こんにちは、大山ふみあき(@ThanksDailylife)です。
連日、感染症拡大のニュースを聞いて、「自分もかかったらどうしよう」「重症になるのかな」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。
ひとの体には本来、体内に侵入してくる病原菌や毒素を排出したり、打ち克って発症させない(重症化させない)しくみー免疫ーが備わっています。
免疫は免疫細胞の働きや自律神経のバランスによって変動。
なので日常から免疫がしっかりと働くように体調を整えておくことが肝心です。
免疫力を高めるには、十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事、適度な運動が効果的。
ですが、さらに免疫力に大きく影響する要因があります。
それが、「ストレス」。
えも言われぬ不安、イライラ、怒りなどの精神的なストレスは免疫力を低下させ、さまざま病気やアレルギーを引きおこします。
ですので健康を保つためには、日々のストレスケアが不可欠。
そこで今回は、免疫力とストレスの関係をご説明し、ストレス解消に効果的な方法をご紹介します。
免疫力に関する正しい知識をもって、日々の生活で習慣にする。
そうすれば、安心して心地よい毎日をお過ごしいただけます。
【解明】ストレスによる乳がん悪化の機序が細胞レベルで判明
“患者がストレスにさらされると乳がんが悪化する”。
2019年、岡山大の神谷厚範教授(細胞生理学)や国立がん研究センターなどの研究により、ストレスと「がん」の関係が細胞レベルで明らかにされました。
神谷教授らの研究結果を要約したものがこちら🔽
- 手術を受けた乳がん患者29人のがん組織を調べたところ、組織内の交感神経の密度が高い人は再発しやすかった。
- マウスにヒトの乳がん組織を移植し、組織内の交感神経を刺激し続けた。60日後、刺激しないマウスと比較すると、がんの面積は2倍近く大きくなり、転移数も多かった。
- 同様のマウスに遺伝子治療で交感神経の活性化を止めると、60日経ってもがんの大きさはほとんど変わらず、転移もなかった。
つまり、不安・恐怖・怒りなどのストレスを抱えていると、「交感神経」の活動が活性化。
交感神経の活性化が乳がんの増大や転移に関係していた。
反対に交感神経の活動を抑えることで、がんの進行も停止したというのです。
次に研究成果からわかる、免疫力を高め健康を保つ重要なポイントを深掘りしていきます。
参考
*2019年7月9日朝日新聞デジタル:ストレス多いと乳がん悪化 細胞レベルで解明、新治療法へ期待 岡山大・国立がんセンターなど
*論文:Kamiya A., Hayama Y., Kato S. et al : Genetic manipulation of autonomic nerve fiber innervation and activity and its effect on breast cancer progression.Nature Neuroscience 08, 2019
ストレスが体に及ぼす影響
ストレスが「交感神経」を活発にする
いわゆる「ストレス」は、心身に影響を及ぼす原因(ストレッサー)に対して、自身の交感神経と副交感神経のバランスが破綻した状態といえます。
心理的なストレスの原因には、緊張や怒り、ねたみそねみ、悲しみ、不安などがあります。
またパソコンやスマートフォンなどの強いブルーライトに長時間さらされていることも、脳を疲労させ、心理的ストレスを増大させます。
今回の研究で注目された「交感神経」は自律神経の一つ。
自律神経は内臓の働きや呼吸、循環、代謝などの機能をコントロールするために、自分の意思とは関係なく24時間働き続けています。
昼間や活動、緊張しているときに活発になる「交感神経」と、夜間や休息、リラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。
交感神経は生命の歴史のなかで、危機に遭遇したとき「戦うか、逃げるか」を判断し、行動する働きを担ってきました。
車でいえば、アクセル。
交感神経の活動が活発になると、次のような変化が体に起こります。
- 心拍数の増加
- 血圧の上昇
- 呼吸数の増加
- 血糖値の上昇
- 瞳孔の散大
- 胃腸の働きの抑制
- 免疫機能の抑制
現代では生命を脅かすような大ピンチと直面することはほとんどありませんが、“日常での小さなストレスの積み重ねによる、交感神経の興奮が長引く”のが問題です。
“寝付きが悪い、ぐっすり寝られない、寝起きが悪い”といった睡眠の悩みは、休息モードになるべき夜間に交感神経の高ぶった状態が続いていることの現れ。
ジワジワと続いたストレスが自律神経のバランスを崩し、心身の健康を損なわせますーうつ病、過労死、自律神経失調症ー。
さらに交感神経とならんで、「副腎髄質」からアドレナリンやノルアドレナリンといった「ストレスホルモン」の分泌が増加。
ストレスホルモンは交感神経とならんで血圧上昇や心臓の活動亢進などに働きます。
なぜ、交感神経と「がん」が関係するのか?
