こころとからだの健康掲示板

こころとからだの関連性(心身一如)から「真の健康」を目指します!!

愛着と嫉妬は紙一重⁉︎ “愛情ホルモン”オキシトシンの意外な一面.

calendar

Pocket

まさか⁉︎という裏切られたような驚きでした。

一般に「愛着ホルモン」として知られる脳内で作用するホルモン「オキシトシン」が、嫉み感情を生み出したり、正義感という名のもとに他者を排斥・攻撃するよう作用したりしていたとは。

スポンサーリンク

“愛情ホルモン”オキシトシンの働き

通常、オキシトシンは下垂体後葉から分泌され、次のような働きをします。

  • 子宮筋の収縮により、分娩を強化したり、胎盤娩出後の止血を促進したりする。
  • 乳首の吸引刺激による乳汁分泌を促す(射乳反射)。

それ以外にも、心地よい刺激(お風呂やマッサージなど、あたたかい環境でリズミカルな刺激に触れる)によって分泌が促され、その他の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなど)に影響を与えます。その結果、次のような生理的作用が生じます。

  • 血圧が下がる
  • 心拍がゆっくりになる
  • 皮膚や粘膜の血流量が増える
  • 筋肉の血流量が減る
  • ストレスホルモンであるコルチゾール濃度が低下する
  • 消化・吸収が良くなり、エネルギーの貯蔵が進む

これは、休息と回復を促す副交感神経(自律神経の一つ)の働きと非常に類似しています。

オキシトシンの働きを要約すると、「愛と絆」「安らぎと癒やし」です。母と子の愛情、親密なパートナーとの愛情、気の置けない友人との信頼関係、尊敬する師を慕う気持ちなどに関わります。

愛情ホルモンが「嫉み」をも生み出す

しかし、この愛情ホルモンオキシトシンが「妬み(ねたみ)」感情をも引き起こすというのです。

「妬み」とは、他人を羨ましく思い、その分だけ憎らしいと思う感情のこと(Weblio辞書)をいいます。

そして、妬ましいと思っていた人間が何か失敗したときに、思わず湧き起こってしまう「喜び」の感情を「シャーデンフロイデと呼びます。シャーデンフロイデは、人間誰しもが持っている感情だといわれます。

*Schadenfreude(ドイツ語)。Schaden(損害、毒)+ Freude(喜び)

 

ここまで読んで、あなたは恐ろしくないでしょうか?

愛着を生み出すオキシトシンが、同時に妬みや他人をこき下ろす快感をも生じさせるのです。

 

なぜ「愛着」と「妬み」が同時に生じうるのか?

オキシトシンが愛着と同時に、妬み感情をも生じさせる背景には、人類の生存戦略が関わっていると考えられています(参考図書より)

人間の赤ちゃんは非常に未熟な状態で生まれ、授乳する母親を始めとする養育者の庇護なしには生きていけません。母親にそっぽを向かれては成長できないのです。

そこで、

母親は子どもから離れると強い不安を感じるように、オキシトシンによって脳を変化させられている

というのです。

母親(もちろん父親も)の脳内では、子どもが幼い頃はしっかりと愛着を形成し、養育していくように作用します。通常は、子どもが成長するにつれ親元を離れていくと同時に、親の「子離れ」も徐々に受容されていきます。

しかし、愛着形成の仕方が不安定(過剰や未熟)な親では、この「子離れ」を受容できず、強い不安を感じる場合があります。

「あなた(子ども)のことを思って〜」「良かれと思って〜」とった行動が、子どもにとっては過干渉や嫌悪を感じる対象となってしまうのです。

そんな子どもの態度を感じた親は、「こんなに思っているのに。。。(怒・悲)」というネガティブな感情が湧き起こります。これは恋人や配偶者、親密な誰かに対しても同様です。

これが、オキシトシンが「愛着」と「妬み」という、一見相反するような感情を同時に引き起こす機序です。

昨今のニュースでは、熱い師弟関係と思われていたスポーツ選手と指導者の間でパワハラ問題が取り沙汰されています。始めは確かに、愛着に基づく強い絆があったのでしょう。時間が経つにつれ(選手が成長し、指導者のもとを巣立っていくときに)、愛情が妬み(自分のもとを離れていく寂しさ・不安→苛立ち)に変わっていったと見ることもできます。

