こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために「マスク」の着用が続けられています。
そのため運動時にもマスクをつけている方が多いです。
しかし夏場にマスクを着用して運動するのは、健康上さまざまなリスクを抱えています。
実際に運動したことがある方は、その息苦しさや灼熱感に覚えがあると思います。
今回は、マスクを着用して運動するときのリスクと注意点や、感染防止からみた意義についてまとめました。
運動そのものは、体力アップやストレス解消、免疫機能の改善、認知機能改善に効果的です。
感染拡大防止とのバランスをとりながら、安全で効率的に運動を続けていきましょう。
運動・スポーツ時にオススメのマスクもご紹介します。
マスクを着用して運動する3つのリスク
通常運動したときと比べて、マスクを着用して運動したときの生理的変化として、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、顔面皮膚温が有意に上昇することが研究で明らかにされています。
それによって予測される健康被害には、以下のようなものがあります。
熱中症
ただでさえ今夏の気温は、平年並みかそれ以上になると気象庁から発表されています。
すると当然、熱中症のリスクに備えておく必要があります。
とくに体温調節の苦手な高齢者や乳幼児、基礎疾患をもつ方は要注意。
熱のこもりやすい屋内での熱中症発生も頻繁におきています。
本来、ひとの体には体温調節機能が備わっています。
暑熱環境や運動によって体温が上がると、汗をかいたり、呼吸数を増やしたりして体内の熱を放散。
深部体温が過度に上昇するのを防ぎます。
しかし、マスクを着用していると、口からはき出された温められた空気を再度吸い込むことになります。
そのため呼吸によるガス交換で身体を冷やすことができません。
さらにマスク着用により呼吸時の空気抵抗が増大。
呼吸障害による熱中症リスクが高まります。
顔の半分ほどが覆われたることで、熱がこもりやすくなります。
実際、マスク内は約1.0℃温度上昇、10%湿度上昇するとのこと。
すると口の渇きを感じにくくなり、水分補給のタイミングを逃してしまいます。
こまめな水分補給は熱中症予防の基本なので、これは危機的です。
低酸素症状
マスクを着用しての運動は「高山病」や「高地トレーニング」でみられるような、低酸素症状のリスクもあります。
鼻と口が覆われていることで体に取り入れられる外気が減少し、はき出した空気を吸うことが多くなります。
はき出された空気には、エネルギー代謝の末に生じた二酸化炭素が多く含まれています。
そもそも運動時には、その強度が高まるにつれて一回換気量と呼吸数がともに増加。
激しい運動では最大で呼吸数60回/分、一回換気量3〜4リットルにもなります。
これは実に平常時の4倍。
にもかかわらず、マスク呼吸ではき出された二酸化炭素を再度吸い込むため、体内に取り込まれる酸素が不足。
めまいや頭痛、注意力・認知機能の低下などの高山病や高地トレーニングに似た症状がおきます。
心臓や血管に大きな負荷がかかる
低酸素状況で強度の強い運動を行おうとすれば、体は限られた酸素をすみずみに送り届けるために、心臓の拍動を強めます。
しかしそれは同時に血圧を高め、心臓や血管にダメージを与えることになります。
とくに高血圧症や心臓に不安を抱える方は要注意。
持病のない方でも、マスクを着用しないときに行っていたのと同じ負荷量はオーバーワークになっている場合が少なくありません。
【参考】https://www.herts.ac.uk/about-us/media-centre/news/2020/why-it-could-be-dangerous-to-exercise-with-a-face-mask-on、www.jaam.jp/info/2020/files/info-2020601.pdf
屋外運動時のマスク着用は推奨されない
日本臨床スポーツ医学会と日本臨床運動療法学会は共同で、“屋外で運動するときにマスクや口鼻を覆うものの着用は推奨しない”とする声明を発表しました(「新型コロナウイルス感染拡大防止期間中における屋外での運動に際しての注意」)。
