明るく活発で、たくさんの人と社交的につきあえる「外向的」な人をみて、おとなしい、引っ込み思案な「内向的」な自分と比べて、あんなふうになりたいなと憧れたことはありませんか?
私もあります。
相手の顔色をうかがって、自分の思ったことをはっきり言えない。
大勢の人が集まる交流会やパーティの場で、息苦しさを感じ、立ち去りたい。
初めての人と打ち解けて話せない…
そんな内向的な自分を克服したいと思い、“がんばって”いろいろな人に話しかけたり、話し方や社交術を勉強したりしました。
ですが、ふだんからよく喋り、初対面の人ともどんどん打ち解けていける友人や仕事仲間をみたときに、これはとても敵わないと悟ったのです。
自分は、自分の持っているもので勝負するしかない、と。
ただそうは言っても現実、仕事をするうえで「誰とも顔を合わさない、一言も話さない」なんてことはありえません。
一人で進める作業であっても、それを受け取ってくださるお客様がいたり、間をとりもってくれる業社の方だったり。
自分の考えを伝えたり、プロジェクトを協力して進めるために意見を交換したりする場面もあります。
そんなときにうまく振る舞い、望む結果を出すためには、どうすればよいのでしょうか?
本記事では内向的な人が外向的になれ、人とうまく付き合ったり、仕事で活躍したりできる方法をご紹介します。
【内向型人間】内向的な人が外向的になれる1つだけの方法
まずおさえておきたいのは、内向的な人が“無理やりに”外向的に振る舞おうとする必要はありません。
がんばって明るく社交的に振る舞おうとしても、虚勢をはっているのは見え透いていますし、もとから外向的な人には太刀打ちできません。
内向的な人が外向的になれる、「1つだけ」の方法があります。
それは「コアパーソナルプロジェクト」を見つけ、それに全力で打ち込むこと。
「コアパーソナルプロジェクト」とは、“情熱をもって追い求めている、個人的に重要なジャンルや行動”をいいます。
例えば自分が重要視する仕事や、愛情を感じている人々、大切にしているものごとなど。
コアパーソナルプロジェクトに取り組んでいるときには内向型人間であっても、熱のこもった話し方をしたり、活発に動きまわったり、積極的に人に働きかけたりして取り組んでいます。
内向的な人がコアパーソナルプロジェクトに打ち込むことで外向的になれるというのは、ブライアン・R・リトル教授が提唱した「自由特性理論」にもとづきます。
リトル教授は3年連続でハーバード大学の人気教授に選出されるなど、パーソナリティや動機付けについての心理学分野で世界的権威。
自由特性理論では、自分にとって大切なプロジェクトや価値を感じる行動のためなら、人はふだんのパーソナリティーの枠を超えた自分になれるといいます。
例えば、自分の趣味のことになると延々と語れる、恋人や家族のためのサプライズでひと肌脱ぐ、専門分野の研究会で堂々と発表する、など。
私の場合は健康や身体運動学、心理学、自己理解についての知識を伝えることです。
はじめは自分が知りたい、より生きやすくしたいと思って学んでいたことですが、人から尋ねられたり、相談されたりすると、得た知識や、それを実践して学んだノウハウなどをどんどん話せてしまいます。
自分から何か話そうとするとしどろもどろなのに、コアパーソナルプロジェクトに関する話題をふられると次々に話が湧いてくるから、不思議です。
あなたにとって、誰に何と言われようがやってしまっている大事なことには何がありますか?
【内向型人間】「コアパーソナルプロジェクト」に打ち込むメリット
内向的な人がコアパーソナルプロジェクトに打ち込むことは、外向的に振る舞えるようになる他にも、次のようなたくさんのメリットがあります。
対人関係が良くなる
内向的な人はまわりの状況をよく観察していたり、相手の小さな表情の変化など、こまかいことによく気がついたりします。
その観察力や共感力を活かして、その状況にふさわしい振る舞いや、相手の気持ちを察した配慮などをすることができます。
そうすることであなたは「よく気がつく、心配りできる」存在として、信頼や好感につながるでしょう。
仕事の評価が高まる
内向的な人は1つのタスクに深く集中し、粘り強く取り組むのが苦ではありません。
仕事の多くはそれが重要であるほど、やったら今すぐに成果が出るものではなく、中長期的に向き合っていかなければならないもの。
粘り強くひたむきな情熱を傾けて取り組むあなたに、上司や同僚、ビジネスパートナーも一目おくことでしょう。
仕事への充実感、満足度が高まる
コアパーソナルプロジェクトに関わることには、「フロー状態」とよばれるように没頭して、夢中になって取り組んでいます。
フロー状態でいられるほど人は満足感や充実感があり、幸福度の向上につながるとわかっています。
あなたが意義を感じられる、大事なこと、大好きなことに打ち込みましょう。
【内向型人間】内向的な人が「コアパーソナルプロジェクト」と出会うためには?