愛情の裏返し

「正義感」の正体⁉︎

インターネット上で特定の誰かを攻撃して「炎上」させる、飛行機内で泣く赤ちゃんをあやす親への暴言、道路を並んで歩く中高生への激しい叱責etc…

このような行為を見たことはないでしょうか。恐らく言う本人に悪気はありません。むしろ「悪いやつを注意して、正しいことをしている」という認識が多いかもしれません。

このとき脳内では、快楽物質のドーパミンが放出されていることが研究で明らかになっています。

このような感情の背景にシャーデンフロイデが関わっています。

つまり、特定の(自分にとって親密な)個人や所属する集団への愛着・帰属意識が強いほど、その親密さや組織秩序から外れようとする者に対して、「嫉み」感情が想起する。その者を攻撃・排斥することで、自分はドーパミン分泌による快感というメリットを得ている。これが「正義感」の正体かもしれないのです。「自分は正しく、悪いことをしている奴を罰する行動は許される」という心理にもとづく行動を「サンクション」といいます。

 

“出る杭は打たれる”という言葉があります。

これも組織のフラットな(横一線の)状態から飛び出そうとする者に対して、「秩序(安穏)を乱そうとする奴は許さん!!」という攻撃・排斥の一種でしょう。

しかも加齢などにより前頭前野からの抑制が弱まると、シャーデンフロイデに基づく他者への攻撃は度を超すというのです。テストステロンの優位な男性により顕著だというので、いわゆる“親父の小言”みたいなものも、ホルモンの影響かもしれません。

まとめ。オキシトシンの働きを知って、私たちが考えること

ここで言いたいのは、

オキシトシンが、愛着や親密な感情を生み出すと同時に、嫉みや正義感という攻撃性を有する(そこにはドーパミンによる快楽感情が関わっている)ものだと知っておくということです。

自分が正しいと思って、組織の和を乱す者を注意しようとしたとき、また注意した後で、それは真に相手のことを思ってだったのか、あるいは脳内でドーパミンの働きによる快楽(自己満足)を得た結果ではなかったか。厳しく自分を内省することが大切です。

一方で、自分が注意されたり、中傷された場合に、「どうして、(あなたに)そんなこと言われないといけないの⁉︎(言われる筋合いはない!)」と落ち込んだり、怒ったりしないで、

「もしかしたらあの人は、脳内でオキシトシンの働きによって、正義感を発揮して快感を得ている。悪人ではなくて、脳内ホルモンに影響されているのかも」

と考えられれば、ちょっとだけ気持ちが軽くならないでしょうか。

シャーデンフロイデが、人間の種としての生存戦略や個体の発育に必要であったことを鑑みれば、一概に攻撃・排斥(いじめ)行動をとる者を性悪だと決めつけることはできません。

 

何か行動を起こす際には、次の言葉が戒めになります。

動機善なりや、私心なかりしか (稲盛和雄)

ホルモンの働きは、人類が厳しい環境で生存するためにとってきた戦略の一つ、ある意味本能です。

種としての本能に大きく影響されることを自覚した上で、どこまで理性(前頭葉の働き)でカバーしていけるのか。常に、自分に問いかけるのです。

脳の働きを知ることで、周囲の人と良好な関係を築き、“より良く生きる”ヒントになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

 

 

この記事をシェアする

コメント

コメントはありません。

down コメントを残す




このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

folder 「免疫系」を知る

免疫力を高めるストレス解消法
免疫力をアップさせる運動のコツ
“免疫系の暴走”を抑えるのも,食事から!〜食物繊維の役割〜
more...

folder ぐっすり眠る

【悩まない】どうしても眠れないときにとるべき、疲労回復のコツ
やってはいけない!快眠を妨げる寝る前の行動
「年齢」で変わる!自分にあった睡眠時間の見つけ方
more...

folder 脳の働きを知る

「心」とは?
人の行動は脳内物質に支配されている⁉︎
愛着と嫉妬は紙一重⁉︎ “愛情ホルモン”オキシトシンの意外な一面.
more...