「どうして自分はまわりの人みたいに、積極的に発言したり、人と関わったり活発に動けないのだろう?」
- 引っ込み思案だといわれる
- 考えすぎて、すぐに動きだせない
- 人づきあいに疲れやすい
本記事では、そういった内向的な性格に悩みをもつ人が、自分のことを理解し、受け入れる。
そしてありのままの自分を良いかたちで活かせるようになるヒントをお届けします。
こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
脳神経科学や心理学の研究によって、人の性格の約50%は遺伝的に決まることがわかっています。
内向型の人は生まれつきの「資質」として、遺伝子のつくりや、脳や神経のはたらきが違います。
そうした遺伝子や脳・神経の資質が、内向型の人がとりやすい考えや行動を特徴づけています。
自分の性格がどこから来ているのかを理解することで、「だから、雑談が苦手なのか!」「どうりで、一人でいるのが好きなんだ!」と納得。
自分を受け入れ、心から安心して仕事や生活、人づきあいをしていくことができますよ。
では、内向型が生まれつき持っている6つの遺伝子や脳・神経の違いをみていきましょう。
【内向型の資質1】遺伝子が違う
まず内向型の人と外向型の人とでは、遺伝子レベルからして違います。
「遺伝子」とは、体のあらゆる細胞や臓器のつくりを決める“設計図”であり、親から子へと代々受け継がれていきます。
どんな遺伝子を持つかによって、体の特徴(背が高い、低いなど)だけでなく、性格や行動にも違いが現れます。
とくに内向型/外向型の性格に影響を与える遺伝子として、「D4DR」 が注目されています。
D4DR遺伝子は別名「新奇性追求遺伝子」ともいわれ、人に好奇心を高めさせ、新しい刺激を求めさせます。
アメリカの国立がん研究所、遺伝子構造・調節主任ディーン・ヘイマー氏の研究により、
- 刺激を求める人:D4DR遺伝子が長い(これは外向型の人の特徴にあてはまる)
- あまり刺激を求めない人:D4DR遺伝子が短い(これは内向型の人の特徴にあてはまる)
ことがわかっています。
決して内向型は欲がうすい、情熱がないというわけではありません。
ただ求め方が違うのです。
ヘイマー氏は著書『遺伝子があなたをそうさせる−喫煙からダイエットまで』のなかで、以下のように述べています。
新奇性追求度の高い人も低い人も、快感を得たいという点ではなんら変わらない。
だれしも気持ちのいいことは好きなのだ。
しかし両者は、何によって快感を覚えるのかという点で異なっている。
スコアの高い人の脳は、快感を得るために興奮を必要とする。
それと同レベルの刺激によって、スコアの低い人は不安になる。
先の読める安定した状況は、スコアの高い人には退屈だが、低い人には心地よいのである。
つまり内向型の人は、“ドキドキ”、“ハラハラ”するような体験をせずとも、静かな活動−自分一人や少人数で濃い時間を過ごしたり、あれこれ思索をめぐらせたりする−で十分、「快感(気持ちいい感じ)」を得られているんですね。
【内向型の資質2】ドーパミン感受性が高い
内向型の脳の特徴として、「ドーパミン感受性が高い」ということがあります(*)。
先ほどあげたD4DR遺伝子は「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌に影響を与え、「快楽(気持ちいいこと)」を得るために人を興奮させたり、やる気をみなぎらせたりさせます。
ドーパミンはお金や称賛などの報酬、達成感、音楽、おいしい食べ物、新しいチャレンジ、人づきあいなどの「刺激」によって分泌されます。
感受性とは“影響の受けやすさ”で、「ドーパミンがどのくらいの量で効き目があるか」は、個人によって異なります。
- 感受性の低い外向型は、ドーパミンの効きが弱い→たくさんの量を欲する
- 感受性の高い内向型は、ドーパミンが効きやすい→少量あれば満足できる
感受性が低く、大量のドーパミンを必要とする外向型は、より多くの刺激を求めます。
外に出てたくさんの人と集まったり、次々に新しいことにチャレンジしたりなど、活発に動きまわるわけなのです。
一方、感受性が高く、少量のドーパミンで満足できる内向型は、あまり多くの刺激を外に求めなくてもよいのです。
まわりから見れば、「おとなしい」「消極的だ」と思われるのでしょう。
内向型は「刺激に弱い」ということも言われますが、それはたくさんの刺激を受けて、ドーパミンが増えすぎると不安やイライラ、疲労感などが強まってしまうため。
