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膝蓋下脂肪体の機能解剖と膝前部痛のまとめ|理学療法士が使える評価・治療

こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。

 

膝前部痛(anrterior knee pain:AKP)は臨床で対峙することの非常に多い症状ですよね。

AKPを訴える症例のうち、膝蓋下脂肪体(infra patella pad)の炎症が原因と考えられるケースが多々あります。

 

膝蓋下脂肪体は外傷や手術による侵襲、繰り返される機械的ストレスによる微細損傷などで炎症を起こします。

炎症後には細胞浸潤・肥大、線維化することで組織の柔軟性が低下。

 

柔軟性を失った膝蓋下脂肪体は、本来の膝関節の動きを阻害し、動作時痛や関節可動域制限の原因となります。

膝蓋下脂肪体が痛みや可動域制限に関わるケースは、臨床的にも少なくありません。

そこで今回は次の3点から解説します。

  1. 膝蓋下脂肪体の構造と機能
  2. 膝前部痛のメカニズム
  3. 理学療法評価とアプローチ

膝蓋下脂肪体の構造と機能

どこにあるのか?

膝蓋下脂肪体

 

膝蓋下脂肪体

膝蓋下脂肪体は、膝蓋骨の下で、膝蓋靱帯の内面を底とする滑膜に被われた大きな脂肪体で、前顆間区の上に拡がる。

膝関節包の内面は硬く、関節の運動によって変形しないが、この脂肪体が骨の間に入って死腔をうずめる。

(分担解剖学1、235ページ)

(膝関節の)前方では、膝蓋下脂肪体によって滑膜は膝蓋靱帯から隔てられている。

脂肪体の両側で、滑膜はヒダのある縁(翼状ヒダ)を形成して、関節腔の中へ陥入する。

加えて、膝蓋下脂肪体の下部を覆っている滑膜が正中の鋭いヒダ(膝蓋下滑膜ヒダ)となって後方にのび、大腿骨の顆間窩の縁に付着する。

(グレイ解剖学、577ページ)

どんな働きをしているのか?

膝蓋下脂肪体

脛骨の前顆間窩、膝蓋靱帯それに大腿骨の膝蓋関節面の下面によって取り囲まれている空所は、膝蓋下脂肪体として知られているかなりの量の脂肪組織の塊によって充たされている。

この塊は、その底部が膝蓋靱帯の後面にあって、前顆間窩の前部と重なり合っている四角錐の形を有している。

その上面は、膝蓋骨尖に付着し、顆間窩に位置している線維脂肪靱帯によって補強されている。この帯が膝蓋下滑膜ヒダである。

側面では膝蓋下脂肪体は、線維脂肪組織の2つのふさべり状のひだ、すなわち翼状ひだを形成して膝蓋骨の側縁の下部に沿って上方へ延びている。

膝蓋下脂肪体は、膝関節の前方区間において、“間に合わせ役(atopgap)”として機能している。屈曲の際、それは膝蓋靱帯により押しつぶされ膝蓋骨尖の両側に広がる。

膝蓋下脂肪体は、胎生4ヶ月までに関節を2つの腔所に分ける中隔の胎生期遺物である。
成人では、通常膝蓋下脂肪体と関節包によって形成される中隔との間に間隙がある。

したがって、関節の外側および内側の半分はこの間隙を介して互いに交通しているし、同じように脂肪体上部と膝蓋骨深部に存在する空所を介しても交通している。

ときとして、成人では中隔はいつまでも残存し、これらは膝蓋下脂肪体の上部とのみしか交通していないこともある。
これは膝蓋下滑膜ひだあるいは粘膜靱帯として知られている。

(カパンディ関節の生理学Ⅱ 原著第5版、92ページ)

膝蓋骨が下方偏位する場合、それは位置ZZ’からZZ’’(*上図)へと、膝蓋下脂肪体の180°の動きを伴う。

中央では、十字靱帯によって分厚くされている関節包の隔壁は、関節腔を内・外2つの区画に分けているが、この隔壁は膝蓋下脂肪体によって前方に延ばされている。

(カパンディ関節の生理学Ⅱ 原著第5版、100、118ページ)

(膝蓋骨の)関節面の下部では、その後面が膝蓋骨に付着する膝蓋下脂肪体に対応する。

前半分の滑液包の仕切りは不十分である。

膝蓋腱、大腿顆部、脛骨の間に位置する空隙は脂肪体によって埋められている。

脂肪体は;
−膝蓋腱の深層に付着している。
−大腿骨と脛骨の間で角状にはまり込んでいる。
−滑膜を後方へ押し込んでいる。

矢状面では、滑液包頂点は細長い延長となり、大腿顆部のV 字形切り込みの中に付着している(これを膝蓋下滑膜ひだと呼ぶ)。

矢状面の両方向から、翼状ひだは十分に発達して、半月板を部分的に覆っている。

(図解  関節・運動器の機能解剖 下肢編、97、107ページ)