交感神経は全身をめぐるほぼすべての「血管の動き」を調節しています。
交感神経が活性化すると、血管が固く細くなり、血流が停滞。
血流が滞ると、その先の細胞や組織に届けられるはずだった酸素や栄養素が行き渡りません。
その結果、細胞の正常な代謝ができなくなってしまうのです。
実は、がん細胞は正常な細胞と異なり、酸素を使わない代謝活動(=無酸素性代謝)を行っています。
そのため、血流悪化によって正常な細胞の代謝が障害されると、がん細胞の成長によって好都合なわけです。
交感神経の異常が免疫力を低下させる
実は健康な人の体でも、一日に5,000個もの「がん細胞」ができることがわかっています。
がん細胞ができるたびに退治しているのが、「免疫細胞」。
*参考:がん対策推進企業アクションホームページ
免疫細胞である「白血球」の種類には「顆粒球」や「リンパ球」、「マクロファージ」などがあり、リンパ球は免疫担当細胞である「ナチュラルキラー細胞」とも連携しています。
しかし過度なストレスによって交感神経の活発な状態が続くと、免疫細胞(白血球)の働きを弱めてしまうのです。
具体的には、交感神経の活性化によって「顆粒球」の働きが強まり、一方で「リンパ球」の働きが弱まります。
リンパ球(B細胞やT細胞、ナチュラルキラー細胞など)の働きは外部から侵入してきた病原体に対して抗体をつくり、免疫記憶すること。
リンパ球の働きが弱まれば、免疫機能が正常に働かなくなってしまいます。
その結果、「がん細胞の増殖や転移」を許してしまうことに。
ストレスによる免疫力低下を侮るなかれ。
「生活リズムの乱れ」が免疫細胞をくるわせる
顆粒球とリンパ球の働きは、「体内時計」によっても変動しています。
体内時計は「概日リズム、サーカディアンリズム」と呼ばれる、生体組織の一日のリズム。
具体的には、交感神経の活動が高い時間帯(起床〜午前中)には顆粒球の働きが優位になり、副交感神経の活動が高い時間帯(夕方〜夜間)にはリンパ球の働きが優位になります。
しかし“何時に寝て、何時に起きるか”という生活リズムが乱れると、これら免疫細胞の働きもチグハグに。
なので夜勤のお仕事をされる方や、夜ふかしや睡眠不足が続く方は免疫力低下に要注意です。
【まとめ①】ストレスと病気の関係
ストレスが交感神経を過剰に活性化させ、がんの進行につながる機序を深掘りしてきました。
では予防や治療のために、ぼくたちには何ができるでしょうか?
神谷教授は次のように述べています。
不安や怒りなどをうまくコントロールし、交感神経を刺激し過ぎないようにすることで、良い影響を与えられる
新たな治療法も期待されますが、自分の力で病気にならないようにするが一番。
ストレスをコントロールする術を身につけ、不安やイライラ、怒りなどを溜め込まないようにしましょう。
必ず見つかる!あなたにピッタリの「ストレス解消法」
ストレス対策は質より「量」が大事 (2ぺージより)
だというのは、『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド(鈴木 祐、鉄人社)』の著者。
著者は年間5,000本もの科学論文に目を通し、最新の健康科学に関する情報を発信されている「鈴木 祐さん」です。
まず見極めるべき「3大ストレス」
自分にあったストレス解消法を実践するために、まずは「ストレスの種類」を見極める必要があります。
ストレスの性質に応じて、とるべき対策が異なるからです。
ストレスの種類には、次の3つがあります。
今あなたが抱えているストレスがどのタイプに該当するか、照らし合わせてみてください。
ショートストレス
「車にぶつかる!」「仕事の締切が近い!」「あいつ腹が立つ!」などのように、短期的に感じるストレス。
うまく活用すれば、行動へのモチベーションを高める効果もある。
適度なレベルにコントロールしたい。
ループストレス
ショートストレスを何度も繰り返すタイプのストレス。
部屋の汚れ、仕事上のミスなど、根本的な解決を図らなければ、延々とストレスに悩まされることになる。
ロングストレス
「ブラック企業に入ったが辞められない…」「ずっと借金の心配をしている…」「子どもの頃に受けたイジメの記憶を引きずっている」など、ループストレスがさらに深刻化し、慢性的になった状態。
もっとも人生へのダメージが大きく、心の負担に慣れてしまうのも問題。
ストレス対策の“超基本”
具体的なノウハウにいく前に、ストレス解消の大前提として押さえておくポイントがあります。
それが、こちら⏬
自分のストレスにちゃんと気づくこと
“ストレスに悩む人の多くが、自分の心がどれだけ負担を感じているかを正確に把握できていない”、と著者はいいます。
現状を正確に把握できなければ、どんなノウハウを用いても十分な効果を感じることは難しいでしょう。
では、自分のストレス具合をきちんと把握するには、どうすればよいのでしょうか?