私たちは自分にとって「最適な刺激」があるときに、一番自分らしく振る舞え、ベストパフォーマンスを発揮することができます。
多くの心理学研究も「刺激に対してどう反応するか」が、内向型と外向型の大きな違いの一つだと明らかにしています(*)。
あなたが1番あなたらしく振る舞える、“いい加減”の刺激になるよう、自ずと行動が調節されているのですね。
【内向型の資質3】脳内の血流量が多い
内向型の人の脳の特徴として、「脳内で流れる血流量が外向型の人より多い」、「血液が流れる脳の領域が異なる」ことがあげられます。
これはアイオワ大学のデブラ・ジョンソン博士らの研究で、脳の血流を高解像度で観察できる陽電子放出断層撮影法(PET)を使って明らかにされました(*、*)
脳内の血流量が多いということは、その部分の細胞や神経のはたらきがより活発になっているということ。
ですので内向型は思考や感情といった知的・精神的活動が盛んで、よく物思いにふけり空想や想像をめぐらせています。
また外からの情報を深く処理しているので、感受性が高いといえます。
過去の楽しいことも、悲しいことも鮮明に思い出したり、何度もかみしめて味わっているのです。
脳内で血液が流れる領域の違いについては、
- 外向型:視覚や聴覚、触覚、味覚が処理される部位(前帯状回や側頭葉、視床後部、運動野)に血流が多い
…自分の外の世界へ注意が向けられ、さまざまな感覚情報を処理しているということです。 - 内向型:記憶する、問題を解決する、計画を立てる、言語を駆使するといった領域(前頭葉や海馬、視床前部、ブローカ野)に血流が多い
…自身の内側の思考や感情により多くのエネルギーを注いでいる
【内向型の資質4】脳内の情報伝達のルートが違う
また脳内でさまざまな情報を伝達するルート(神経回路)にも違いがあります。
内向型の人の神経回路は外向型の人よりも長く、複雑です。
情報伝達のルートの違いによって、現れる行動が異なります。
神経回路の短い外向型は、
- 感じたことをすぐに言葉にする
- 決断し、行動にうつす時間が速い
- 感情が表に出やすい
といった特徴があります。
一方で、神経回路の長い内向型は、
- じっくり考えてから話す
- 決断し、動き出すまでに時間がかかる
- 感情が表に出にくい
といった特徴があります。
例えば、内向型のあなたは、何気なく「最近、調子どう?」と聞かれて、答えに詰まることがありませんか?
内向型の人は口に出す前にいろいろと考えをめぐらせます。
“仕事、生活…どのことを聞かれているのかな?”とか、“自分は最近、何したっけな?”、“相手はどんな答えを期待しているのかな?”など
状況を把握したり、対応策を考えたりして、脳内で深く情報を処理しているので反応に時間がかかるわけですね。
【内向型の資質5】自律神経のタイプが違う;「副交感神経」のはたらきが優位
内向型の脳がもつ3つ目の特徴は、「副交感神経のはたらきが優位」だということ(*)。
「副交感神経」は、血液の流れや内臓のはたらき、代謝、体温調節など、体の生理システムを24時間調節している「自律神経系」の一つ。
副交感神経が優位にはたらくと、消化や吸収、排泄、タンパク合成など内臓のはたらきが活発になり、心身がリラックスして、エネルギーが回復します。
一方で、自律神経系のもうひとつ「交感神経」は、やる気を高め、体を興奮状態にします。
瞳孔が開き、心拍数や血圧が上昇。筋肉の緊張が高まり、いつでも“戦うか、逃げるか”できる状態が整います。
私たちはふだんから無意識のうちに、「交感神経」と「副交感神経」を使い分けて生活しています。
そしてどちらが優位にはたらくかは個人によって異なり、内向型は副交感神経が優位に、外向型は交感神経が優位にはたらきやすいのです。
とくにピンチの場面や緊急時には、優位なほうがより活発になり、どんな対応をとるかを決定づけます。
緊急時にとる内向型と外向型の行動の違いを、内向型プロデューサーのカミノユウキさんが著書『内向型人間だからうまくいく』のなかでわかりやすく描写してくれているので、引用させていただきます。
「火事だ」という声が聞こえたとしましょう。焦げ臭いにおいがし、あたりに煙が立ち込めてきました。生命の危機です。
こんなとき、外交型人間の内部では交感神経がオンになりますから、「闘争か逃走か」の反応を示します。
消火器を持って火元に向かうか、あるいは一目散に逃げ出すかわかりませんが、ともかく心身はフルスロットルの状態になります。
しかし内向型人間は逆に副交感神経をオンにしますから、極端に冷静になるはずです。
もし火事に出くわしたら、火元を探したり、通報したりと落ち着き払った行動をとるでしょう。