機能解剖のまとめ

  • 膝蓋下脂肪体は、大腿骨と脛骨前顆間区、膝蓋腱、膝関節腔に囲まれる空隙を埋めるようにして、四角柱状に存在している。
  • 膝蓋下脂肪体の後面や側面では、滑膜ヒダが形成されて関節腔へ入り込んでいる。
  • 膝関節屈曲時には膝蓋骨の下方偏位に伴って、膝蓋下脂肪体が後方へ(滑膜を押し込むように)入り込んでいく。一方、伸展時には前方へ押し出される。
  • 脂肪体は滑液包と相まって、膝関節運動に伴う骨の摩擦を減らし、関節運動を円滑にするのに貢献していると考えられる。

膝前部痛との関連、評価とアプローチ

膝蓋下脂肪体炎による疼痛の鑑別法と発生機序

Hoffa sign(ホッファサイン)

膝関節の屈曲時に痛みはなく、伸展時に膝蓋下の疼痛が出現(Hoffa sign 。Magi M, 1991)。

膝関節伸展最終域において、膝蓋下脂肪体が大腿骨顆部に挟まれた圧縮痛と考えられます。

柔軟性の低下した脂肪体は、本来の膝関節屈曲に伴う移動(屈曲時に後方移動、伸展時に前方移動)が阻害され、膝蓋大腿関節(PF 関節)や脛骨大腿関節(FT関節)に挟み込まれる事態。

圧痛所見

膝蓋腱部の圧痛をみた際に、膝関節伸展位では疼痛再現され、屈曲位では疼痛再現されない場合、膝蓋下脂肪体由来の痛みと推察されます。

膝関節屈曲位のとき膝蓋下脂肪体はより関節腔深層へと入り込んでいく機能を利用しています。

膝関節屈曲位での膝蓋腱の圧痛の有無は、膝蓋靱帯炎との鑑別に利用されます。

膝蓋下脂肪体の過度な内圧上昇

いくつかの要因により、膝蓋下脂肪体の存在する空隙での圧力が高まります。

膝蓋下脂肪体の内圧を高める要因として、膝蓋腱の強い緊張や伸張性低下、膝蓋骨の偏位、下腿の回旋アライメント変化などが挙げられます。

また膝関節深屈曲(しゃがみ込み動作など)に伴う膝蓋下脂肪体の過度な内圧上昇には、中間広筋の硬さが助長しているとも考えられています。

その他

膝蓋下脂肪体は膝関節周辺組織のなかでもっとも疼痛を感知しやすい組織の一つ。

脂肪体に炎症が生じると、大腿部への関連痛や、反射性の筋抑制が大腿四頭筋に生じることも報告されており、筋力低下による関節支持性の低下も推察されます。

膝蓋腱の高い緊張には、大腿四頭筋の緊張を高めるような姿勢、動作の特徴があります。

とくに骨盤後傾位や、上半身重心の後方偏位での姿勢・動作の継続が強く関与します。

また膝の関節包内運動にはハムストリングが関与し、ハムストリングの緊張亢進によって包内運動が不整となれば、膝蓋下脂肪体への機械的刺激が繰り返されることも見過ごせません。

アプローチ

膝蓋下脂肪体が原因と考えられる膝前部痛に対しては、次のようなアプローチ法が必要。

脂肪体そのものへの介入に加えて、そもそも局所への負荷集中を招いた身体環境を改善することを目的としています。

  • 膝蓋下脂肪体そのものの柔軟性改善(徒手療法、超音波療法など)。
  • 膝蓋腱や中間広筋の柔軟性を改善し、膝蓋下脂肪体の内圧を軽減する。
  • 大腿四頭筋やハムストリングをはじめとした膝周囲筋の筋緊張を正常化する。
  • 膝蓋骨や下腿のアライメント是正により、膝蓋下脂肪体の機械的ストレスを減らす。
  • 膝周囲筋の緊張を正常化するよう、姿勢制御・身体重心のコントロールを整える(骨盤、体幹への介入)。
  • その他

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参考書籍

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参考文献

  • Maurel B et al:Infrapatellar fat pad: anterior crossroads of the knee. J Radiol. 91:841-855,2010.
  • 宮前 雄治 他:膝蓋下脂肪体炎膝の疼痛発生メカニズムに対する超音波画像からの一考察 正常膝と比較して。理学療法学37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
  •  山本洋介 他:膝蓋下脂肪体炎により下肢の痛みを生じていた1症例。日本ペインクリニック学会誌17:488-490、2010。
  • 小野哲也 他:膝蓋下脂肪体の組織弾性が膝前部痛に与える影響。東海スポーツ傷害研究会会誌31:1-3、2013。

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