その理由は、“熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性”があるためであり、海外では死亡例もあるとのこと。
また厚生労働省と環境省でも熱中症予防の観点から、“マスク着用時は体に負荷がかかる作業や運動を避け、屋外で人と2m 以上離れられる時は、運動時に限らずマスクを外す”ことが薦められています。
やはりマスクを着用して激しい強度の運動をするのはハイリスクだと認識しておく必要があるでしょう。
なお共同声明で提案された内容は以下のとおり。
1. 運動は、ストレス・生活習慣病・認知症・要介護等の予防・改善に極めて有効です。 高齢者や有疾患者、障がい者の方も主治医に相談した上で、これまで通り実施してください。
2. 屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません(熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性があり、海外では死亡例もあります)。
3. 新型コロナウイルスはすれ違った程度では感染しないと言われていますが、空いた 場所や時間を選び、少人数(できれば一人)で、信号待ち等も含め2m以上のソーシャルディスタンスを保つようにしてください。
4. ロッカールームや更衣室などは、三密(密閉・密集・密接)になりやすいので特に注意し、使用後のタオルは他人が触れないように気をつけてください(汗からの感染はありませんが、鼻や口も一緒に拭くことでウイルスが付着する危険性があります)。
5. 高強度・長時間の運動後には、一時的に免疫機能が低下することがあり、感染予防に気を配ってください。
6. 国や自治体が屋外での運動を禁止した場合は、それに従ってください。
「新しい生活様式」による健康の二次被害
スポーツ庁の資料によれば、感染症対策による活動制限・運動不足の長期化によって、以下のような生活習慣の変化や体への影響が報告されています。
さらに高齢者ではいまの体調不良にとどまらず、将来の要介護状態へ移行するリスクも高まることに注意が必要です。
- ウイルス感染への不安
- ストレス蓄積
- 体重増加 生活習慣病の発症・悪化
- 体力の低下
- 腰痛・肩こり・疲労
- 体調不良
- 発育・発達不足(子ども)
- 転倒による寝たきり、フレイル、ロコモ(高齢者)
一方で適度な運動によるメリットが以下のように多々あります。
- 自己免疫力の向上:感染に対する抵抗力
- ストレス解消:メンタルヘルスの改善
- 体重コントロール :肥満や生活習慣病の予防・改善
- 体力、筋力の維持・向上
- 血流の促進:腰痛・肩こりの改善、冷え性や便秘の解消、良好な睡眠
- 発育期の健全な成長(子ども)
- 筋量・筋力の維持、転倒防止、認知症予防、食欲増進(高齢者)
このような二次被害と運動のメリットを見比べると、感染拡大防止と身体活動・運動習慣の維持をバランスよく進めていくのが重要だと理解できます。
まとめ:この夏、運動するときの注意と工夫
ここまで夏場にマスクを着用して運動する場合のリスクをみてきました。
ただ運動そのものには体力面・メンタルヘルス・免疫などの生理機能に好ましい影響があります。
それを踏まえて、この夏には次のような工夫をしながら運動するのが薦められます。
- のどが乾いていなくても、こまめに水分補給する
- 人との会話や距離に注意してマスクを外す
- 朝夕の涼しい時間帯や日陰を選んで運動する
- 室内で行う場合は、適切にエアコンで温度調整し、換気を徹底する
- いつもより運動強度を低めにして、時間も短くする
- 休息と睡眠を充分にとって、疲れや体調不良を残さないようにする
オススメの「スポーツマスク」
そうは言っても、フィットネスジムや体育館を利用するときや、人が集まる場所などマスク着用がやむを得ない場合もあると思います。
そんなときは通気性や放熱性に優れたマスクを選んでみましょう。
各社から「スポーツマスク」が販売されているのでご紹介します。
アウトドアなどの屋外などでもつけることができ、フィット感や呼吸のしやすさが特徴です。