ここまで内向的な人がコアパーソナルプロジェクトに打ち込むことで外向的になり、仕事や人付き合いで多くのメリットがあるとご理解いただけたかと思います。
ただ「自分にはそんなに情熱をもって打ち込むものはないな」と言われるかもしれません。
ではどうすれば、自分が大事にするコアパーソナルプロジェクトを見つけらるのでしょうか?
実は自分にとって大事なことは、もうすでにあなたの身近にあることがほとんどです。
ただ気づいていないだけで。
サン=テグジュペリの名作文学『星の王子さま』でも、こういわれますね。
とても簡単なことだ。
ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
コアパーソナルプロジェクトに関わるときには時間を忘れて没頭したり、たとえお金や評価をもらえなくても続けています。
さらに自分では苦もなくやっているのに、まわりから「すごいね!」と褒められたり、「お陰で助かった!」と感謝されたりします。
一度時間をとって、以下の質問への答えを探してみてください。
- これまでたくさんのお金と時間をかけてきたものは何ですか?
- いつもあなたの身近にあるものは何ですか?
- お金をもらえなくても、やってしまっていることは何ですか?
- 人からよく感謝されたり、褒められたりすることは何ですか?
- 子どものときに夢中になったことは何がありますか?
難しく考えず、リラックスして自分と向き合ってみてください。
あなたが心から大切にする「宝物」が見つかるはずですよ。
【内向型人間】内向的な人が外向的に振る舞うときの注意点
ここまで、内向的な人はコアパーソナルプロジェクトに打ち込むことで外向的に振る舞えるとお伝えしてきましたが、1つだけ注意していただきたいことがあります。
パーソナリティ(性格)心理学では原則的には、自分の基盤となる(生まれ持った)パーソナリティーを理解し、それに合わせたプロジェクトを遂行することで行動を継続でき、成功に近づくと考えます。
例えば「誠実性が高い(自制心、自己コントロール力がある)」人にとっては学術や健康、社交などの分野で力を発揮し、成功しやすい。
一方で「情緒安定性の低い(リスクに敏感)」人にとっては、同じような分野は問題を抱えやすい、というように。
ただし、自分の固定されたパーソナリティだけにとどまっていては、人生の彩りや豊かさを味わいきれません。
状況に応じて「新しい自分(キャラクター)」を発揮する−内向的な人が外向的に振る舞うように−ことで、それまでにない体験や感動に出会えるのです。
ここで注意していただきたいのは、必要以上に「本来の自分」と相反する行動が長びく場合は、心身にダメージが生じ、パフォーマンスが落ちやすい、ということ。
そこで自分の「回復のための場所」を持っておくようにしましょう。
「回復のための場所」とは、ふだんと違う行動がもたらすストレスから逃れ、“本来の自分としてありのままに過ごせる休息所”のようなもの。内向型にとっては一人で落ち着ける、「小さな隠れ家」でしょうか。
私も人と会ったり、講演したりした後は、静かなカフェで1人になって「クールダウン」する時間をもつようにしています。
内向的な人が外向的に振る舞った後は「回復のための場所」にこもることで、エネルギーを充電し、また本来の自分で元気に過ごせるようになります。
ぜひあなたも、自分らしく過ごせるとっておきの場所を探してみてくださいね。
むすびに
いかがでしょうか。
今回は「内向的」な人が無理なく「外向的」に振る舞え、人付き合いや仕事がうまくいく方法をご紹介しました。
自分が価値をおき、情熱をかたむける「コアパーソナルプロジェクト」を見つけ、それに取り組むことで外向的に振る舞える。
そうして重要なタスクに打ち込むことでやりがいを感じながら、仕事の成功にもつながります。
ぜひこの機会にあなただけの「コアパーソナルプロジェクト」を発掘し、新しい自分と出会う冒険を楽しんでみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あなたが自分の特性を存分に活かして輝かれるよう願っています。
そのほかご質問や気になることがあれば、こちらのLINEからお気軽にご連絡ください。
参考書籍:内向的な人が自分をよく理解し、その才能を発揮するためのオススメ本
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