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内向的な性格のあなただからこそ,才能開花のチャンス<読書評>『ストレスを操る メンタル強化術(DaiGo著,KADOKAWA)』

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「ストレス」「失敗と挫折」「内向的な性格」
これまでネガティブなものとして捉えられてきたこの3つは,実はあなたの人生を充実させ,成功をつかむために,欠かせない要素なのです.

メンタルが弱い人だからこそ持っているリソースを使って,無理なくメンタルを強化できる方法があると薦めるのは,『ストレスを操る メンタル強化術(DaiGo著,KADOKAWA)の著者です.

本書では,「ストレスを消さずとも,軽減する」「ストレスの使い方によってメンタルは強化される」「失敗を恐れがちな人が,いかに失敗を活かすか」「内向的な性格を活かすことで成功へつなげる」などの科学的根拠が示されています.さらに,その根拠にもとづくメンタル強化メソッドが紹介され,今すぐにでも取り組みやすいものとなっています.

今回はとくに,第4章「内向的な自分の才能を開花させる」に着目していきます.「なかなか新しいことに挑戦できない」「人付き合いが苦手で,人の集まりから遠のいてしまう」「自己主張するのを遠慮してしまう」など,いわゆる「内向的」といわれる性格を引け目に感じてはいませんか?内向的なあなただからこそできる,才能の活かし方があります.

内向的な人は,「考える力」を活かす

まず内向的・外向的な性格の違いについて,心理学では「外部の脅威に対してどういう反応をするか」,つまり「反応性」に本質的な違いがあるのだといいます.

内向的な人は高反応であり,外向的な人は低反応である(発達心理学者ジェローム・ケーガン)

言い換えれば,内向的な人は外部の刺激にとても敏感なため,あまり未知なものに挑戦したり,無茶をしたりしないというわけです.一方で外向的な人は刺激に強く,ものごとに動じないので,いろいろなことにリスクをとってチャレンジしていきます.

このような内向的な人と外向的な人の性格の違いは,「脳の使い方」に起因するといいます.外向的な人は,脳の大脳辺縁系を主に使っている.大脳辺縁系は本能を司る部位で,報酬への依存も高くなります.そのため,外的報酬(お金,賞賛,名誉など)を求めて活発に行動します.一方,内向的な人は,扁桃体や前頭葉を優位に使っている.扁桃体は恐怖を司る部位なので,リスクに対して慎重になります.さらに意志や思考を司る前頭葉の働きのお陰で,冷静な判断や自己コントロール(自制心)が効きやすくなります.

外向的な人と内向的な人の脳の違い

自分の内側に入っていきやすい内向的な人に向いているのは,「考える作業」です.このタイプにアーティストや科学者など,一人で考えることを仕事とする人が多いのもうなずけます.内向的な人の成功例として,世界一の投資家ウォーレン・バフェットが挙げられています.

「○○社の株が上がった」「今,□□業界い勢いがある」といった情報=外部刺激を受けたときに,外交的なトレーダーや投資家は,すぐに反応します.「チャンスを逃すな」というわけです.
しかしバフェットは,「本当にこの流れは続くのか」「バブルではないのか」ということを考え,じっくりと調べた上で行動します.その結果,最適な意識決定ができているということなのです.(102ページ)

本書では,外向的な人比べた内向的な人の強みとして次の3つが挙げられています.これらの特性を活かして,知的作業やクリエイティブな活動において能力を発揮しやすいといいます.

  • 自制心が強い
  • 発想力がある
  • 感性が豊かで,感受性が強い

感受性の強い内向型の人は,自分のホームを整えることが大事

もちろん内向的の人には短所もあります.それは「感受性が強いために,周りの影響を受けやすい」ということです.著者は次のように指摘しています.

外向的な人は,外部の刺激に対して鈍感です.周りの影響をそれほど受けることなく,「己の道を進む」ことができるのです.
これに対して,内向的な人は,繊細で感受性が強いがゆえに周囲の影響を受けやすい.ということは,誰から影響を受けるのかが重要です.(103ページ)

周りの影響を受けやすいと認識した上で,適切なメンターや環境を選んでいくことが必要です.つまり,自分に与える外部からの影響(人・環境・情報)を取捨選択するのです.具体的には,友人や師匠・メンター.勉強する環境でいえば,ファミレスのような多くの人でガヤガヤした場所よりも,図書館などノイズが少なくて静かな場所を選ぶことがカギになります.自分がもっとも集中したり,クリエイティブになれたりする環境(=「スイート・スポット」)を探してみましょう.

