こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
新型ウイルスの感染症が世界で猛威をふるうなか、「免疫」の注目が高まっています。
ですが、そもそも「免疫」がどんな仕組みでできていて、どんな役割を担っているのか詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
実は「免疫」は、感染症だけでなく、近年増加傾向にある「アレルギー」とも関係しています。
さらに免疫について知ったところで、免疫力を高めて健康に過ごすには、どうすればよいのか?
- 自分や家族の感染予防に気をつけたい
- 仕事があるので、絶対に休めない
- 大人になってから花粉症や食べ物のアレルギーが出るようになった
- 子どものアレルギー症状を和らげたい
- 薬を使わずに、元気に過ごしたい
そういった方にお読みいただきたい内容です。
僕自身もそうでした。
大学進学で一人暮らしをするようになってから、社会人5年目くらいまでは、年に2,3回カゼや体調不良で倒れていたんです。
でも自分が仕事を休むと、職場の同僚や患者さんに迷惑をかけてしまします。
これはなんとかしなければと思って、食事のことを徹底的に勉強。
腸内環境を意識した食事を実践するようになってからは、一切カゼをひくことはなくなりました。
免疫についてちゃんと知っておけば、外敵を過度に恐れる必要はなく、健康を保つための正しい対策をとることができます。
今回は「免疫」の仕組みを理解し、食事から免疫力を高めるポイントをご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、あなたや大事な家族の健康管理にお役立てください。
免疫の役割と仕組み
まず、「免疫」は次のように定義されます🔽
体内に病原菌や毒素その他の異物が侵入しても、それに抵抗して打ちかつ能力。
また、異物と反応する抗体を作って発病をおさえる抵抗力を持つこと。(Oxford languageより)
もっというと、自己(=生まれながらにして体内にあるもの)と非自己(=外から体のなかへ侵入してきたウイルスや細菌などの異物)とを区別して、有害なものを除去する仕組みです。
体に有害なものを除去しきれなければ、それが病気(感染症)として発症します。
がん細胞も、日々私たちの体内で5千個が生み出されているといいます。
しかし通常は、免疫の働きによりがん細胞を除去しているため、発症せずにすんでいるのです。
免疫の働きによって、環境が変わっても、体内はある一定の健やかな状態(=生体恒常性)を維持できているのです。
その一方で、免疫が過剰に働いてしまう、“免疫が暴走する”事態がおきてします場合があります。
それが自己免疫疾患やアレルギー。
これらは、自分自身までも敵と見誤って攻撃してしまうのです。
つまり免疫の働きは、弱すぎず強すぎず、ちょうどバランスが保たれている状態が理想です。
このように体内の恒常性を維持するのに重要な、免疫の役割を担っているのが、「免疫細胞」があります。
「腸」こそ、免疫細胞の宝庫!
体全体の免疫細胞のうち7割が「腸内」に存在します。
免疫細胞は腸にあるヒダの内部や裏側に存在し、いわば“免疫の壁”。
腸内では、「免疫細胞」と「腸内細菌」が協力しながら免疫力を発揮しています。
腸内細菌は500種類以上、100兆個以上も棲息していて、免疫細胞を活性化する貴重な存在。
腸内細菌はひとへの影響の違いによって、善玉菌・悪玉菌・日和見菌に分類されます。
それら腸内細菌が入り混じった集団が「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」。
さまざまな腸内細菌が群生している様子はまるでお花畑のように見えることから、「腸内フローラ」とも呼ばれます。
そのため腸内環境の善し悪しは、腸内フローラの状況(腸内細菌の分布)によって決まります。
腸内細菌叢のバランスがとれていれば、最適な免疫が発揮されます。
一方で、悪玉菌が優勢になると免疫力が落ち、体調不良や病気になりやすくなります。
腸内環境を整えるのに1番効果的なのは「食事」です。
腸内環境は私たちの日頃の食習慣の賜物です。
医学博士のヴィクター・ロッシーニ氏も、次のように述べています。
間違った食べ方をしていたら、どんな医者であろうと病気を治せない。
しかし、正しく食べていたら医者はいらない。
ぜひ日頃から口にしているものに注意して、免疫力アップにお役立てください。
次に、免疫力を高める食事のポイントをご紹介します。
免疫力を高める食事のポイント〜いつ、何を、どうやって食べるか〜
免疫力アップの食事法として、実践のポイントを次の3つの観点からご説明していきます。
- いつ食べるか?
- 何を食べるか?
- どのように食べるか?
