こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
- スマートでかっこよくありたいのに、気づいたら食べすぎてしまう。
- ストレスや悩みごとがあると食べてしまう。お腹が空いていないのに食べてしまう。
- 口寂しくてチョコやお菓子をちょくちょく口にしてしまう。
- 買うつもりはなかったのに、ムシャクシャしたときについ買っちゃった。
そんな経験はありませんか?
もちろん、ぼくもあります。
でも結局満足できなくて、空虚感や後ろめたさがけが残るんです。
“わかっているのに食べ過ぎてしまう、やめられない、止まらない”…
それはどうしてなんでしょう?
やけ食いや衝動買いをやめられない理由は、ひとの脳が「快楽(気持ちよさ)」を求める性質にあります。
さらに、“脳内麻薬”とも呼ばれる「ドーパミン」という神経伝達物質がおおいに関わっています。
こんな脳の性質を知っておき、「ストレス」や「快楽を求める衝動」とうまくつき合っていく方法を身につけましょう。
今回はまず、ひとの脳が「快楽」を求める性質について理解。
そしてストレスによるやけ食いや衝動買いを止めるのに効果的な3つの方法をご紹介します。
基本的に脳は「快楽」を求めているようにできている
基本的にひとの脳の働きには、次のような原則があります。
- 楽をしようとする(省エネ)
- 快楽を求めている(快楽を得るためには、手段を選ばないことも)
- 快楽を求め続けると、依存傾向がある
脳は、体のなかでもっとも多くのエネルギーを消費するところ。
楽をしたがったり、「快楽(気持ちよさ)」を求めたりするのは、厳しい生存環境をくぐり抜けるために必要な戦略だったのです。
生き延びるためには、できるだけエネルギー消費をおさえる。
そして心地よいものを求めるようプログラムされているのです。
「快楽」を感じるときに、脳内で盛んに分泌されているのが「ドーパミン」。
ドーパミンによる快楽は、“自分で自分にご褒美(報酬)をあげる”手段だといえます。
どんなときに「快楽」を感じるのか?
ふだんの生活でも、無自覚のうちにドーパミンによる「快楽」を求めて行動していることが少なくないんです。
例えばドーパミンの分泌が高まり、「快楽」を感じるのはこんなときがあります↓
- 楽しいこと、ワクワクすることをしているとき
- 目的やゴールを達成したとき
- 新しい行動やチャレンジを始めようとするとき
- 意欲的な、やる気が出た状態になっているとき
- 他人に認められたり、ほめられたりしたとき
- 好奇心にかられるとき
- 恋愛感情やときめきを感じているとき
- セックスで興奮しているとき
- 美味しいものを食べているとき
- アルコール、タバコ、ドラッグ
- ギャンブルでハラハラしているとき
美味しいものを食べる、アルコール、セックス、タバコ、などの「生理的な報酬」。
ギャンブルなどのハラハラ感、愛着・親密な関係、人からの評価と承認、達成感など人間関係にまつわる「社会的な報酬」とがあります。
経済と快楽の関係
実は、いま世の中に出回っている社会システムや商品、サービスなどもひとが「快楽」を求める性質とふかく関係しています。
時間の価値を取引する「タイムバンク」を創設した佐藤航陽氏((株)メタップス)は、著書『お金2.0(幻冬舎)』の中で、“うまく回っている経済システムには共通する要素がある”。
それこそ脳内の快楽を司る「報酬系」だと述べています。
人間も動物もこの報酬系の奴隷のようなもので、ここで発生する快楽物質が欲しいために色々な行動に駆り立てられます。
この快楽物質という「ご褒美」なしに、人間は何かに繰り返し打ち込んだりすることはできません。
自然の行動に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい
ひとが「快楽」を感じるしくみ
ぼくたちが「快楽(気持ちよさ)」を感じるとき、脳内では「報酬系」という神経ネットワークが活発に働いています。
「快楽中枢」とも呼ばれます。
例えば、美味しいものを食べたとき、中脳の腹側被蓋野(ふくそく ひがいや)というところが刺激されて、そことつながる側坐核(そくざかく)からドーパミンがドバっと分泌されます。
報酬系はさらに「A10神経系(中脳皮質ドーパミン作動性神経系)」をつたわって、脳のあちこちと連絡。
記憶にかかわる海馬や、好き嫌いにかかわる扁桃体ともつながっています。
なので、美味しいものを食べられると「期待」したり、以前食べたものを思い出したりするだけでも、ドーパミンが分泌。
そのときの快楽をまた味わいたいがために、“もっと、もっと”と欲するようになるんです。
ドーパミンの分泌異常によっておこる弊害
ドーパミンは前頭前野を興奮させ、意欲的にさせる物質なので、大量に分泌されると過剰な興奮がおこります。
その結果以下のような症状が起きると考えられています。
- 興奮状態になり、時には攻撃的になる
- アルコールやタバコの依存症や過食など、ある種の行動がやめられなくなる