スイートスポットを探す

内向的な人のメンタル強化メソッド

外部の刺激への感受性が高く,冷静に考える作業 内向的な人がメンタルを強化するメソッドを取り上げます.

「孤独な時間」を守る

バイオリンのソリストの将来性に関する研究(アンダース・エリクソン)や,芸術・科学・ビジネス・政治の分野で並外れた想像的な人物に関する研究(ミハイ・チクセントミハイ)より,才能を開花させた人物は一人での練習時間が多かったり,孤独な学生時代を送ってきたりした,ということが紹介されています.ここから内向的な人が才能を発揮するための工夫がみえてきます.

才能を育て,実力を発揮するには,〜 孤独な時間を守ることが重要なのです.
(中略)才能が欲しいのだったら,人は孤独に耐えなくてはなりません.一人の時間に耐えられる内向的な人は,才能を身に付ける可能性が高い,ということでもあります.(180ページ)

つまり,一人で練習や仕事に集中できる時間や環境を作って,ものごとに打ち込むことで成長し,成果を挙げられる.内向的な人は生まれ持った特性によって,この過程に取り組みやすいというわけです.そのためには,自分にとって大事なものごとを決め,それを妨げる事態に対しては「No」と言える力を身に付ける必要もあります.

ひとり集中する時間

自分の軸となる「コアパーソナルプロジェクト」を見つける

とはいえ,内向的な人でも社交の場でうまく振る舞ったり,プロジェクトのメンバーと協同したりする場面もあるでしょう.そのような内向的な人の外向性はどのように発揮されるのでしょうか.

たえとば,普段はあまりしゃべらない,内向的なオタクタイプの人なのに,あるときお酒の席でその人が没頭している趣味の話を振ったところ,朝までずっと誰よりもしゃべり続けたーそんな経験はないでしょうか.
これこそ,まさにコア・パーソナル・プロジェクトに従事しているときの姿なのです.(204ページ)

コア・パーソナル・プロジェクトとは,「自由特性理論(ブライアン・リトル)」にある概念で,“人は特定の性格特性を持って生まれるが,自分にとって重要な事柄=コア・パーソナル・プロジェクトに従事するとき,その特性の枠を超えて振る舞うことができる”と説明されます.

つまり,あなた自身が全身全霊をかけて集中できるような領域に関する活動であれば,生まれ持った性格の枠を超えて振る舞えるというのです.“内向的な人間であっても,本当に好きなことをしているときは,外向的になれる”のです.逆に言えば,内向的な人にとって,自分のコア・パーソナル・プロジェクトを見つけて,そのことに没頭できるかが,自分の才能を開花させる,また外向性を発揮するカギとなりそうです.

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結びに

本文中で著者も述べていますが,本書はメンタルの弱い人に「メンタルを強くしろ」と要求する内容ではありません.むしろ,一般にネガティブなマインドとして受け取られやすい「ストレス」「失敗と挫折」「内向的な性格」というリソースを活用することで,強いメンタルを手に入れるのに最適な一冊です!

自分の性格特性を理解すると,その能力を発揮しやすい分野で,集中しやすい環境を整え,没頭することが成果を上げるのに大事になるのでしょう.内向的な性格の人は,失敗した際にも「なぜ間違ったのだろう」と考え込む傾向にあるので,間違った原因を追及し,その経験から学びを得るのにも秀でています.

生まれ持った性格を活かす,メンタルを強化するメソッドをご紹介しましたが,人間の心身は大きな変化に慣れていません.リスクとならないような,日々の小さな変化を積み重ねることを意識すべきだと著者はいいます.例えば「英語を身に付けたい」と思ったら,「書店に行って英会話の棚を眺める」ことから始めるのでも十分です.

ぜひあなたの生まれ持った特性を活かしてストレスと向き合い,パフォーマンスアップにお役立ていただければ.

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