「食事法」と聞くと、食材や栄養素が注目されがちですが、実は食べるタイミングや食べ方も重要。
日本初の「便秘外来」で有名な腸の専門家、小林弘幸先生も「いつ食べるかが1番重要」だと述べています。
ぜひ最後まで目を通していただき、その概要をご理解いただけたら嬉しいです。
1。いつ食べるか?
“朝日とともに目が覚めて、日が沈むと眠りにつく”のように、ひとの体は「リズム(体内時計)」で動いています。
これは吸収、消化に関わる「腸」も同じ。
なので、「食べるのに適した時間帯」もあれば、「腸を休ませるべき時間帯」 も決まっています。
その時間帯を外れてばかりいると、腸にストレスをかけることになり、腸内環境を悪化させてしまいます。
一日の中で、腸の働きを示したのがこちら↓
「食べるのに適した時間帯」とは、腸の消化機能が高まる時間帯(12時〜20時)のこと。
メインの食事はこの時間帯に済ませ、それ以外の時間帯では腸を休ませることができます。
腸の体内時計に沿った食事をとることで、食べ物の消化と吸収、排泄がスムースに行われ、腸内環境が良好に保たれます。
反対に、夜遅くに暴飲暴食するなど不規則な食事は腸内環境を悪化させるので要注意。
🔽腸内環境を整える食事法を学ぶバイブル、『フィット・フォー・ライフ』🔽
2。何を食べるか
まずは腸内環境を整えるのに重要な「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」、「シンバイオティクス」をご紹介します。
それに続いて、ふだんの食事で積極的に摂りたい栄養素をピックアップします。
「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」、「シンバイオティクス」
プロバイオティクス
「プロバイオティクス」は、「生きた細菌類」を取り込んで、腸内細菌叢のバランスを整えようとする方法。
腸内に乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を増やします。
生きた細菌類を含むヨーグルトや乳酸菌飲料を飲む方法があります。
プレバイオティクス
「プレバイオティクス」は、「善玉菌のエサになる物質」を取り込んで、腸内細菌を活性化させようとする方法。
善玉菌のエサになる物質には食物繊維やオリゴ糖や糖アルコールなどがあります。
これらを豊富に取り込んで、善玉菌を増やしていきます。
シンバイオティクス
「シンバイオティクス」は、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせて実施する方法。
両者を組み合わせることで、腸内環境を整える効果が高まります。
食物繊維をとる
食物繊維は腸内細菌のエサとなって、免疫の働きを活性化。
また腸のぜんどう運動を活発にして便通を促すので、腸内環境が良好に保たれます。
便秘解消にも◎
しかし近年の日本人の食物繊維摂取量は、すべての年代で摂取目標量を満たしていません。
免疫力を高めるためにも、食物繊維を多く含む豆類やキノコ類、海藻類、野菜や果物などを積極的に食べたいですね。
タンパク質をとる
たんぱく質は免疫細胞の主要な成分。たんぱく質が不足すると免疫細胞が減少し、抵抗力の低下につながります。
タンパク質を摂るときには、食品が偏らないように魚、肉、卵、大豆・大豆製品などをバランスよく食べるようにしましょう。
ビタミンやミネラルをとる
ミネラルやビタミンは、体のさまざまな生理機能が正常に働くのを助けたり、鼻やのどの粘膜を守る働きがあります。
またビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどは、細胞を傷付ける「活性酸素」の働きを抑え、免疫細胞を守る働きがあります。
発酵食品をとる
ヨーグルト、キムチ、みそ、納豆などの発酵食品は、生きた細菌類が豊富に含まれます。
腸内の善玉菌を効率的に増やし、腸内環境を良好に保つのに効果的です。
食べるのを控えたい食材
反対に、動物性食品や添加物を多く含む食品、精製加工された食品などを摂りすぎると腸内環境を悪化させるので注意しましょう。
超オススメは、“伝統的な日本食”
腸内環境を整え、免疫力を高めるために、いま見直すべきなのが“伝統的な日本食”です。
伝統的な日本食は野菜やいも類、海藻類など食物繊維が豊富で、腸内環境を整えるのに最高。
さらに、漬け物や納豆、味噌などの発酵食品は、「生きた細菌類」が豊富に含まれます。
3。どのように食べるか
「食べ方」によっても腸内環境、ひいては免疫力が影響を受けます。
免疫力を高める「食べ方」のポイントは次の3つ。
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 楽しく食べる
- 腹八分にとどめる
一つずつご説明します。
「よく噛む」ことから「消化」は始まっています。
しかし「早食い」だと、食べたものがほとんど“塊”のまま腸内に届けられるので、胃腸の消化機能にものすごい負担を強いることになります。
また食事による満足感を得られなくて、食べすぎ飲みすぎにつながります。
いずれも胃腸の働きに無理をかけて、腸内環境が悪化する原因となります。
“一口30回噛む”くらいのつもりで、ゆっくりと味わって食べましょう。
腸内環境にとっての大敵は、「ストレス」です。
なのでイライラしたり、せかせかしたり、考え事をしたりしながら食べるのは、胃腸の働きを弱めてしまいます。
せっかくのお食事ですから、家族や気のおけない人と、楽しい雰囲気で召し上がっていただきたい!