- 幻覚や幻聴がおきたり、妄想を抱いたりする(統合失調症)
「依存症」は決して心の弱さや自制心が原因ではなく、脳内物質の異常からくる病気なんですね。
依存症のひとがその対象を絶たれると、不安やイライラなどの不快な気分(禁断症状・離脱症状)がおこります。
一方、ドーパミンが不足すると、例えば次のような症状をもたらします。
- 興味や関心、好奇心がなくなる
- やる気が出ない、無気力状態
- うつ病
- パーキンソン病
パーキンソン病は中脳黒質でドーパミンが不足することによって、神経伝達がうまくいかなくなる病気。体の動きが硬直したり、つまづきやすくなったりします。
パーキンソン病の薬物療法では、ドーパミンを増やしたり、ドーパミンの働きが持続したりするように働きかけます。
ドーパミンは過剰になっても、不足しても、ひとの心と体にとって弊害がおきます。
脳科学者 中野信子先生の著書は、仕事や恋愛、人間関係に活かせる脳のしくみをわかりやすく学べるので超オススメです。
ぜひチェックしてみてください↓
誰でも身近にある「依存」
“ダイエットしたいと思っているのに、また甘いものを食べてしまった”
“禁煙したいのに、また吸ってしまった”
など、特定のものや行動をやめられなくなる「依存」にも、ドーパミンの報酬系が関わっています。
依存がおきる対象には、次の3つがあります。
- 物質(ニコチン、アルコール、薬物、食べものなど)への依存
- プロセス(ギャンブル、インターネット、セックス、買い物、仕事など)への依存
- 人間関係(恋愛、カルト、DV、虐待など)への依存
これらはいずれもドーパミンの分泌が高まるものばかり。
近ごろ増えている、SNSでの反応やメールの返事が気になってケータイを手放せなくなる状態も依存のひとつです。
どうして、やめられなくなるのか?
脳には、「期待の快感」というものがあります。
これが依存をおこす原因。
「期待の快感」とは、一度快楽を経験すると、“またあの気持ちよさを味わいたい!”と思って、その対象を求める傾向が強くなっていくこと。
一度体験した「快楽の記憶」が、海馬に蓄えられているんですね。
“あのお店で食べたお肉がすっごく美味しかった!また食べたい!”ってなりますよね。
快楽の記憶があるので、次に同じような気持ちよさを期待できる状況になると、スピーディにドーパミンの放出が起こります。
さらに前回よりも、もっと多くの量を求めるようになるんです。
依存してしまうひとの特徴
脳にはちゃんとドーパミンによる脳の興奮とバランスをとるしくみも備わっています。
それが、「セロトニン」などの興奮を静める神経伝達物質の働き。
しかし依存におちいるひとの脳内では、これら神経伝達物質のバランスが崩れています。
とくに「ストレス」や「不規則な生活」によってセロトニンが減ると、ドーパミン分泌による快楽を求める衝動に流されやすくなります。
ぼくも経験あります。
仕事で失敗したり、ひとにイヤなこと言われたり、睡眠不足だったりした日には、買いものや食べることが進みますもんね。
また、ストレス食いや過食・拒食といった食行動に問題を抱えているひとの大きな特徴として「自分に満足していないこと」があるといいます(『無理なくやせる“脳科学ダイエット”』より)。
「満たされなさ」や空虚感を食べることで解決しようとしますが、それは一時の気休めに過ぎません。
自分が感じている空虚感のルーツを知って、正しく自分を満たす方法を身につけるのが大事ですね。
スイーツとラーメンをやめられない理由
焼き肉をお腹いっぱい食べた後でも、〆にスイーツやラーメンを食べられちゃいますよね。
実は、スイーツの「甘み」やラーメンにたくさん含まれている「糖質」は、薬物依存と同じように働きます。
ラットをもちいた研究では、コカインよりも「甘み」や「糖質」のほうが脳の報酬系を刺激する効果が強いことがわかっています。
つまり、甘みや糖質はコカインよりも中毒性がある(依存しやすい)ということ。
甘味に対する「味覚受容体」は砂糖が希少だった時代に進化したため、つよい甘味物質に対して適応できません。
現代社会では砂糖や精製された糖質が豊富に含まれる食べものにあふれています。
砂糖や糖質をたくさん含む食べものを口にすると、脳にとって過剰な報酬シグナルとなり、自制のメカニズムを超えて中毒になってしまうのです。
また糖質が分解されてつくられる「グルコース」は脳や神経の主なエネルギー源。
糖質をとって血糖が上がることは脳にとっては快感なんです。
そのため、ますます報酬系を活性化させるように、糖質をたくさん含む食べものを欲するようになります。(ドクターからの健康アドバイス「糖質と甘味は中毒になる」より)
「マインドフルネス」で衝動に流されない脳をつくる
快楽を求める行動は、厳しい環境を生きぬくのに必要だったとはいえ、現代社会では病気になったり、社会生活に適応できなくなったりしてしまいます。
ドーパミンによる快楽とうまく付きあい、幸せに生きるにはどうすればよいのか?