本書では、次の2つの質問に答えることで、自分の感じているものを「数値化」するのが有効だといいます。
- いまのイライラや不安は100点満点で何点だろうか?
- このストレスは、過去のものと比べて何%ぐらい辛いだろうか?
いかがでしょうか。
漠然と“ストレスだー”と感じているよりも「数値」として表すことで、冷静に分析できたり、優先順位を明確にできたりします。
ストレスの根本原因は、3つの「アンバランス」
ストレスが長引いて解消されない理由は、次の3つに大別されます。
その場しのぎのストレス発散にはしらず、3つの根本原因の解決を図るのが肝腎です。
1。思考のアンバランス
「考え方の偏り」がもたらすストレス。
長年の経験で身についた「思考のクセ」です。
客観的な事実にもとづかずに、自分を責めたり、偏った考え方をしていたりします。
【関連】自分の思考のクセを修正していく過程は、「認知行動療法」と呼ばれ、そもそもストレスを溜めこまないようになります→【解決】心のストレスを晴らす!“認知のゆがみ”チェックと直し方
2。栄養のアンバランス
「不摂生な食事」がもたらすストレス。
ここ数年の研究で、健康的な食事をしている人のほうが格段にストレスに強いことが明らかにされています。
栄養に気をつけることはさらに、記憶力や集中力といった脳機能までアップ。
ストレスとの関連では、とくに「腸内環境」に気を配るのが有効です。
乳酸菌や発酵食品、食物繊維を積極的に取り入れ、ストレスに強いカラダづくりを心がけましょう。
「糖質」を過剰に摂りすぎないようにも注意しましょう。
糖質を摂りすぎると「血糖値」が乱高下して、精神状態が落ち着かなくなります。
3。受容のアンバランス
人生のリアルを受け入れないストレス。
身に降りかかってくるストレスには、「自分でコントロールできること」と「自分ではどうやってもコントロールできないこと」がありますよね。
例えば、仕事で手痛い失敗をしたとしても、それを無かったことにするのはできません。
その後、失敗を引きずって落ち込むよりは、“次は同じことをしないように、どう対策しようか?”と切り替えたほうが賢明です。
このように「自分でコントロールできるもの」と、「自分ではどうやってもコントロールできないもの」とを冷静に見分ける。
そして「自分でコントロールできるもの」に集中して対処する。
一方、「自分ではどうやってもコントロールできないもの」は受け入れる。
そうした「受容」のマインドを身につけることで、ちゃんとストレスに対処できるようになります。
ストレス対策【3種の神器】
ストレスの根治療法には時間がかかりますが、“とりあえず、目の前のストレスをどうにかしたい!”と思われるでしょう。
そこで本書では、科学的に認められた即効性の高いストレス解消法が「三種の神器」として紹介されています。
呼吸法トレーニング
まずは、 呼吸法。
ふだん自分の呼吸に意識を向けたことがありますか?
多くの人は次々に用事や作業をこなす日常で、知らずしらずに呼吸が浅く、早くなっています。
浅く早い呼吸は交感神経を活発にし、身も心も緊張感を高めます。
*交感神経は「自律神経」の一つで、昼間や活動時に活発になり、血圧や心拍の上昇、筋肉の緊張亢進などに働きます。
自律神経はふだん、ひとの意思とは無関係に働いています。
ぼくたちが唯一、自律神経に働きかけられるのが「呼吸」。
そこで日常に呼吸法トレーニングを取り入れることで、自律神経のバランスを整え、落ち着きを取り戻すことができます。
エクササイズ
運動した後に、気分がスッキリした、こころが晴れたように感じたことがないでしょうか。
体を動かすことがストレス解消に役立つのは、高いエビデンス(科学的根拠)で認められています。
実際にうつ病の治療では、“運動は薬と同じくらいか、それ以上の効果がある”として推奨されています。
運動がストレス解消につながるのは、運動によって脳内で「神経伝達物質」の分泌が高まるから。
「ドーパミン」や「セロトニン」といった神経伝達物質の働きで、脳が落ち着きを取り戻します。
ストレス解消効果がみとめられる運動の種類は、ウォーキングや筋力トレーニング、ボルダリング、木登り、裸足ランニング、ガーデニングなどさまざま。
ぜひあなたの日常に取り入れやすいものから始めてみましょう!