私も身に覚えがあります。
専門職の集まる学会などで、大勢の人の前でのスピーチ。毎回、登壇する直前までは、食事がのどを通らないほど緊張しています。
ですが、いざ本番になるとスーッと全身の熱がひいていくように、極端に冷静になり、やり遂げることができるんです。
自分でも不思議だなと思っていたのですが、この説を聞いてからは納得できました。
【内向型の資質6】メインで使われる脳内物質が違う:アセチルコリン
その人がとりやすい考えや行動のくせは、脳内の神経伝達物質(神経細胞同士の連絡に使われるホルモン)の違いによって特徴づけられます。
脳内物質は約20種類あるといわれ、どの脳内物質がはたらくかによって、中枢神経のどの部分が「スイッチオン」になるかが左右されます。
中枢神経の活性化が、外界に対する人の反応(振る舞い)を決定づけます。
内向型と外向型では、脳内で細胞同士の連絡に主に使われる物質が異なります。
- 内向型:アセチルコリン
…考える、感じる、覚える、静かな集中などで活性化。副交感神経と関連して、内臓のはたらきを活発にする。 - 外向型:アドレナリン、ドーパミン
…活発に動く、人と話す、新しい刺激を得るなどで活性化。交感神経と関連して、心拍数や血圧が上昇し、体を興奮させる。
「資質」を活かすことで内向型は楽に生きられる
ここまであげた6つの資質によって、内向型の人にみられやすい特性として以下のようなものがあります。
- 思考が遅いのではなく、考えることが多い
- マルチタスク(複数の作業を同時進行する)が苦手だが、1つのことに集中できる
- エネルギーが減りやすい
- 1人で物思いにふけるのが好き
- 喜びも悲しみも反復して、長続きする
- 自分の興時味がないことにはやる気が出ない
- 何気ない雑談が苦手
- いつも冷静、おとなしく見られる
- 相手を理解する能力が高い
- 1人でいることでエネルギーが回復する
こうした特徴は生まれ持ったものなので、内向型の人が「考えるより、まず動こう」とか「活発にしゃべろう」とするのは土台、無理な話だとわかりますね。
内向型を打ち消したり、克服したりしようとするのではなく、“すでにある「資質」をどう活かそうか”と考えていきましょう。
有るものをうまく活かすことが、自分らしい働き方、生き方を切り拓いていくカギです。
泉谷かんじ先生は著書『「うつ」の効用 生まれ直しの哲学』のなかで、このように述べています。
人は先天的な「資質」を変えることができませんし、変える必要もありません。
「資質」自体は素材なのであって、素材が悪さをすることはないのです。
問題となるのは常に、後天的な歴史による「変形」なのです。
短所と長所は同じ資質が異なった現れ方をしたものに過ぎません。
「資質」のプロフィールは人の数だけさまざまあるのですが、中でも突出して持っている性質を良い形で発揮できれば「長所」となり、誤ってマイナスの評価を下してぞんざいに扱えば「短所」になります。
内向的な性格を“良い形で発揮”するためには、自分が大事にしている価値観を明確にするのが大事です。
「ここは譲れない」という価値観があることで、まわりの声や風潮に惑わされることなく、「私は、私」「これが私の進む道」だと安心と自信をもって生きやすくなります。
\内内向的な人が自信をもって生きられるようになる「価値観のみつけ方」はこちらの記事をご参考ください!/
むすびに
いかがでしょうか。
今回は、“どうして自分はまわりの人みたいに、積極的に発言したり、人と関わったり活発に動けないのだろう?”と悩む内向型の人へ、内向的な性格をつくる6つの資質(生まれ持った性質)をまとめました。
おさらいすると、内向型がもつ資質は以下の6つの特徴があります。
- 遺伝子が違う
- ドーパミン感受性が高い
- 脳内の血流量が多い
- 情報伝達のルートが違う
- 脳内で使われる神経伝達物質が違う:アセチルコリン
- 自律神経のタイプが違う:副交感神経が優位
こうした遺伝子や脳・神経の違いによって内向型の人は、1人で思索にふけるのを好む、いつも落ち着いている、相手に共感しやすいなどの特性があるのですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本記事があなたが「本当の自分」と出会い、その才能や価値を活かして輝く一助となればうれしいです。
そのほかご質問や気になることがあれば、こちらのLINEからお気軽にご連絡ください。
内向型をよく理解する【参考書籍】
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