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自然とのふれ合い

「進化医学」の観点から最高の体調を手に入れる(2)「自然とのふれ合い」で本来の自分を取り戻す

前回のブログにて進化医学の観点から、古代の狩猟採集生活と現代生活とのミスマッチから人体の生存システムがうまく機能しなくなり、さまざまな「現代病」を引き起こすと書きました。とくに長年にわたる「慢性炎症」によって細胞や血管が傷付けられ、脳や体のかちこちの機能が低下していきます。

今回は、現代病による不調を解消するためのテクニックをご紹介します。

『最高の体調(鈴木 祐著、クロスメディア・パブリッシング)』の著者は、慢性炎症を鎮め体調を回復するのに、もっとも手軽でメリットが多い方法として、“自然との接触を増やす”ことを挙げています。

(自然とのふれ合いは)ストレスが劇的に下がるのはもちろん、自然のなかにいれば大気にふくまれる細菌が腸内環境にも良い影響をあたえ、自律神経が整うおかげで睡眠の質も高まり、同時にデジタル断食の効果も得られます。いろいろなポイントが改善していくため、費用対効果としては最強クラスです。 (282ページ)

自律神経のバランスを整える

「自然とのふれ合い」は、確かに人体の副交感神経を活性化することが明らかにされています。現代生活は、ストレスや生活習慣の乱れ、デジタル機器の常用などにより、交感神経が優位な状態が続きやすくなっています。自然とのふれ合いにより副交感神経が活性化され、トータルの自律神経のバランスが整います。

自律神経は呼吸や循環、代謝などの生理システムはもちろん、思考や感情の調節にも貢献しています。自律神経のバランスが高いレベルで整えば、むろん心と身体のパフォーマンスが最高に高められます。

あなたも山や森のなかに入って清々しい気分になった経験はないでしょうか。科学的な根拠に裏付けられてた森林浴として「森林セラピー」があります。森林セラピーの健康効果として、次のような事実が明らかにされています。

  • 森林浴により、ストレスホルモンが減少する
  • 副交感神経の活動が高まる
  • 交感神経の活動が抑制される
  • 収縮期・拡張期血圧、脈拍数が低下する
  • 心理的に緊張が緩和し活気が増す
  • ナチュラルキラー(NK)細胞活性が高まり免疫能が上がる
  • 抗がんタンパク質が増加する

*特定非営利活動法人 森林浴セラピーソサエティ

人間の感情システムに働きかける

副交感神経を活性化する自然の癒やし効果は、人間の「感情システム」にも好ましい影響を与えます。

ポール・ギルバート教授(ダービー大学)によれば、「感情システム」は人間の心の働きを次の3つのパーツに分類した考え方です。私たちが最高のパフォーマンスを発揮するには、3つのパーツがバランスよく機能している必要があります。

  • 興奮(資源探求)「喜び」「快楽」といったポジティブな感情を作りだす。生き延び、繁栄するための資源(獲物や食事)を探すためのモチベーションを生み出すシステム。おもに脳内ホルモンのドーパミンで制御されている。
  • 満足(慰め)「安らぎ」「満足」「(内的な)平静さ」といったポジティブな感情を作りだす。愛情や親切さと関連し、同じ種族とのコミュニケーションに役立つシステム。オキシトシンエンドルフィンなどで制御されている。
  • 脅威(自己防衛)「不安」「警戒」「緊張」「怒り」といったネガティブな感情を作り、外敵や危険から身を守るためのシステム。ストレスホルモンのアドレナリンコルチゾールなどで制御されている。

現代社会での生活は、「興奮」と「脅威」のシステムばかりが活性化されやすいといいます。なぜなら、巨大なショッピングモールやゲーム、インターネットなどの娯楽施設・デジタル機器がささやかな興奮をもたらしつつも、仕事のストレスや経済的な悩みなどにより、いつも不安や緊張の感覚がかき立てられます。その一方で、SNSの発達によってコミュニケーションのあり方が変化し、濃密な人間関係が減ったせいで安らぎの感覚は薄らぎがちです。

そこで自然とふれ合うことで、3つの感情システムがバランスよく刺激されます。感情システムが偏りがちな現代人こそ、自然とふれ合う機会を増やして、そのバランスを保つことが大事になります。

季節のうつろいや草木の変化がほどよい興奮を生み、緑に守られる安心感が心地よい安らぎを生み、森や川に潜む未知の脅威がときに警戒を生みます。自然のなかにいれば、特定のシステムが暴走することがありません。(112ページ)

デジタルの自然を増やし、公園を活用する

ここまで自然とのふれ合いが、自律神経をはじめとした生理機能を高め、感情システムのバランスを整える効果を上げました。しかし多忙なあなたは、ふだんの生活で山や森に出かけていく暇はないかもしれません。

そんなあなたが実践できる方法があります。それが「デジタルの自然を増やす」ことと「公園を活用する」ことです。

「デジタルの自然」を増やす

自然とのふれ合いを増やすスタート段階として、デジタルのデータを使って「自然音」や「自然画像」にふれることが効果的とのことです。川のせせらぎ、木々を吹き抜ける風の音、雄大な森林の映像、波が押し寄せる海の光景などなど、あなたにとって心地よいと感じられる自然の音や画像であれば何でも構いません。

このようなデジタルな自然音や自然画像であっても、副交感神経を活性化する効果が確認されています。パソコンやスマホの待ち受け画面を自然の風景に変える、一日に1回はネットで大自然の動画をみる、寝る前の音楽を自然の音にするなど、生活に取り入れやすいものから始めましょう。

イルカ

「公園」を活用する

木々や花に囲まれた公園で過ごすとゆったりした気持ちになりませんか。都市であってもわりと身近にある「公園」も、積極的に利用すれば科学的に実証されたパワースポットになるといいます。公園などで自然とふれ合う時間を増やすことで、うつ症状の発症リスクや高血圧の症状が低下したというデータがあります。さらに緑の多いエリアでは、空気中に漂う微生物の働きで腸内環境も改善されます。

そしてこの結果は自然とふれ合う時間が長いほど、効果が増してきます。まずは、「最低でも週に1回で30分は公園にいく」ことから始めていただければ、心と身体を改善するのに最適です。

公園

結びに

人は環境に影響を受ける生き物です。身近におやつがあれば食べたくなりますし、食器のサイズが小さくなれば食欲が減る、パートナーがダイエットに励んでいれば一緒に健康的な食事を選ぶ。古代からの遺伝子と現代生活とのミスマッチを解消するうえで、環境を上手に活用することが有用です。

今回は現代病を解消する方法として、「自然とのふれ合いを増やす」ことの効果を取り上げました。何百万年という人類の歴史において、そのほとんどを自然のなかで過ごしてきました。私たちの心と身体は、自然のなかで最高のパフォーマンスを取り戻すように仕組まれているように思います。

急に森の生活を実行することは難しいですが、デジタルの自然との接触時間を増やす、観葉植物を置く、公園でリラックスして過ごす時間を設けるなど、いまできることから始めてみませんか。

 

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