欲求を無理やり抑えつけるのでなく、“うまく乗りこなせる”状態を目指しましょう。
“もっと、もっと”と欲しがる「快楽中枢の暴走」を鎮めるのに効果的な方法として、「マインドフルネス」が薦められています。
マインドフルネスとは、
意識して、「今、ここ」に注意を向けること
メンタリストDaiGo PHP研究所 2020年08月24日頃
マインドフルネスは「瞑想」とセットで語られることが多いですが、もっと単純に「今していること、考えていること」に集中するだけでOK。
その主旨はこちらのツイート↓
https://twitter.com/ThanksDailylife/status/1303473284839698432?s=20
日中にあったイヤなことを思い出したり、先のことを心配したりするのは、ものすごいストレス。
そのストレスからてっとり早く逃れるために、食べることや買いものに走ってしまうんです。
ここでは、衝動的に食べたりや買いものしたりしそうなときに行うと効果的な3つの方法をご紹介します。
もちろん、ふだんから意識して行うことで、脳が変わっていくことも実証されています。
脳には、習慣によってその働きが変わる「可塑性(かそせい)」という性質があります。
“衝動に流されない”、“衝動をうまく受け入れられる”脳をつくることができるんです!
深呼吸する
「呼吸」は、無意識と意識をつなぐ貴重な働きをしています。
ふだん何気なくやっている呼吸に注意を向けることで、欲求の衝動が静まっていきます。
マインドフルネスをとり入れた呼吸の手順はこちら↓
- 力みのないリラックスした姿勢をとる。目はつむるか、うす目を開ける。
- 呼吸の一つひとつに注意を向ける(息を「吸った」「吐いた」と意識する)。
- しばらくすると、つい別の考えが浮かんできて注意が散漫になる。
- 自分の注意がそれたことに気づく。
- 再び、呼吸に注意を戻す。
この呼吸時間をあたまの中で、「いち」「に」「さん」と数えましょう。
回数は、「息を吸って、息をはく」セットを20回。
しばらくすると別な考えが浮かんでくるでしょう。
そのときは、“自分はいま別なことを考えていたな”と気づいて、もう一度呼吸を数えることに注意を戻せば大丈夫です。
注意が逸れたことに“気づいて”、もう一度呼吸に“注意を戻す”のがポイント。
呼吸法に取り組むことで、集中や記憶、意志決定など認知能力を司る脳の「前頭前皮質」が活性化されます。
つまりストレスを解消できるのはもちろん、賢明な判断をできる「自制心」が鍛えられるのです。
久賀谷亮 ダイヤモンド社 2016年07月29日頃
歩行瞑想
呼吸法のようにじっとしておくのが苦手な方でも簡単に始められるのが、「歩行瞑想」です。
その名の通り、歩くことに全力で集中するというもの。
歩行瞑想も、通常の瞑想と比べて遜色ない効果があるとみとめられています。
右足から歩きだすとしたら、“右足が離れた、右足がついた、左足が離れた、左足がついた…”という一歩一歩の動きに注意を向けましょう。
両足とも「地面から離れる、前に出る、下がる、地面につく」という4つの感覚に集中。
最初はゆっくりでいいので、しっかりと足の裏を感じてください。
5分くらいからはじめて、20分くらいできるようになるのを目指します。
“ムシャクシャする”と思って食べものに手を伸ばしそうになったときは、とりあえず外に出て、歩いてみましょう。
とりあえずその場で足ぶみ、段差を上り下りするだけでもOK!
昇って降りるだけで簡単にシェイプアップできる踏台昇降ボックス「フミッパー」
食べる前に30秒待つ
ストレス食いのような“惰性”で食べるのを止めるには、食べる前に30秒待つようにしましょう。
「何を食べようとしているのか」をちゃんと意識する“儀式”。
衝動で食べすぎてしまうのを防ぐ効果的な方法が、「食前セレモニー」です。
その手順がこちら↓
- 食べものを観察し、その「由来」を想像する(30秒かける)
- 今どれくらい空腹なのか、10段階の数字で表す(空腹度バロメーター)
- 食べものをじっと見たり、香りをかいだりする。そのときの体の反応をたしかめる(お腹がぐるぐるする、唾液があふれるなど)
- 「なぜ食べたいのか」に思いをめぐらせる
本来、食事は楽しいものです。
ただ空腹を満たしたり、ストレスを発散したりするものではありません。
食前セレモニーで「間」をとることで、衝動に流されるのを防ぎます。
そして、この食事を味わうことそのものに強い関心を持てるようになります。
いざ食べるときには、ひと口をよく噛んで、ゆっくりと味わうようにしてくださいね。
むすびに
いかがでしょうか。
ぼくたちの脳は、ちょっと油断するとドーパミンによる「快楽」を求めるほうに流されてしまいます。
しかし実生活で健康に、そして幸せに生きるためには、ドーパミンに“支配“されてはいけません。
ドーパミンに支配される−衝動に流される−のは、過去を悔やんだり、未来を心配したりするとき。
ぜひ、「今、ここ」に集中するマインドフルネスを日常にとり入れましょう。
幸せは、今この瞬間にしか感じることはできないのですから。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あなたの日常が健康でストレスフリーなものであるよう願っています🍀
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