しかも「笑顔」になるだけで、NK細胞の働きが活性化して免疫力アップするという嬉しい効果もあります。
以上、免疫力を高める食事法のポイントをあげました。
ただお忙しい毎日のなかで、毎食毎食完璧するのは難しいですよね。
お買い物にでるのも、人との接触が気になります。
個人宅配などのサービスを活用して、無理なく免疫アップしましょう!
腸内細菌の異常によって、“免疫細胞の暴走”がおきる場合も
ここまで、侵入してきた病原菌や毒素に抵抗して打ちかつ能力としての免疫についてご説明しました。
しかし一方で、“免疫細胞の暴走”が起こってしまう場合があります。
“免疫細胞の暴走”とは、本来無害であるはずの物質や、自分自身の細胞までも異物とみなし、攻撃してしまうのです。
その結果、体に現れる症状がアレルギーや、自分の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患。
実は現代人で、“免疫細胞の暴走”が急増。
たしかに子ども、大人に関わらず花粉症や食物アレルギーをよく耳にするようになっていますね。
その背景に腸内環境や食生活の変化が影響しています。
*参考:NHKスペシャル「人体」 万病撃退!“腸”が免疫の鍵だった
自己免疫疾患患者にみられた腸内細菌の異常
アレルギーや自己免疫疾患を発症する人で、腸内細菌の異常がおきている場合が少なくありません。
NHKの取材、研究によると免疫異常が原因の患者に共通して、ある腸内細菌の種類が激減していたとのこと。
それが、「クロストリジウム菌」です。
本来、体には暴走した免疫細胞を抑える存在として、「制御性T細胞」(通称、Tレグ)があります。
このTレグは、クロストリジウム菌によって作られます。
しかしクロストリジウム菌が減少した人の腸内では、Tレグが十分に作られず、免疫細胞の暴走を抑えきらなくなってしまうのです。
では、免疫細胞をコントロールすべく、クロストリジウム菌を増やすためにはどうすればよいのでしょうか?
ここでも、大事なポイントは「食事」です。
食物繊維を摂って腸内細菌を増やす
クロストリジウム菌などの腸内細菌のエサとなるのが、「食物繊維」。
その機序はこちら🔽
- クロストリジウム菌は食物繊維をエサとして取り入れ、「酪酸(らくさん)」という短鎖脂肪酸の一種を放出する
- 放出された酪酸は、腸壁を通り抜けて免疫細胞に受け渡される
- 酪酸を受け取った免疫細胞は、Tレグへと変化し、免疫を適正にコントロールする
そもそも日本人は海外の人と比べて、酪酸などの免疫をコントロールする物質の放出能力が高い。
それは日本人が伝統的に食べてきた食事が野菜や海藻類、豆類など食物繊維を豊富に含んでいたからでしょう。
現代を生きるぼくたちも、この恩恵に預かりましょう。
近頃、腸内環境を整える“スーパー食材”として「もち麦」が注目されています。
もち麦は大麦の一種で、「大麦β-グルカン」という食物繊維を豊富に含んでいるから。
大麦β-グルカンは水に溶けやすい特性をもつ水溶性食物繊維で、腸内環境を整える他、糖質の吸収を抑える、コレステロールの排出を助けるなど、たくさんの体に嬉しい働きがあります。
ぜひ一度お試しください↓
まとめ
いかがだったでしょうか。
体内に侵入してきた病原菌や毒素から体を守る仕組み「免疫」。
一方で、現代人には免疫細胞が“暴走”したアレルギーや自己免疫疾患が増えています。
それらの解決のカギは「腸内環境」にあります。
今回は腸内環境から免疫機能を整える食事法についてご紹介しました。
- 腸の体内時計(リズム)に合わせて食べる
- 腸内環境を整える食材、栄養素を積極的にとる(とくに食物繊維)
- 楽しい雰囲気で、ゆっくり食べる
ぜひふだんの食生活に取り入れていただき、元気な毎日をお過ごしください🍀
◆参考図書をご紹介しておくので、もっと詳しく知りたい方はぜひ手にとってみてください!