バイオフィリア
オフィスに緑があったり、花が活けてあったりするのを見て、こころがほっと和むことがありませんか?
“人間の脳には、大自然との触れ合いを求める欲望が備わっている”という考え方(バイオフィリア)があります。
そのため多くの人で、自然とふれあうことによって副交感神経が活性化するという反応が起きます。
自然とのふれあいを求める人間の性質をストレス解消に役立てましょう。
そうはいっても、“みんな田舎に住め”というのは難しい。
そこで市街地の生活でも日光浴をする、観葉植物を置く、自然音を聞く、アロマをかぐなど、日常にちょっとずつ自然を感じる機会をつくるだけでも有効です。
精神的ストレスによる免疫低下に対して、香りが回復を促す
実際に、精神的ストレスによる免疫機能低下に対して、「香り」がその改善に効果的だったという研究成果もあります。
- 韓 在都、内山明彦:精神的ストレス負荷後の香りの提示が免疫機能に与える影響。国際生命情報科学会誌22:574-579、2004。
本論文を要約すると、以下のような内容です。
健常成人男性10名(年齢25.2±4.6歳)を対象として、精神的ストレスとなるような作業負荷(内田クレペリン検査)を実施した。
25分間のストレス負荷によって、心拍数および収縮期血圧が上昇し、免疫機能の指標である唾液中の分泌型免疫グロブリンA(SIgA)濃度が低下した。
ストレス負荷後に、2分間の香り提示(マジョラムエッセンシャルオイル)を行ったところ、香り提示しなかった場合と比べて、回復20分後に心拍数および収縮期血圧が低く、SIgA濃度が高かった。
本研究の意義は、香りがたんに気分だけでなく、免疫細胞や心臓・血管などの生理機能にもポジティブな影響を与えると明らかにしている点。
ぜひ、香りを日常に取り入れることで自律神経や免疫機能を整え、心地よい生活にお役立てください。
【まとめ②】ストレス対策の基本と方法
今回は、『超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド(鈴木 祐、鉄人社)』をもとに、ストレス対策の基本や解消法をご紹介しました。
忙しい毎日を過ごしながらも、こころと体を壊さないためには、ときどき自分の生活スタイルや気分の変化を振り返っていただきたいんです。
ー“近ごろ、睡眠時間が短かったな”、“会食が続いて、栄養バランスが偏っていたな”、“移動は車ばかりで、運動不足だったな”ーなど。
そして、ストレス対策をふだんのライフスタイルに定着させていきましょう。
実際にぼくもいくつか取り組んでみました。
例えば、呼吸法を行うと、はじめはすぐに意識があちこちに飛んで、まったく集中できない。こんなに散漫なのかと驚きました。
でも続けていくうちに、こころが落ち着いてくるのを実感でき、自分を取り戻す貴重な時間となります。
本書で紹介されるストレス解消法を活用して、あなたも“心がどんなダメージを受けても、すぐに立ち直れる無敵のメンタル”を手に入れませんか!?こちらからチェックしてください🔽
むすびに
いかがだったでしょうか。
「ストレスが交感神経の活動を活性化させ、乳がんを悪化させる」という研究結果を深掘りし、免疫力アップのためのストレス解消法をご紹介しました。
「適度なストレス」は人を鍛え、成長させます。
しかしそのストレスが長期に続いたり、その都度解消できなかったりすれば、こころと体を壊す結果が待っています。
またストレスに対抗する自律神経の働きは、「生活習慣」に大きく影響されます。
こころと体の健康を保つためには、副交感神経を優位に働かせるような生活習慣をおくるのが何より大事。
それは規則正しい生活リズム、十分な時間の質の良い睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動に尽きます!
副交感神経の働きが活発だと血流が促され、細胞代謝がアップ。
すると免疫も十分に機能することができ、がん細胞の増殖をブロックしてくれますよ。
ぜひストレスコントロールと、自律神経のバランスを保つ生活習慣を実践し、こころと体の健康を維持していきましょう🍀
最後までお読みいただき、ありがとうございます。