にいえば、ストレングス・ファインダーで明らかにされるのは「才能」であり、「強み」ではありません。
ここでいう「才能」とは、“頻繁に繰り返す思考、感情、行動パターン”であり、生涯を通して比較的安定してる、人の核となる性質。
そして強みを発揮し、劇的な成果を上げるために大事なのは、才能のある分野に投資する(トレーニングを積み、時間をかける)ことです。そうすることで、才能は何倍にも増幅して開花するといいます(以下の式が成り立つ)。
才能 × 投資 = 強み
往々にして私たちは、自分が本当に時間とエネルギーを注ぐ事柄を絞り込めていません。
なぜなら、自分の才能がどこに向いているかを理解していないから。
しかし能力を磨き、トレーニングする時間はもちろん、人生の時間も有限。
限られた資源を有効に使って成果を上げるためにも、まず自分自身の才能を知ることが先決です。
<ストレングス・ファインダー2.0>、やってみた
ストレングス・ファインダー〈2.0〉は、本書末尾に記載される「アクセスコード」を使って、ギャラップ社のホームページから受けることができます。
2つの選択肢が次々と提示され、どちらに「よくあてはまる」のか、あるいは「どちらでもない」のかを選択。各設問の回答時間は20秒間であり、すべてのテスト所要時間は、およそ30分間です。
結果はその場で提示されます。以下の例は、私の測定結果。
クリフトン博士が研究したすべての資質は34個あり、そのうちあなたが有する才能の上位5つが提示されます。
34個の資質は、さらに4つの領域−実行力・影響力・人間関係構築力・戦略的思考力−に大別されます。そして、選ばれたあなたの上位5つの資質がどの領域に属するのか、図示されたものが下図。
私の場合、「戦略的思考」に重きが置かれ、「影響力」は極めて低いことがわかります。
そして重要なのは、測定結果を行動にどう生かすか。
本書では、全34の資質それぞれの特徴と経験談、「行動アイデア」、「その資質が高い人との付き合い方」が説明されているので、具体的な行動に落とし込みやすくなっています。
強みを活かし、限界を知る生き方とは
ストレングス・ファインダーで測定される「才能」は、自分自身を理解して強みをつくるのに役立つだけではありません。
一緒に生活する家族や、仕事を共にするパートナーのことを理解して、うまく付き合うのにも効果的。
自分に才能があるように、相手にも独自の才能があります。
相手の才能を高めるような仕事の任せ方や付き合い方をすれば、お互いストレスなく、最大の成果を挙げられるでしょう。本書では、それぞれの才能をもつ人との働き方が提示されており、実践的です。
さらに、才能があるということは同時に、それ以外の領域に得意でない領域(短所、弱点)もあるということ。
自分の得意でない領域については、他人からアドバイスをもらったり、その資質をもつ人とパートナーを組んだりすることで、チームとして補い合うことができます。
前作ですでにストレングス・ファインダーを受けたことがある、という人もいるでしょう。
〈新版〉で受けられる「ストレングス・ファインダー2.0」では、測定結果に5、000種類以上の「強みの洞察」にもとづくレポートが得られます(下図)。これは前作にはなかったもので、よりあなた独自の才能や行動指針にカスタマイズされています。
限り有る人生において最高の成果を上げるために、できるだけ早くあなたの才能を見つけてそれを伸ばす。さらに、あなたのまわりの人たちが才能を伸ばすのをサポートする。
<ストレングス・ファインダー2.0>が、あなた自身の才能に気づき、ふさわしい道を進むのを強力に後押ししてくれるでしょう。